会いに行く
私と優衣は、ある人物に会いに行っていた。
MOON先生に、だいぶ前に取材をしていた資料を、私は作品として描く事に決めたのだった。
いつもは、こんなのをと言われたのを書いていたけれど、最近はしんらしい作品をと言われていた。
だから、私はこの話を作りたかった。
ピンポーン
「はい、いらっしゃいませ」
「こんにちは!」
「どうぞ」
仕事部屋に使っているマンションにやってきた。
「久々だから、しんに、優衣ちゃん」
「元気してた?」
「元気、元気」
彼女は、大谷りあのだ。
「打ちきり、残念だったよね。吉宮凛だったのに…。」
「【嘘つきは、夜に泣く】?別に気にしてないよ。実際、不妊治療を深く描きたかったわけじゃなかったし。」
「確かに、治療を受ける側の心情を描いたんだよな!不倫したり、罵倒したりだよな!」
「そう!それを描きたかったんだよ。でも、次は頑張ったでしょ?」
「あの、映画は凄くよかったですよ!私は、好きですよ。【淡くもやがかかった色彩よ】ですね!」
「ありがとう、優衣ちゃん」
そう言って、りあのは笑っていた。
「あれ、赤ちゃんは?」
「保育園だよー。」
「お茶持ってきました。」
「ありがとう」
「お茶汲みになったのか?」
「はい。先生を支える人になりました。」
「そっか、振られたんだね」
「そうです。」
彼は、川島一路君だ!
5年前、18歳だった彼は、不妊に悩んでBL作品を描いて投稿していたりあのに恋をした。
当時、りあのは、38歳だった。
別に、ご飯を食べていくつもりもなかったと言っていた。パートにでも出て、毎日BL作品を書ければそれでよかったらしい。
そして、そこには私と同じ、不妊で苦しむリアルをいれていた。
「りあのも、不妊はずっと描くんだろ?」
「そうよ!だって、私。一路ちゃんと不倫しちゃおうかな?ってとこまで、追い詰められたんだよ。もう、執着だった。手放せないぐらいでさ!それを救ったのが、BL作品だった。だから、毎日、毎日ネタ探しに学生がいそうな所に行きまくったわよ」
りあのは、そう言って笑った。
「投稿して、読んでくれる人が一人でもいるのが楽しかったよな!」
「そうそう!凄く楽しかった。」
「まさか、同じ場所にいるとわね!」
「本当だね」
私も、またりあのの投稿作品を拝読する読者で、りあのもまた私の作品を拝読してくれる読者だった。
「俺は、付き合って欲しかったですよ。」
「何言ってんのよ!おばさん掴まえて」
りあのは、爆笑していた。
りあのは、左膝と足首が悪くて引きずっている。結婚してから、自分に自信がなくなっていき。そのうえ、不妊だった。
治療は、薬の副作用がきつくドクターストップで止められた。
でも、子供が欲しかったと話してくれた。私と妻は、結果的に離婚したけれど…。りあのは、旦那さんといるのは、楽しかったと言っていた。そして、自然妊娠は無理だと言われたりあのだったが38歳の終わりに妊娠した。
37歳の夏から、週1日だけ働きに行っていたらしい。そして、そのお金で小説の為にbarに通っていたらしい。りあのは、snsで見た女の人が気になったと言う。その人に、会う為に、そのbarに通ったらしい。その話が、近々ナリミさんを使って映像になるらしい。
「ナリミさんで、映像化されるんだって?」
「そうなのよ!しかも、私。まだ、彼女と繋がってるのよ。一路の友達の南君がゲイなの。ついてきてくれるのよ。」
「彼女は、りあのの事は?」
「好きになってくれてたと思うわ!私、そう思ってもらえるように頑張ったもの。旦那とは、違ったけど…。私のどん底に光をさしてくれたのよ。芸能人みたいな感じよ。会いに行けるアイドルだと思って行ってたし」
りあのは、そう言って笑った。




