14話 ボクにしか読めない本
魔力切れを起こした翌日。
ボクはまた本の続きをマールに読んでもらう。
本当は自分で読めるんだけど、まだボクの年齢で本が読めるなんてないからね。
本棚から本を取り出し、ボクの前に本を差し出した。
え?まさか?え?!
驚いているボクをマールは勘違い。
「素敵なデザインですよね、どこかの文字のようでよく分からないんですが。
そ、このデザインなんですが、誰も真似出来ないんですよ」
「きれー」ってニコニコ、ボクは表紙を眺めている《《フリ》》をする。
なんだって、このデザイン、日本語だし!
まじか?
(これは物語では無い、真実である。この文字の意味を知る者には私から富をもたらそう。知らぬ者にはこの文字はただの飾りでしかない。選ばれし者にしか知ること出来ない真実である。選ばれし者よ、裏にあるもうひとつのメッセージを読みたまえ)
ボクはすぐこの本をひっくり返した。
そこにも――
日本語でメッセージが書かれていた。
選ばれし者――
つまりボクへのメッセージだ。
ボクは興奮が抑えられない。
ボク以外に転生者がいたんだ。
この世界に、日本人がいたんだ!
「カイトお坊ちゃま、このデザインが余程気に入ったんですね」
「うん!」
さぁ、続きを読もう。なに、なに。
(選ばれし者よ、エルフの里へ行き、エルフの長に伝えよ。
「私はあなたを知っている、あなたは私を知っているか?」
長は言うだろ「知るわけない」
そうしたらまた伝えよ。)
(「私は選ばれし者、私に教えるが良い。ナップルの果実の生まれし所、そして、ナップルはいつ、どこで起きるのか、あなたの知識を教えなさい。」)
(そう伝えても「ダメだ」て言われたら、選ばれし者、エルフの長へこう言いなさい。)
(《《「だめよ、だめよも、いいって事よ」ってな!》》)
ちょっとちょっと、本の人!ボクは真面目に読んだんだぞ。なんだ最後の「だめよ、だめよも、いいって事よ」って!
なんか、アホやー、アホすぎる、まじか?
……つまり。
エルフの里に行けば、ナップルの場所が分かるってこと?
いやいやいや!
それってさ――
ナップル食べ放題じゃない?
ナップルをもっと甘くして!
うわー、甘い甘いナップル、食べたい。
……ん?
まだ続きがある?
なに、なに。
もしこの文字が読めるなら
君もきっと、私と同じ場所からきたのだろう?
この世界も、いいもんだ。
君もきっと、気にいるだろう。
日本語だ。
転生者であるボクにしか読めない文字。
もし、ボク以外に転生者がいたら、きっともっとこの世界にパイナップルが知れ渡って、もっと気楽に手に入れることが出来たはず。
前世ではパイナップル。
この世界ではナップルと言うらしい。
本に絵が描かれているからね、下手くそだけど、ナップルがパイナップルだって事は伝わる。
前世のパイナップルは食べすぎると舌がピリピリしたけど、今世でも変わらないらしい。
ただ、今世のナップルはかなり酸っぱかった。甘さはほんのりと感じるだけだ。
今のボクには1口かじって、あまりの酸っぱさに、意識がナップルの本を読んだ時にトリップしちゃったよね。
でも、その酸っぱさはいつまでもボクの口の中に残っていた。




