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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
【心だけが繋がらない】
39/135

⑭

あっという間に、日曜日になってしまった。


夏も昨日引っ越してきた。


あれから、肌を重ねられずにいた。


夏と冬は、それがなくなっただけで、一気にお互いがわからなくなっていた。


「俺、行くわな」


冬は、いつもよりお洒落な服装をしている気がする。


「うん、きいつけてな」


「夏もな!ほな」


冬が出て行ってしまった。


【結がいって10分後にでるわ】


と、里山さんからワンムがきていた。


夏も、服を着替え始める。


一方、冬は…。


「徒歩でよかったんかな?」


「ええよ、別に」


さっと、手を繋がれた。


「えっと」


「あっ、アカンかったね。ごめん」


篠村さんが、離そうとする手を強く握りしめた。


「好き」


繋いだ瞬間に、そう言った。


「うん」


篠村さんは、冬の手を強く握りしめてくれた。


「篠村さん」


「今日は、秋でええよ」


「秋……」


口に出したら、涙が流れてきた。


「なに?」


「好き、俺、秋が好き」


涙がどんどん流れてくる。


「うん。期待してるんやったら、最後までしたげるよ」


篠村さんは、優しく俺の頭を撫でる。


俺は、首を横に振った。


手繋いでるだけで、嬉しい、苦しい。


「好き」


「うん」


「好き」


「うん」


「好き」


22年分の好きと涙が止まらない。


「秋、好き」


「うん」


「ホンマに好き」


「うん」


「好き」


「うん」


延々好きを言い続けても、もういい、わかったから、何て言わない篠村さんの優しさに甘えてしまう。


篠村さんと俺したい。


スッてハンカチを差し出された。


「ありがとう」


「うん」


「なあー。成瀬さん、何て呼んだらいいん?」


「冬で」


「わかった。冬。」


「はい」


「冬の人生、取り戻そうや」


そう言って、篠村さんは笑った。


タクシーを拾った。


「秋さんと何したかったん?」


その言葉に、答えられんくて篠村さんは運転手さんに行き先を告げていた。


マンションについた。


「ジュースやな!18歳やったわけやから」


マンションの下の自販機で、ジュースを買ってる。


「行こう」


「何階?」


「5階」


「ここなに?」


「マンスリーで借りたんやで!」


篠村さんは、手を引いた。


「無理や、無理」


「上書きせな、なおらんって」


エレベーターで、五階を押された。


膝が、震える。吐きそうや…


それでも、篠村さんは五階に連れてきた。


マンションの鍵を開けて、部屋に入った。


クラっとした俺を支えてくれた。


「しの」


「秋やで」


そう言って、玄関で俺を置いてスタスタと進んでいく。


不思議と吐き気が止まった。


動悸はあるけど、さっきまでの気持ちが少し和らいだ。


俺も、部屋の中に入った。


篠村さんは、ベランダに立っていた。


「こんな感じやった?」


「秋」


下を覗いてる。


「五階も悪ないかもな」


「秋」


篠村さんじゃなくて、秋に重なっていく。


「冬、どないしたん?」


「秋、死なんで」


「大丈夫やで、おいで」


「秋、いなくならんで」


「気持ちいいで、来てみたら?」


俺は、ベランダに恐る恐る出る。


「おいでや。ほら、子供とかいるやん。見て」


腕を引っ張って、引き寄せて抱き締めた。


「冬」


部屋の中にいれた。


「どないしたん?」


もう、止められんかった。


「俺、秋が好きや。抱かせて」


篠村さんは、俺を見つめる。


「痛くせんといてくれる?」


「優しくするから」


「わかった。でも、ここではね。んんっっ」


夏にワンムをする前に、キスをしていた。


「待って、冬。待って、っっ」


「秋」


「ハァ、ハァ、ハァ、んんっっ」


「好きやで」


舌をねじ込んでた。


それでも、篠村さんは受け入れてくれる。


「ちょっと待って、ちょっと待って」


もう、止まられへん。


カチャカチャとベルトに手をかける。


「待って、待って。ホンマに待って」


ガタッって、押し倒した瞬間。


我に返った。


「ごめん。篠村さん」


「いや、ええんやけど。和には、話とるから」


「何で、ここまで」


「俺も事故で好きやった人亡くしてるからわかんねん。」


篠宮さんは、涙をボロボロ流した。


そして、「冬にソックリやった人」


そう言って、待ち受け画面の写真を見せられた。


俺は、その言葉に固まっていた。






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