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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
待てを言われた僕達は…。
83/135

⑩

凛音が目覚めると安藤はいなかった。


【好きにしてくれ。冷蔵庫にご飯あるから、温めて食べて。鍵は、いつか返しにきてくれたらいい】


そう書いたメモと鍵が置かれていた。


凛音は、スマホを開いた。


海斗からの連絡はなかった。


凛音は、海斗に電話をする。


コール音は、鳴り響くけれど電話にでない。


【解毒剤はあるには、あるけれど…。女性としなければならない。それ以外に方法はない。すまない。】


昨日、頭を下げられたのを思い出した。


【君といると海斗君は、三年以内に死ぬ。】


そうハッキリと言われたのだった。


海斗が生きてるなら、女性としたって構わない。


そう思ったのに…。


海斗の初めては、自分であって欲しかった。


嫌、自分の初めてを海斗にあげよう。


嫌、自分とすると海斗は死ぬのだ。


凛音は、海斗にメッセージを作っては消すを繰り返していた。


死んで欲しくない。


【男同士で、性行為をすると。その体液を感じとりウイルスはいっきに増殖します。5分以内に解毒剤と性行為しなければ死にます。ならば、いっその事三人でしてはいかがですか?】


卑猥な事を淡々と話したあの関口が、堪らなく憎たらしかった。


【耐えられますか?海斗君が、誰かの中で、果ててるのを見て。君は、耐えられますか?】


そう言われた問いかけに、凛音は答えられなかった。


海斗と同じような傷を凛音も持っていたのだ。


.

.

.

.

.


凛音、7歳ー


「ねー。凄いわ」


「お父さん?何見てるの?」


「あー。凛音、起きちゃったか?一緒に見るか?」


「何を?」


「綺麗な映像だよ。凛音が好きなやつ」


「戦隊のオンレンジャー?」


「そんな感じで、戦うやつ」


「見るーー」


当時、凛音はオンレンジャーにはまっていた。


父親は、母親の不倫を許せなかったんだと大人になったらわかった。


「じゃあ、行くよ」


「うん」


満面の笑みで笑った無垢な少年の凛音の前で、父親はそれを再生した。


「もっと、もっと…いいわ」


「聖子、気持ちいい?」


「うん…凄い。しょう、ぁあ」


凛音は、固まった。


隣の父親は、ニタニタと笑ってる。


「凛音、凄いだろ?母さんがね。悪党を倒してるんだよ」


どう見たってそんな風には見えなかった。


「父さんね、興奮するんだよ。怒りと絶望をね。100周ぐらい通りすぎたらね。興奮にかわったんだ。ほら、だから凛音も100回は見ないとな!」


母親は、画面の中で複数の男としていた。


「あの人よりいいわ」


「これ、お兄ちゃんの…」


家庭教師の正宗君がうつった。


「そうだよ。」


兄は、凛音より8つ上だった。


「正宗君は、激しいんだ。複数対戦が好きなんだ。」


「何?それ」


「凛音も、見るんだよ。ちゃんと、見るんだよ」


それから、7年間。凛音は、母親のそれを見せられた。


そして、父親はとんでもない事を凛音に言った。


「凛音、父さんとしよう。な?いいだろ?」


「はあ?ふざけんな。気色悪いんだよ」


「凛音、お願いだよ」


「金やるから、外でしろよ」


「嫌だよ!凛音が、いいんだよ。手だけでもいいから。ほら、凛音」


「やめろよ」


「母さんに似てるからいいんだよ。凛音が!わかるだろ?」


「やめろよ」


15歳の凛音は、父親のものを…

.

.

.

.

.


「はぁ、はぁ、はぁ。僕、汚(きたな)かった。海斗。ごめん。」


凛音は、泣きながら起き上がった。


一瞬、眠っていたようだった。


【不倫した恨みから、父さんは凛音にいったんだ!悪いのは、あの人だろ?相手してやれよ。手ぐらい減るもんじゃねーじゃん。】


兄に相談した凛音は、そう言われた。


【俺じゃ駄目なんだよ。あの人に似てねーから!てかさ、凛音。ゲイだろ?三井が凛音にコクられてどうしようって言ってたから!だったら、父さんの咥えてやれや!いっその事、父さんとし続けて童貞終わらせろ!な?凛音】


兄は、凛音が大嫌いだった。


世界の中心が、自分から凛音にうつった日に、兄は凛音を殺してやりたいぐらい嫌いになったと凛音が10歳の時に話したのだ。


凛音は、そんな兄や父をもっていながら、何故自分が男を好きなのか理解できなかった。


それは、今も凛音の中の謎でしかなかった。


「海斗…」


凛音は、海斗に繰り返しかける。


海斗といたら、幸せだった。


あの日、父親にそれをいれられそうになって凛音は家を飛び出した。


あれから、凛音は海斗といた。


一ヶ月に一度、母親から電話がくるだけになった。


本当は、怯えながら海斗のを触(さわ)っていた。


でも、終わった瞬間に、恐怖よりも愛しさが込み上げた自分に驚いた。だから、凛音は、海斗のそれを胃袋に流し込めたのだ。



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