138話 卵を透かしてみると
「あのね、パパ。今、ビービーとダブルジーを鑑定したら、やっぱりもう雛に成長していたみたい。だから、食べること出来ない。パパ達の言う通りだったの。」
「じゃ、やはり、雛がいるのだな。仕方ないが卵を小屋に戻そう、よいな」
しかたないよねー。鑑定眼君の話では、10日くらいオスと離したメスの卵は無精卵って言っていたけど、万が一を考えたら2週間くらいは離した方がいいだろうって思う。
「分かった。残念だけど諦めるんだ」
「あ、でもパパ。デリベリの卵はまだ調べてないよ。一応調べてみるね」
「ああ、だけど、鑑定眼使うと魔力使うが体調に問題はないか?」
「うん、全然平気。心配してくれてありがとう」
「分かった」
その前に。
さぁ、ちょっとやりたいことがあるからみんなに向けて話すよ。
「あのね、ちょっと暗くしてくるかな?明かりを消して」
「ん?」
「坊ちゃん、暗くしてなにするだ?」
「あのね、見て」
ボクは明かりを消した部屋の窓から光がさす方へ卵をかざした。
うん、やっぱりそうだ!
「みんな見て、この卵と、この卵。」
「暗いところで卵に光をかざすと卵の中が透けて見えるんだ。ほら、今、雛が育ってる。だから、みんなが言うようにこの卵は食べられないよ。」
「「「「「「「おー」」」」」」」
「すごいですな、お貴族様は色々と知ってるんですな。」
いや、前世の知識だけどさ、鑑定眼君がこの卵は食べられないって言った時、ちょっと思い出したんだよね。
小学生の高学年で飼育係をしていた時、その時理科の先生が教えてくれたんだよ。こうやって光に卵をかざしたら雛が卵の中で成長しているのがわかるよって。実際見せてもらった時は感動して、先生のことも尊敬をしちゃったよなー。
だけど、そうは言えないからまたいつものように。
「ねー、イカルダの女神様って物知りだよね。色んなこと教えてくれるんだ。みんなにも教えたかったのー。」
「「「「「「「「おーっ」」」」」」」」
それと、もうひとつ言い訳しなきゃ。
「食べるためって思ってた?ボクが食べるって言ったからね。ごめんね。びっくりさせたくて、卵を厨房に運んでもらうための嘘だよ」
「もう、坊ちゃん人が悪いですよ」
「では、あの黄色い卵も、これも見てみようか?」
ボクはデリベリが、産んだであろう卵を手を取り光にかざす。
やっぱりだ。ニコイチで生まれ変わりってあったから産んだ卵は有精卵じゃない。
「見て、ほらこれはヒナいないよ。そ、これなら食べられるはず。」
「カイト、本当に大丈夫か?」
ボクに不安そうなパパは耳打ちしてくる。
「大丈夫。ボクの鑑定では」
《《まず、寿命は25年。卵を産む期間は20年。一度に3~5個の卵を産みます。その卵は、まず黄身がオレンジで盛り上がってます。》》
《《黄身の周りの白身も盛り上がってまして、トゥルトゥルでございます。味はなんとも言えない深い味わいでしょう。》》
「ほら、《《なんとも言えない深い味わい》》って言ってるから。」
パパに安心してもらうためにボクもパパに耳打ちする。
けど、みんなが卵を透かして、騒いでいるから、少しだけ声を落とすだけでいい。
ボクはカマチョにビービーとダブルジーの卵をそれぞれの親鳥に返すようにお願いする、卵を受け取りながらカマチョはプルプル震えてる。
ん?カマチョ、トイレ行きたいのかな?
そんなにプルプルしてて大丈夫?漏れちゃうよ
「カマチョ、トイレ行きないなら行ってきて、他の人に卵を頼むよ」
「いや、トイレ行きたいでないす。坊ちゃんは策士だなーって感動したですたい。すっかり食べるのかって思ってましただ。」
えー、感動で震えていたってことー。
なんだ、おもらしかと思ったじゃん。
「魚の骨から肥料作ったりもして、凄いだすな~」
「あ、肥料はどう?」
「順調だす。もう少しでいい感じで割合出せますだ」
あっ、そうだ!
「あのね、鳥たちのフンも肥料になるよ。」
「なんですとー!こうしちゃいられねー。坊ちゃん、鳥のフンも頂いていいですすかー?」
慌てて喋るカマチョ、いいで《《すす》》かーって《《す》》を《《2回も》》言ってるし。
ボクは少し笑いながら。
「うん、いいよ。結果知りたいから、別の枠で試してね」
「分かりやした。では、早速行ってくるだ」
卵を大事そうに抱えていくカマチョ。
ボクはその背中がとても逞しかった。




