108話 チキントマートゥスープの作り方
ゴードンとボクは調理室の厨房に来ている。
「さぁ、早速料理を始めるね」
「よろしくお願いしやす」
「鶏肉は、下処理は終わってるの?」
「へい、大丈夫ですな」
「じゃあ、大きなお鍋、この鶏肉が余裕で入って、他の野菜も入れられるくらいの大きな鍋にお水を入れて沸かしてくれる?」
「はい、坊ちゃん」
鍋のお湯が沸く前に、下処理された鶏肉を丁寧に洗って貰い、鍋に入れた。
その時に、ざっくり大きめに切った太ネギと、真っ二つに切って1口大に切ったナダンソウソウも、キャロトトトもざっくりゴロゴロ切って一緒にいれる。
ゴードン、やっぱり手際いいねー。
言われた通りに作ってくれてありがたい。
「じゃ、強火でグツグツ煮てくよー」
グツグツ言い始めた鍋には鳥から出た出汁と一緒に沢山のアクが出てきている。このアクを丁寧に取り除くようにお願いした。
ガリガリクゥも、入れるよー。
ゴードンは素直にボクの指示通りに、淡々とテキパキと調理をしていく。
「よし!ゴードン、これからはしばらく煮込んでいくよ。アクが出てきたら丁寧に取り除いてね」
「アクが出なくなったら中火で煮てくよ」
火を中火にし、鍋の様子を見ながら、時々アクをすくいながらクツクツ煮ていく。
はぁー、鶏ガラスープの美味そうな匂い、なんで今まで作ってこなかったんだろ。
骨から出汁を取るって概念がないんだよね。もちろん、豚骨、牛骨、それぞれ美味しい出汁になるのに、もったいない。
「あー、坊っちゃん、凄く美味しそうな匂いがしますな、こんな美味そうな匂いは嗅いだことないっすよ」
だよ、だよ。スープは野菜スープばかりのもの。肉や魚でスープを作ることもないし。
しかも多分1回湯掻いた旨みたっぷりのスープ捨ててるしな。
「鶏肉からも、骨からも美味しい出汁が取れるんだよ。」
「坊ちゃん、出汁ってなんですかぇ」
出汁、出しの説明からかー。出汁ってなんて説明したらいいのー。
「うーんとね、出汁ってね、なんて説明したらいいかな?えっと、肉も魚も野菜も煮込んでいくと、1番美味しい味を引き出してくれるんだよ」
「あー、美味い味を《《出し》》てくれるから、略して《《ダシ》》って言うんですな。坊ちゃん頭いいですなー」
違うよ?でも、ある意味あってんのかな?
ま、それでいいかっ。
「坊っちゃんの料理は美味いっていうのは分かりやした。けど骨も食べるなんてなー」
だーかーらー、食べないって。
「ちょっとゴードン、骨は食べないよ。さっきそう言ったよー」
「でも坊っちゃん、骨は入ったままでっさ」
そっか、骨取り出すって説明してないしなー。
「あ、骨はね、鶏肉が柔らかく、骨からホロホロって外れるくらいまで煮るんだよ。その後に取り出すんだよ」
ん?なにキョトンとしてるのかな?
「骨はやっぱり食べないんですな、では最初から入れなくていいんじゃないのかな?っ思ったんですよ」
「ゴードン、さっきも言ったけど、骨からも出汁取れるんだよ。肉よりも骨からの方が美味い出汁取れるからねっ。骨って重要だからね」
「ほー、勉強になりますな。これもイカルダの女神様のレシピですかい。イカルダの女神様は美味しいの知ってんすね。どこで教わったんですかねー」
あはは、ボクが勝手にイカルダの女神様のレシピって言ってるからね。
そう思っちゃうよね。前世の記憶って言えないからさ、全部イカルダの女神様のーって言っちゃうけど、いいよね。
「ねー、どこで教わったんだろうねっ。まぁ、イカルダの女神様が教えてくれるレシピでボクたちは美味しい物食べることが出来るんだよ。ありがたいよね、すごいよね?」
「ですな、間違いねぇです」
そんな話をしている間に、1時間が過ぎていた。どうやら鶏肉も充分柔らかくなって骨から簡単に身がほぐれる。
「よし、一旦煮込むのは終わり。ではゴードン、別のお鍋用意して。」
「じゃーね、この新しい鍋に、さっき煮込んでいた鍋の汁をこして先にスープを取り出すよ。」
「はい、こしましたよ。では、この余ったのは捨てるんですかい?」
「いやいやいや、捨てないよ。これから少し冷まして、骨からお肉を剥がして行くよ、外したお肉は食べやすいように細かく割いて、またこのスープに入れて」
「あと新しいナダンソウソウを薄切りにしてスープに入れて」
そうそう、そんな感じ。




