109話 チキントマートゥスープ作ってるところにママ乱入
そして、いよいよトマートゥを投入。
半分に切って、さらに粗めにざく切りをして、4つのトマートゥを入れて更に煮込む。
トマートゥのアクも取り除いていく。
トマートゥの生臭さがなくなったら塩で味を整える。
鶏がらスープにトマートゥ風味も加わり、ナダンソウソウの甘みでできたスープ。
匂いだけで最高すぎるっ。
やばい、美味いよ、絶対に!たまんないっ。
ボクは早る気持ちを抑えて、ゆっくり口に運ぶー。
もーもー泣いていいですか?
そばでゴードンがソワソワしている。
さぁ、食べてみてよ。
「ゴードン、食べたい?」
ちょっと焦らしてみる。
ゴクッ 「はいぃー、ぜひ!」
そんなに祈らなくても良くない?
そんなに手をスリスリ擦り合わせてると手火傷しない?
「さぁ、味わって」
ゴードンに、出来たてのスープを渡し、嬉しそうに受けとり口に運ぼうとした、その時!
バンッ!って厨房のドアが開き、そこには仁王立ちのママがいた。
「ちょっと待ちなさい」
ゴードン、ママとスープ皿を交互にチラチラ。かわいそー。でも、ママ怖ーい。
「ゴードン、私のは?………ないのかしら?」
ママ、怖ーい。目が笑ってないよ。
ゴードンのスープにママのお目目がロックオン。
ゴードン、飲もうとしていたスープ皿をママに渡してるー。どんだけママ怖いん?
「ありがとう、頂くわ」
ってママー、ゴードンからお皿うばったー。
一気に、一気に飲み干したー。あー、幸せって顔してるー。もう一杯行くかー。行くぞー。ママ、お肉も入れろって指示出してまーす。
ゴードンは、ゴードンは悲しそうに、チラ見チラ見しながら、未練たらしくお皿を渡してまーす。これは、これは、主人には逆らえない辛さをゴードンは感じてます。きっと彼は今、まさに理不尽という言葉を噛み締めていることでしょー!
はい、お送りしましたのは、この屋敷の嫡男、カイト·ブラウン.マーシュでした。
事件は現場で起きている。現場からの実況中継でお送りしました。
では、皆さん、ごきげんよう。
ママに何も言えないから、実況中継してみましたー。
「カイくん」
「はい、ママ」
「新しいご飯を作る時はママに一番に知らせる?じゃなかったかしら?」
「はい、言いました」
「それなのに、酷いじゃない。ママを呼んでよ。呼んで欲しかった。カイくん、意地悪ね」
そんなこと言われてもー。
「ママ、今出来たよ。出来たか確認してからママに報告するって思ってたよ」
本当は忘れていたけど。ごめんね。
「カイくん、出来てからじゃなくて、作る前に教えてくれる?」
えー、なんでよー。
「ママは、カイくんが作ってるとこからみたいの。どんな風に作るのかも知りたいし」
そーなの?たんに食べたいだけなんじゃ?
言うと怒られちゃうから言わないけど。
「このスープはなんて言うのかしら?」
「チキントマートゥスープだよ」
「チキントマートゥスープ」
ママ、大丈夫?
祈りながら天を仰いでるじゃん。
あれ?今度はボクを抱きしめるの?
苦しいよー、おーい。
ママ、大丈夫?泣いてるの?
「ママ、どうしたの?美味しくなかった?」
絶対美味しいはずだよ。どーして泣いてるの?
あれ?ママの後ろで、ゴードン、お皿にスープ入れて、飲んでる。
ナニ、ゴードンまで泣くの?
2人してなに泣いてるのさー。
「美味しくて、美味しくて、美味しすぎて、言葉に出来ないわ」
「あー、イカルダの女神様、ありがとうございます。一生ついて行きますだ」
あはは、ふたりとも大丈夫な。
はい、美味しかったでしょー。絶対この顔は満足してるよね。
「はい、味見は終わり」
あはは、なにふたりして同時に、泣いたまま首を振るのさ。
「ダメだよ、トマートゥがもうないんだから、足りないからってまたすぐ作れるものじゃないんだから、おかわりはだーめっ」
ダメだよ、おかわり禁止!




