しんと優依
「シークレット作品のBlu-ray見る?」
「うん」
「何で、気乗りしない感じ?」
「いや、そんな事ないよ」
「あー。また、見てる。ネットの評価なんか、しんは見ないでしょ!」
「梨華の実話をちょっと脚色しすぎちゃったかなー。もっと、シンプルにするべきだったかな」
「しんらしくて、よかったよ。僕は、好きだよ。」
優依は、しんの隣に座ってパソコンを覗き込んだ。
「そうかなー。はぁー。」
「あの、台詞は、いれてって言われたのを書いたんだよね?」
「うん。」
「りあのさんにも、頼んだわけだよね」
「うん」
「じゃあ、別にいいじゃん。視聴率は、鴨池はやてと吉宮凛のお陰でとれたわけだから!いいじゃん。」
「そうなんだけどねー」
珍しくしんが、落ちている。
「あっ!この人見て」
優依は、スクロールする手を止めさせる。
「私が、親に思っていた言葉を代弁してくれてありがとうございます。親に、こちらの作品を見せました。初めて、謝罪をいただけました。しんさんには、感謝しています。だって!」
優依の言葉に、しんは泣いていた。
「よかったね!しん」
「うん、よかった」
「一人でも、救えるならいいじゃん。元々、万人受けする作品書いてないでしょ?」
「そうだったね」
しんは、そう言って笑った。
「傷ついたのは、梨華さんの実話だったからでしょ?梨華さんが、いれて欲しいって言った言葉を使ったりしたからでしょ?」
「そうだね」
「だから、悲しかったんだよね。でもさ、皆に届かなくても、こんな風に誰か一人に届くだけでいいじゃん。しん」
優依は、しんに抱きついた。
「しんが、泣きながら書いてるのを僕は知ってるよ。だから、しんは自分の身を削った作品しか作れないのも知ってる。禁断の愛なんて、書けるの?」
優依は、テーブルの下にしんが置いていたノートを取り出した。
「これね。書くつもりだよ。叩かれそうだけどね。」
「どうやって、書くの?禁断の愛体験するの?」
「なわけないよ。物書きは、想像しなくちゃいけないだろ?北陽先生の漫画読んだりしてね。それで、書けるかなーって思ったりするけどね。」
「北陽先生は、素晴らしいもんね。」
「そうだろ?でも、難しいね。俺が、禁断の愛を描くのか…。」
「無理なら、断る?」
「こんなに大々的に書かれてるのに?」
「いいじゃん、別に」
「優依、感情で生きてたら駄目だよ。ちゃんとしなくちゃ、仕事なくなるからね。」
優依は、その言葉にしんを抱き締める。
「そうなったら、僕が働いて稼ぐじゃんか!だから、気にしないでよ!やりたくない事は、しないでいいから…。」
「優依」
しんは、優依を抱き締める。
「もし、出来なかったら断るよ。だから、挑戦して見たい。だから、優依」
「手伝うよ」
「ありがとう」
優依は、しんの頬に手を当てる。
「年の差でいけって話でしょ?」
「うん」
「しん!これは、年の差がありすぎない?これは、さすがにどうなのかな?」
「思いついたのが、これだったんだよ。」
「これは、さすがに大クレームだよ。年齢変えた方がいいんじゃない?」
「そうだよね。だけど、浮かばないんだよ」
しんは、優依に少しだけ書いた話を見せた。
「さすがに、これは駄目だから」
「だよね。わかってるんだけどね…。でもね…」
「これは、却下です。そんな目で見てたら駄目な話だから」
「やっぱり、そうだよね」
「しん、どうしたの?何で、こんなの書いてるの?」
「わからない。ただ、書いたらそれだったんだよ。もう少し、大人じゃなきゃ駄目だよね」
「当たり前だよ」
しんは、優依に怒られて頭を抱えていた。
「禁断の愛かぁー。」
「結婚してる時に、ドキドキしちゃったとかは?」
「それは、しょっちゅうあったよ!変に意識しちゃうのかな…。だから、小説ノートに書いてたよ。りあのと同じ感覚になった事もあった。だけど、それが恋じゃないのもわかっていた。後、興味が沸く人もいたよ。それがさ、スーパーの店員さんでさ!ビッチと童貞の話書いたよね」
「あれ、そうなんだ!じゃあ、その頃、思い出して書いたら?」
「いやー。無理だな。あの人は、本当に俺が求めてたモデルだったんだよ。だけど、今はいないんだよね」
「もしかして、これが求めてたモデルじゃないよね?」
優依は、しんにさっきのノートを付き出した。




