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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
93/948

#91

一度(りょう)へと(もど)ることに決めたミックスたち。


その帰り道の途中(とちゅう)にあったコンビニエンスストアで(かさ)購入(こうにゅう)し、雨の中を歩いていた。


サービスは物めずらしいのか、雨音(あまおと)()らしている傘を不思議(ふしぎ)そうに(なが)めている。


ミックスはそんなサービスを肩車(かたぐるま)すると、彼女に傘を持たせた。


すると、サービスははしゃぎだし、ミックスは思わずバランスを(くず)しそうになっている。


()れるミックスの上に()ったサービスは、遊園地(ゆうえんち)のアトラクションにでも楽しむかのように、さらに(うれ)しそうにしていた。


ニコはそんな彼を見ると、ため(いき)をついて(あき)れている。


(あの警備(けいび)ドローン……。どうしてサービスを(ねら)ってたんだろう……)


ジャズはそんな彼らの(うし)ろで、先ほどのサービスが(おそ)われた理由(りゆう)を考えていた。


監視員(バックミンスター)副隊長(ふくたいちょう)エヌエーの話では、バイオニクス共和国(きょうわこく)にあるすべてのドローンは、購入者(こうにゅうしゃ)以外(いがい)には操作(そうさ)できなようにセットされている。


外部(がいぶ)から(あやつ)れないとすれば誤作動(ごさどう)ということになるが、共和国の治安(ちあん)維持(いじ)はドローンに依存(いぞん)しているため、それは考えにくい。


それはそんな簡単(かんたん)に誤作動を起こすようなら、ドローンに治安維持を(まか)せるはずがないからだ。


(かり)にも世界最大の科学力(かがくりょく)(ほこ)っていたストリング帝国(ていこく)降伏(こうふく)させ、その技術(ぎじゅつ)自国(じこく)でさらに昇華(しょうか)させた機械(きかい)工学(こうがく)保有(ほゆう)する共和国で、ドローンの誤作動などあり()ない。


ならば、やはりあそこの――研究(けんきゅう)施設(しせつ)関係者(かんけいしゃ)か?


監視(かんし)カメラの映像(えいぞう)もいじられていたようだし、その可能性(かのうせい)は高い。


しかし、それならばどうして自分たちがサービスを連れて行ったときに、彼女を引き取らなかったのか。


もしサービスを狙っているのなら、ドローンなど使わずに引き取ってしまったほうが、余計(よけい)手間(てま)がかかることはないというのに。


「おいジャズッ! 見てないでサービスを止めてよッ!」


ジャズを肩に乗せたミックスが、不安定(ふあんてい)に揺れながら(さけ)んだ。


幼女(ようじょ)が肩から落ちないようにバランスをとろうとするミックスと、そんなことを気にせずに傘を振り回しているサービス。


その様子(ようす)は、まるで子どもが遊ぶ玩具(おもちゃ)――グラグラタワーのようだ。


ジャズはそんな彼らを見ると、また自分の悪い(くせ)が出たと思った。


先ほど、これからはサービスから目を(はな)さなければ()いと決めたばかりだというのに。


どうも自分は(むかし)から考えすぎるところがある。


今はドローンのことよりも、サービスが今度も安心して暮らしていける場所を見つけることが大事だ。


「ちょっとミックスッ! もっと()()りなさいよ! サービスが落ちちゃうでしょ!」


「だからジャズに手を()してもらおうとしてるんだろッ!? 早くサービスを()ろしてくれッ!」


ジャズは傘をニコに(あず)けると、ミックスの肩に乗ってはしゃいでいるサービスの体を(つか)んだ。


そして、ゆっくりとそのまま地面(じめん)へと降ろした。


「もっと、もっとやりたいぃ」と、またミックスの肩に乗りたがるサービス。


ジャズはそんな彼女を(さと)すように声をかける。


「ごめんねサービス。この乗り物は貧弱(ひんじゃく)だから、あなたの安全が確保(かくほ)されないのよ」


(おれ)は乗り物(あつか)いか……。しかもなんか(ひど)いこといってるし……」


ジャズの言い方にミックスは怪訝(けげん)な顔をしている。


ニコはそんな彼の足を、気にするなといわんばかりにポンっと(たた)いていた。


「だめなのぉ?」


「そうね……。よし、じゃあ明日は遊園地へ行きましょう」


「ゆうえんちぃ?」


「そう、そこならいくらでも安全な乗り物があるし、きっと楽しいわよ」


ジャズが(かが)み、サービスに目を合わせていうと、幼女は笑みを浮かべてはしゃぎだした。


そして、雨の中を傘も差さずに走って行ってしまう。


「あッちょっとサービスッ!? 待ちなさいッ!」


「ゆうえんち! ゆうえんち!」


サービスを追いかけていくジャズ。


彼女もまたサービスと同じように()れながら()けていく。


「こりゃ、傘を買った意味(いみ)はなかったかもしれない……。でもまあ、こんなもんだよね……ハハハ……」


湿(しめ)った空気の中で(かわ)いた笑みを浮かべるミックス。


ニコはそんなミックスを()かし、彼と共に二人の後を追いかけるのだった。

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