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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
シークレット作品②
119/135

【温度】⑨

roseに入った二人。


「服のタグ切るのないかな?」


「ハサミって事?」


「あるわけないよね」


「だね!ライターとかは?」


「それで、いけるかな?」


「歯でちぎる?」


「ワイルドすぎない?」


「そうだよね。クルクル回したらとれるってTVで見た気がする」


「クルクルか」


一輝は、クルクル回した。


服が飛んで行った。


「ハハハ」


「ハハハ」


二人で笑い合って泣いていた。


「泣かないでよ、花香」


呼び捨てにしてしまった。


「ごめん」


「ううん。一輝も泣かないで」


花香も一輝を呼び捨てにした。


一輝は花香の、花香は一輝の、頬に手を当てて涙を拭った。


一輝は、花香に吸い寄せられる。


ゴンッ…


「イタッ」


花香のおでこに、一輝のおでこが当たった。


「何してんのかな?ハハハ」


「本当だね。」


「向こうがしてるからってしなくていいよね」


「そうだな」


「何か、一輝だったらいいかもって思っちゃった」


「俺もだよ。花香ならいいかもって」


「これぐらいは、許される?」


花香は、一輝に近づいた。


一輝は、気づいて花香を抱き締める。


「ごめんね」


「私こそ、ごめんなさい」


昨日から、誰かに抱き締められたかった二人


誰でもいいわけじゃなかった。


一輝は、花香に抱き締められたかったし、花香も一輝に抱き締め

られたかった。


「花香、離婚が成立したら新しい人を見つけた方がいいよ。まだ、花香は綺麗だよ」


「42歳だよ。私は…。それに、まだ孝輔を嫌いになれないの。一輝の方が、若いんだから新しい人を見つけた方がいいよ。」


「花香、俺は期待させる自分の体が嫌いなんだ。期待させて、裏切る。この体が嫌いなんだ。」


「わかるよ。私も同じだから」


一輝は、花香の頬を流れる涙を拭ってあげる。


「慰謝料もらって、新しい人生に行こう。それが、俺も花香も幸せになれる道だから…」


「うん、そうだね」


二人は、暫く泣きながら抱き合った。


その後、一輝が映画をつける。


「これ、見ようか?」


「うん」


【欠けたピースは戻らない】がやっていた。


二人は、並んでそれを見て泣いていた。


「子供がいなくても、不倫されたら辛いよね」


「そうだね」


再放送のドラマだったようだ。


「服、着替えてくる」


「うん」


花香は、服を着替えに行く。


「どうかな?」


「めちゃくちゃ似合ってる」


黒を着ると花香の美しさと色気が二割程増していた。


「俺も、着替えてくる」


「うん」


一輝も着替えた。


「どうかな?」


「凄く似合ってるよ」


一輝の美しさをパステルの色が引き立てて、より一層美しかった。


「そろそろ行こうか」


「うん」


二人は、立ち上がって部屋を出る。


「ヤバい」


まさかの、桜と孝輔と鉢合わせた。


「はーちゃん、こっち」


少し、声色を変えた。


「うん」


朝、一輝は桜にバレないように録音式の盗聴器をしかけておいた。なのに、ホテルに来たならバレなかったのだ。


孝輔と桜は、二人が後ろにいるのも気づかずに話し出した。


「昨日さー」


「うん」


「久々に妻に求められちゃったんだよ。」


「えー、奇遇だね。私もよ」


「離婚したくないって言われてさ」


「私も…」


それなりの声だから、一輝と花香に聞こえていた。


花香は、一輝の手をギュッと握りしめてきた。


一輝も花香の手を握りしめる。


清算機で、お金を払ってる。


「だから、暫く離婚無理かもしれない。もう少し待っててくれる?」


「うん。私も無理かも」


「まだ、妊娠出来ると思ってんだろうな。」


「えー。無理でしょ?42歳だっけ?それに、20年でしょ?」


「そうなんだよ。桜のとこもだろ?」


「そうそう!でも、断れないじゃん。」


殴りたくなる気持ちを押さえる一輝と花香。


「買い物してくだろ?」


「うん、行こうか」


花香の足が止まった。


「ごめん」


「いや、場所はわかってるから」


「うん」


二人は、車に乗って行った。


「ゆっくり、歩こうか?」


「うん」


花香の目に涙が一杯溜まってるのを見てしまった一輝


思わず引き寄せて、抱き締めてしまった。


「ごめん」


「酷い嘘だね。」


「帰ったら、盗聴器の音声聞くんだけど…。俺だけで、聞こうか?」


「ううん、私も聞くから」


「じゃあ、音声送るから」


「わかった」


花香は、一輝から離れた。


「行こう」


「うん」


歩いて、二人がいるスーパーに向かう。


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