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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
【心だけが繋がらない】
41/135

⑯

冬は、篠村さんの手を握りしめた。


「帰りましょ」


冬の言葉に驚いた!


「何で?」


「二人の10年間を壊したらアカンから」


「そんな」


「ごめん。キスして」


冬は、篠村さんを抱き締めた。


篠村さんと里山さんには、自分達にはない。絆が、存在してる。


だからこそ、自分とするべきじゃないと冷静になった冬は思っていた。


一方、夏も…。


「もう、やめよ」


「何で?」


「もう、充分。楽しかった」


「こんな話したから」


夏は、首を横に振った。


「壊したらアカンよ。10年間」


「ほんなら、最後に俺を振って」


「先輩は、何て名前やったん?」


「優さん」


「ほんなら、それ呼んで。僕の事も振って」


「うん」


「優さん、好きでした。俺と付き合って下さい。」


「ごめん。里山の気持ちには答えられへん。」


里山さんは、ポロポロと泣き出した。


「春、ずっと好きやった。僕と付き合ってくれへん?」


「ごめんな。夏の気持ちには、答えられん。」


その言葉に、夏は泣いた。


「ありがとう」


「こっちこそ、ありがとう」


最後に、泣きながら唇をゆっくりと重ねた。


一方、冬…。


「最後に、俺を振ってよ。冬。中学から、7年間好きやった。のりを忘れさせて欲しいねん。ゆいって、呼ばれてたから。」


「わかった。」


「のり、俺ずっとのりが好きやった。俺と付き合ってや!」


「ゆい、ごめん。俺は、ゆいとは付き合われへん。」


その言葉に、篠村さんは、泣いていた。


「秋、ずっと好きやった。俺と付き合ってくれへん?」


「冬、ごめんな。俺は、冬とは付き合われへん」


その言葉に、冬は泣いていた。


「ありがとう、好きやった。」


「こっちこそ、ホンマにありがとう。」


冬と篠村も最後に、優しく唇を重ね合わせた。


.

.

.

.

.

.


帰宅した四人は、顔を合わせた。


「じゃあね、三上さん」


「じゃあね、里山さん」


「ほんならね、成瀬さん」


「ほんなら、篠村さん」


バタン…。


それぞれのパートナーの元に戻った。


「振られたわ」


「奇遇やな!僕もやで」


泣きながら、夏と笑う冬。


鍵を閉める。


夏は、ベッドに冬を連れていく。


「俺の性処理の玩具になってくれん?」


「しゃーなしやで!わかってるか?」


「わかってる。ありがとう、ホンマにありがとう」


「下手やったら、一回やで」


「もちろんや」


初めてをやり直しす。


「優しくするからな」


「んんっっ、ハァー、ハァー」


「いい所は、みんな知っとるで」


「んんっっ、冬っっ」


夏の身体が、ピクリと跳ねる。


「僕も知ってるよ」


「ハァー、ハァー」


冬のものを握りしめる夏。


心だけが繋がらないのは、感じている。


でも、身体の熱をダイレクトに感じる。


「夏は、これが好きやろ?」


「いいっ、好き」


突き上げられる度に、喜びが込み上げてくる。


心なんて繋がろうが、なかろうがもうどうだっていい。


夏の身体の至るところは、冬なのだ。


冬の身体の至るところも、夏なのだ。


答えなんか、出るわけがない。


今だって、目を瞑れば篠村とのキスが浮かぶ冬。


里山とのキスが、浮かぶ夏。


「声、我慢せな聞こえんで」


「んんっっ、んんっっ」


突き上げられる度に、快感が襲ってきて、頭が真っ白になる。


突き上げる度に、快感が襲ってきて、頭が真っ白になる。


答えは、それだ!


誰よりも、身体の相性が良すぎる。


それだけで、充分だ!!!


誰かが、間違っていると言ったって、夏と冬には、これしか繋がりがないのだ。


「ハァー、ハァー」


「ハァー、ハァー」


重なり合う呼吸。


「んんっ、冬。」


「まだしよか?夏」


「もう、無理。何度もいってるのに…。」


「関係ない」


冬は、また夏を抱いた。


「無理、無理、冬。っっ、ハァ、ハァ」


「静かにせな!恥ずかしいで」


「んっ、んっ、んんっっ」


「可愛いな、夏」


「ハァー、冬。いい。」


「気に入った?」


「うん、気に入った。玩具になるよ。」


「よかった」


触(ふ)れた場所から、熱を持つ。


身体中が、冬を求めて受け入れる。


身体が、夏が欲しいと叫んでる。


もう、それが答えだろ?


心何か繋がなくたって、こんなに欲しいのだから、答えだろ?


こんなに気持ちいいのだから、答えだろ?


二人は、頭の中で何度もそう思った。


好きじゃなきゃ、愛がなきゃ、そう教えられてきたはずなのに…。


どこをもって、好きというのだろうか?


どれをとって、愛だというのだろうか?


二人には、永遠の謎でしかなかった。


3ヶ月後ー


あの日から、お隣さんとは、変わらずに仲よくしいた。


「夏、肉焼けるで」


「うん、食べる」


冬と焼き肉を食べに来ていた。


帰り道、冬は夏の手を握りしめた。


「うまかったな!」


「うん、また行こうな」


冬は、月命日に行くのをやめた。それは、志保に相変わらず脅されているからだった。

冬は、志保のせいで、会社を辞める事になった。

そして、今。ビルの清掃員の仕事をしている。


夏もコンビニを辞める事になった。そして、志保が両親にゲイだとばらしたせいで絶縁状態になった。夏は、今二駅向こうのラブホテルの清掃員をしている。


夏と冬は、手を繋ぎながら同じ事を思っていた。


【季節を飛び越えられないように、心はその季節の向こう側にある。いつか、掴めるかもしれないけれど…。そのいつかがわからない。だけど、いつか季節を飛び越えて掴めたとしたら…。もう、二度と離さないのを約束するから…。だから、心はそこに置いておいて…。】


二人のシルエットが、夜の闇に消えていく。



           END



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