130話 ボクは魔法が使えるよ
今日の朝ごはん、味がしないと思っていたけど、精がつくからとガリガリクゥーステーキが出たよね!うんうん、今日もめちゃくちゃ美味しかったー。ゴードンのステーキの焼き具合や、満遍なく刷り込まれた塩とガリガリグゥーがまたなんとも言えずに、美味しかったー。
あのね、でもボク4歳だよ。こんなに早く《《精》》がついてもいいのかな?
うん、ボクは今、パパの執務室にいる。
緊張を紛らわすために朝ごはんのことを思い出していたよ。けど、パパが目の前の椅子に腰掛けた。
これから聞かれることに緊張しちゃってついパパの部屋の飾りを見てしまうよね。
うん、相変わらずだ。
壁には装飾キラキラの柄の大刀や、剣、盾が掛けられていて、ボク達の家紋が目立ってる。我が家の家紋には大刀と、剣が交差してあって、その上に盾があるデザイン。その他にも、色々な物にマーシュ家の象徴である薄紫が縁どられている。
パパの髪色だね。うんうん。
そしてドラゴンの爪を中心に、綺麗な石と貝で作られたチョーカーみたいな首飾りもある。
このパパの執務室は広さもかなりあるけれど、それらがそつなく飾れている。パパの執務室の大きな机の反対側には、執務中にいつでも見えるようにってママの肖像画がある。
けど、あれ?ママのお胸が実物より大きく強調されていて、いつもより寄せて上げてない?パパの趣味かな?
ボクやアリがもっと小さい時の絵も少し左端の方に飾られていた。
なんで端なの?って突っ込みたいけど、今はできるだけパパと話をしないようにしたいから、突っ込まない。
ママの絵の右側にある1番大きな絵は、海が見える崖の上に仁王立ちして、片手には大刀を持って、もう片方は腰に手を当てて海を見ている大きな男性の後ろ姿がある。髪は紫色で風になびいている。きっとパパかご先祖さまかな?
窓からは朝の日差しが差し込みキラキラしている。
ここは暑いから窓からは離れて椅子やテーブルか配置されている。簡単な応接セットなはずだけど、やっぱりそこは辺境伯だね、めちゃくちゃ豪華な彫りだよね。椅子のクッションはやっぱり紫を中心とした寒色系の色なんだね。
重厚な大きな机に、右にも左にも書類が山積み。あれ?サイズバラバラだね?紙っていうより何か動物の皮?クルクル巻いていたり、形もバラバラ、ちぎれているものもあるみたい。
今まで机の上を気にして見てこなかったな。ちゃんと見るのははじめてかも。
「さて、カイト。話を聞かせてもらおうか。何をそんなにキョロキョロしているんだ。緊張しなくて良いぞ。」
ゴクッ。ボクは背筋を伸ばして、唾を飲み込む。心臓はバクバク。
「はい」
「さて、まずは昨日の事だが。カイトが倒れたという事でまずはグローにカイトを診てもらった」
「はい」
グローってうちの主治医だよなー。
「そこで、命には別状はないが、何か大きな魔法を急に使った事で、魔法欠乏症になって意識を失ったという話だ。」
やばーい、魔法が使えるのバレちゃったかも。
「カイト、お前は魔法が使えるんだな?」
もうダメだ、これ以上隠しておけない。
5歳のイカルダの女神様から祝福を受けて初めて魔法が使えるって言っていたのに。
まだ祝福を受けてないボクが魔法を使えるのはおかしい。やばい子って怒られちゃう。もしかしたら嫌われちゃうかな?
「はい、使えるの」
やはりな。それは何時からだ?
「では、それはいつから使えるんだ?グローが言うには、昨日いきなり魔法を使えるようになった訳じゃなくて、それより前から魔法を使ったはずだと言っていたが?」
「えっとー」
話していいのかな?大丈夫?気味悪がられたりしない?嫌われたりしない?
「カイト、私は怒っている訳では無いぞ。だから正直に話して欲しい」
「パパ、ボク嫌いにならない?」
「なんで、パパがカイトを嫌いになるんだ?今までも、これからも愛しているさ」
「ほんと?」
「ああ、大丈夫だ、何を不安がってるんだ。心配ないから話して欲しい」
パパはボクが不安そうにしたのがわかってくれたみたいで、ボクを膝の上に乗せて、頭を撫でてくれて、そしてボクの両手を大きな手で包んで優しい笑顔を向けてくれた。
異質なボクを嫌いになったらどうしようって言えなかった。けど、パパかボクを安心させてくれた、だから、話そう。




