【欠けたピースは戻らない】⑩
カッターシャツのボタンをはずされていく昌也
機能しない自分のを見て引かれないか不安しかない昌也
俊之は、そんな事、気にしない。
優しく唇を重ねられる。
キスは、昌也もした事はあった。
でも、こんなに優しいキスを知らなかった。
ハムッと唇で唇を優しく噛まれる。
それから、ゆっくりと舌を使って唇を開けていく。
キスだけで、とろけそうだ。
俊之のキスは、器用に舌を使ってくる。
優しく舌を絡ませられる。
昌也は、初めて下半身に違和感を覚える。
「声、出さないようにしなきゃいけないよな」
耳元で、俊之の優しくて甘い声が響いた。
お腹の奥まで響いた。
カッターシャツのボタンは、いつの間にか全部はずされていた。
舌を這わせながら、鎖骨からゆっくりと滑らせていく。
太ももに、俊之のが当たってる。
俊之は、昌也のそれに触れようとする。
「ダメ」
機能してないのを気づかれたくなかった。
「キツイだろ?こんなんだったら
」
そう言われて、自分の下半身に触れた昌也
まさか!!
機能している。
涙が止まらなくなった。
「やっぱり、やめる?」
俊之は、昌也の涙を見て、そう言った。
昌也は、首を横に振った。
「やっぱり、キツイ?」
昌也は、首を縦に振る。
「わかった。楽にしてやるから」
俊之は、昌也のズボンのベルトをカチャカチャと外して、ズボンを脱がした。
11年ぶりに機能した昌也のを俊之は触ってくれる。
身体が初めての快感に驚き、心が恐怖を覚えた。
「怖い」
名も知らぬ男にされる恐怖と初めての恐怖。
そして、母親につけられた嫌悪感を拭えない恐怖。
「怖いです」
俊之は、昌也のから手を離した。
「やめようか?」
昌也は、首を横に振った。
「名前、知らない人だから…」
「俺は、俊之」
「俺は、昌也」
「こんな格好で自己紹介ってうけるな」
「ごめん。萎えた?」
「昌也君は、初めてだろ?」
「違う。昌也でいいから、やってよ」
「嘘つくなよ。初めては、恥ずかしくないよ。」
そう言って、俊之は涙を拭ってくれる。
「ごめん」
いいムードを台無しにしてしまった。
「やめようか?」
「やめたら、これ」
「静まるよ。大丈夫」
そう言って、俊之は笑った。
「最後までして」
その笑顔に、急に胸が締め付けられた。
昌也は、俊之の腕を引っ張った。
ドサッ…。
俊之は、昌也の顔を見つめる。
キスから、また初めてくれる。
涙が流れ落ちては、止まらない。
この行為は、いけないものだと言われ続けていた。
そのせいで、14歳から機能不全に陥った昌也。
それが、目の前にいる俊之にだけ機能したのだ。
「一緒にいこうか?」
「うん」
昌也は、俊之のズボンを脱がせた。
やり方なんか、わからないし。
どうすれば、いいかわからないし。
だから…。
初めての快感と罪悪感の中、昌也の初めては終わった。
「大丈夫?」
「うん」
「男同士のやり方わかんないから、調べてみる」
俊之が、立ち上がろうとしたけど。
昌也は、俊之の腰に手を回した。
「どうした?」
「今は、まだ一緒にいて」
終わったのに、また出来そうな自分が怖い昌也
「昌也、性に対して嫌悪感あったんじゃないか?」
俊之は、昌也の顔を見つめながら言った。
「そんなわけない」
「親に植え付けられたのか?」
俊之の言葉に、昌也は驚いた顔をする。
機能不全だったなんて、信じてもらえない。
だって、そうなったんだから…。
「もう、その話はいいよ」
「俺ね、親が不倫してたんだ。」
その言葉に、昌也は驚いていた。
「俺も同じだよ」
俊之の頬に手を当てる。
「それでさ、今日母親の回忌でね。色々聞かされてね。正直キツくてね」
「俊之君も死のうとしたの?」
「俊之でいいよ」
「俊之も、死のうとしたの?」
「うん」
昌也の細い指先が俊之の頬を撫でる。
この日、父親が不倫している最中に、出来た子供であると知った俊之。
そして、母親にまで不倫をされた俊之。
その2つが、自分の中で処理できずに嫌悪感だけが広がっていった。
それでも、父と母を愛している自分が堪らなく嫌いだった。
小さな頃から、欠けた部分を埋める術もないままに、ここまできたのに…。
その広がったままの傷口には、大量の塩を塗られただけだった。




