↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
シークレット作品②
118/135

【温度】⑧

一輝は、暫くソファーでボッーとした後で、服を着替えていた。


花香に、早く会いたいと思った。


桜に向けられる気持ちが悪い好意より、花香が向けてくれた同じ温度が心地よかった。


家を出る。


barの前まで歩いてくると、淡いグリーンのワンピースを着た花香が立っていた。


「待たせちゃった?」


「いえ、大丈夫。家にいたくなかったから…。」


「そっか」


一輝は、花香の手を握ってしまった。


「慣れなきゃと思って」


一輝の言葉に、花香も手を握り返した。


「慣れなきゃダメだよね」


「じゃあ、服買いに行こう」


「うん」


ただ、手を繋ぐだけ。指を絡ませたりなどはしない。


それだけなのに、花香と一輝は気持ち悪さが拭えていく。


「ここだったら、安いかな」


服屋さんに入る。


「淡いパステルの服が多い?」


「うん」


「だったら、黒とかは着る?」


「あんまり、着ない」


「じゃあ、黒系にしようか?」


「うん、一輝さんは?」


「俺は、逆パステルカラーとかは着ないな。今日だって、紺色だし!」


「じゃあ、パステルにします?」


「うん、そうだね」


花香と一輝は、それぞれをコーディネートした。


帽子と伊達メガネをつけた。


「ありがとうございました。」


二人で、店を出た。


「何食べたい?花香さん」


「あっ、名前でバレるよね?」


「何て呼べばいい?」


「小さな頃は、はーちゃんって呼ばれてたよ。」


「じゃあ、はーちゃんにする」


「一輝さんは?」


「俺はね!小さな頃、いっくんって呼ばれてた。」


「じゃあ、いっくんにする。」


「はーちゃん、何食べたい?」


「うーんとね。パスタ食べたい」


「そっか、パスタか!」


一輝といる方が、楽しい。


孝輔といるより、楽しい。


花香は、ニコニコ笑う。


一輝も、桜の笑顔より花香の笑顔を見る方が安心した。


「ここで、食べようか?」


「うん」


繋いだ手の温もりは、同じ温度だった。


熱くもなく、冷たくもない。


心地よくて、ずっと浸かっていたい。


「これ下さい」


「同じの下さい」


「かしこまりました。」


たらこパスタを二人で頼んだ。


「桜はね、たらこの粒々が見るのも嫌だって言ってね。外でしか食べれないんだ。」


「私も!孝輔は、味も見るのも嫌いだって言ってね。絶対に食べさせてくれないの」


「はーちゃんが、同じの頼んでビックリしたよ」


「私も、いっくんが同じの好きでよかった」


花香と一輝は、昨日の悲しみを拭えた。


「お待たせしました。」


たらこパスタとサラダがやって来た。


「いただきます。」


一緒に食べる。


一輝は、花香と結婚していたら幸せだったのじゃないかと思った。


花香も、一輝と一緒にいたら楽しかったのではないかと思っていた。


同じ悩みを持つ二人。


男性不妊だと話した時、花香は「そうなの」としか言わなかった。何で?妊娠出来ないの?そう言われてきた一輝にとって花香は新鮮だった。


花香もまた「排卵障害がある」と言った、一輝は「そうか」としか言わなかった。妊娠出来ないのか?もう、20年だぞ!そう言われてきた花香にとって一輝は新鮮だった。


子供だけが、結婚の価値だと決めつけられるのが嫌だった。


それなら、自分は無価値で駄目な存在だと言われてるみたいで嫌だった。


どれだけ泣いたかわからなかった。


それでも、期待した。


期待した自分を裏切る自分の体が嫌いだった。


二人は、同じ事を考えながらたらこパスタを無言で食べる。


パスタを食べれて嬉しいから?


二人は、泣いていた。


「ごめん」


「ううん、私も…」


食べ終わって、お会計をしてすぐに店を出た。


「服、トイレで着替える?まだ、時間あるから…。映画とか?」


一輝は、何故こっちに花香を引っ張ってきたのかと思った。


roseの近くに来ていた。


「ごめん、戻ろう」


花香は、首を横に振った。


「ダメだよ。同じ事したら」


「服、着替えるだけだから…。時間も潰れるでしょ?」


花香の言葉に一輝は、頷いてroseに入った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。