報告
「やっと、見つけました」
「しんさんですか?」
「お久しぶりです。MOON先生」
「嬉しいです。わざわざ、私に会いに来ていただけて…。」
「占い師は、続けているのを聞きました。」
「どうされましたか?」
「やっと、三日月さんの作品を作れました。その、DVDを持ってきました。」
「ありがとうございます。」
「時間が、かかってしまいすみませんでした。」
「いえ、しんさんの作品になれた事、光栄です。」
「それは、よかったです。」
私は、三日月さんに笑いかけた。
「帰ったら、見ますね」
「はい」
「感想伝えるべきですか?」
「出来れば、いただけたら嬉しいですね」
「では、手紙を書きますね」
「是非、お待ちしております。こちら宛で、お願いします」
私は、三日月さんに名刺を渡した。
「私は、ずっとしんさんの作品を見ていますよ。蛹は、蝶の夢を見る。も週三回は見てます。」
「そんなにですか?嬉しいですね」
「心だけが繋がらないも、見ていますよ。素敵ですね。これも、何回も見ますね」
「ありがとうございます」
「あの、蛹は、蝶の夢を見る。は、私自身が幽体に思っていた事と同じでした。悪をつくるのは、人だって!私も思っています」
「そうですね!いつの時代も、悪を産み出すのは人でしかないと私も思っていますよ。だから、こそ、物語には明確な悪が必要です。普段生きていたら、きっと通りすぎてしまうような悪を…。物語にする時には、凝縮したような悪人をつくらなければならないんです。わかりやすいようにですね。」
「それは、何かわかります」
そう言って、三日月さんはニコニコ笑ってくれる。
「誰かに感情移入していただかないと、物語は輝けませんから…。でも、その中でも私は悪を悪として描きながら疑問も持っています。例えば、蛹は、蝶の夢を見る。の淳は本当に悪なのだろうか?ってね。だって、本能で言えば淳は悪ではない。子孫繁栄をしたいだけなのだから…。淳にとっての悪は、章吾なのではないか?そんな風にも思ったりするんですよ。」
「確かに、本能で生きるなら…。男である彼は、悪ですね」
「そうですよね!まあ、私が決めたわけじゃなく。物語の主人公達が、台詞を与えてくれる。どこに、落ちてくれるかもわからないので…。出来上がった作品を見ると、何だこれって言うのもありますよ。」
「それは、それでしんさんにとって面白いのですか?」
「はい!そうですね。今回の三日月さんのお話も、どこに着地するか私自身わかりませんでした。ただ、悲しくても最後はハッピーエンドにできるだけしたい気持ちはあるんです。救いようのない話しは、悲しいじゃないですか…。どこかで、救われたいのはきっと私自身、不妊に悩み。救われる事なく離婚したからかもしれないですね」
「出来なかったんですね。」
「出来ませんでした。そして、離婚しました。今は、お互い別のパートナーがいます。心も身体も消耗した結果が、別れだった。物語なら、バッドエンドですよ。あの頃の私が救われ出したのは、物語を描くようになってからです。その物語が認められるようになって、より救われるようになりました。」
三日月さんは、私の言葉に少し考えていた。
「どうして、ボーイズラブですか?」
「それは、救われないからかもしれないです。私自身が、救われなかった。だから、そこはきっと救われて欲しくなかったんだと思います。夫婦を描いた作品なら、もしかしたら妊娠ってゴールに辿り着かされてしまう気がして…。三日月さん、私ね。物語であっても、あまり子供や赤ちゃんの事を描けないですよ。どうやら、いまだに苦しめられてるようです。」
私の言葉に、三日月さんは驚いた顔をした。
「でも、しんさんの物語のお陰で救われてる人は沢山いると思います。絶対に妊娠が出来る物語だったら、私は見ていません」
そう言って、三日月さんは、私にニコッと微笑んでくれた。




