⑪
「採血をするよ」
海斗は、そう言われて座っていた。
女の人がやってきて、血を抜かれた。
「あの、したくないです。」
女の人がいなくなった後、関口に話した。
「はあー。じゃあ、三年後。君は、死ぬよ」
そう言って、関口は頭を抱えていた。
「充分です。三年もあるなら、ただ俺は凛音のを口で、できますか?凛音に俺の全てを覚えていて欲しい。」
「この症状がでたって事は、いずれアナフィラキシー症状がでるんだよ!」
そう言って、関口は海斗の腕の湿疹を指差した。
「いずれって、すぐじゃないですよね?一年先かもしれない。だったら、俺は舌が腫れようが凛音とキスするよ!」
その言葉に、関口は驚いた顔を向ける。
「何で、そんな顔してるの?」
「君達は、神を冒涜してる存在だよ!わかるか?」
「わからない」
「わからないのか?恋愛は、男女間でするものだ。君達は、神を冒涜してる」
「だったら、あんたが作ったウイルスは神を冒涜していないのか?同性を愛する事の何がいけないかわからない。神様が、間違って作ったものだと思えない?世の中からしたら、欠陥品だけど。それは、神様がわざと作った欠陥品なんだよ。そう思えないのかよ」
「思えないね。子を宿せない、産めない人間に、存在価値などないんだよ。わかるか?」
「だったら、殺せばいいだろ?最初から、男が好きだってわかった時点で、殺せばいいだろうが」
海斗は、関口を睨み付ける。
「父親と同じで、強情だな!」
関口は、そう言って鼻で笑った。
「どういう意味だよ」
「君のお父さんは、お母さんの不倫を許せなかったんだよ。だから、私に頼み込んできた。私は、渡せないって言ったんだ。あのウイルスは、まだ試作品だったし。作ったばかりだったから…。」
「何で、父さんはそれを俺に…」
「私の部屋から、サンプルを持ち出した。滋は、12年前に私に会いに来た。息子に、Sウイルスを飲ませたと…。Sウイルスが、同性間の性行為で死ぬのがわかったのは、サンプルが出来上がってすぐだった。解毒剤を飲んだ、研究者仲間と同性愛の同僚が実験台になった。同性間の性行為を別室でしてもらって戻ってきてもらった。今の君のように、身体中に発疹が出来て、目が飛び出る程腫れ上がった。息が苦しく、動悸が早いと言い出した。採血をした後で、解毒剤との性行為をしてもらった。一分も経たないうちに、すべての症状が収まった。これは、画期的な発明だと思った。教授に話したら、瞬く間に国をあげたプロジェクトにかわったんだ。」
関口は、そう言いながら悲しそうに目を伏せる。
「私も、海斗君と同じ種類の人間だよ!」
「じゃあ…。」
「ゲイの同性カップルは、私と折井だった。私は、子孫繁栄をした。解毒剤である、妻の峯子が子供を三人産んでくれた。そして、私が愛した折井もまた…。同じ道だった。海斗君、君が性行為を続ければ凛音君にウイルスが感染するってわかってるかな?」
「どういう意味ですか…。」
「私は、折井に感染させたんだ。どうやら、ウイルスは3回目に宿主を離れ、新たな存在に寄生するのがわかった。性行為をして死ぬのは、相手もウイルスを持っていたらの話しだよ。」
「って事は、俺は凛音と…。」
「出来るのは、二回だ!三回目にした瞬間に、凛音君の身体にウイルスが寄生する。口も調べたよ。別の同性カップルでね。口はね、どうやら胃酸が守るようだった。でも、10回目には宿主に寄生したよ。だから、そっちは9回までだ。」
「凛音にウイルスをうつせば死ぬって事ですか?」
「それは、確実だ。私は、パートナーである折井とした時に死にかけた。二人共、解毒剤を別室に置いて性行為をしたおかげで助かった。ただ、もう二度と私と折井は性行為はおろか、触れ合う事も出来ない。」
「それって、これですか?」
海斗は、関口に指を見せる。
「そう、これだよ。折井にだけそうなるのだ。ウイルスが、私の気持ちをわかっている。悲しくて、苦しくて泣いたよ。」
関口は、そう言ってピンクの小瓶を海斗に差し出した。
「一滴だして、飲むといい。これは、その症状を押さえてくれる。ただし、結果次第では海斗君は解毒剤と性行為しなければ三年の命になる。凛音君と生きていく未来を選びたいのなら、考えなければならない。」
海斗は、何も答えられずにうつむいていた。




