↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
PR
90/948

#88

――ミックスが施設(しせつ)からタオルを借(か)りて戻(もど)ると、サービスは消えていた。


彼は慌(あわ)てて周囲(しゅうい)を探(さが)してみたが、近くにサービスの姿(すがた)はなかった。


そこへトイレへ行っていたジャズとニコが戻ってくる。


「お待たせ。あれタオル借りてきたんだ? 気が利(き)くわね」


「ジャズ……実(じつ)は……」


ミックスはタオルを借りに行っている間(あいだ)に、サービスがいなくなってしまったことを説明(せつめい)した。


じっとしているようには言ったのだがと、彼は申(もう)し訳(わけ)なさそうに言葉を吐(は)いている。


それを聞いたジャズは、血相(けっそう)を変えて雨が降(ふ)る外へと飛び出していく。


「ともかく今はサービスを探そう! あんたは右のほう、ニコは施設内をお願(ねが)い! あたしは左側から探すから!」


彼女の言葉を聞き、ミックスも走りだし、ニコも施設の中へと向かう。


トイレへ行ってから時間はそんなに経過(けいか)していない。


子どもの足でそんな遠(とお)くまで行けるとは思えない。


ジャズは内心(ないしん)でサービスの無事(ぶじ)を祈(いの)りながら、先ほどよりも強くなった雨の中を駆(か)けていく。


(大丈夫……ぜったいに大丈夫……。待っててねサービス。すぐに見つけるから)


――その頃(ころ)、雨の中を飛び出していったサービスは、雨雲(あまぐも)に覆(おお)われている空に声をかけ続けていた。


誰もいない施設の庭(にわ)で、その小さな手を伸(の)ばしながら歩き続けている。


「……対象(たいしょう)を発見(はっけん)しました。これより捕獲(ほかく)に入ります」


そんなサービスの姿(すがた)を、研究(けんきゅう)施設内から見ていた白衣(はくい)姿の男は、使用していたエレクトロフォンを通話(つうわ)を切ると、そのまま別(べつ)の操作(そうさ)を始(はじ)める。


すると、施設の庭にいた警備(けいび)ドローンが起動音(きどうおん)を鳴(な)らして動き出した。


そして警備ドローンは、物凄(ものすご)い速度(そくど)で庭を歩いているサービスへ向かって行く。


だが、サービスは気が付かない。


警備ドローンが自分を目掛(めが)けて突進(とっしん)してきているというのに、まだ空を見上げている。


「ドローンがなにしてんのよぉぉぉッ!」


そこへ声を張り上げて飛び込(こ)んできたジャズによって警備ドローンが吹(ふ)き飛ばされる。


ジャズのショルダータックルを喰(く)らったドローンは、施設の塀(へい)にぶつかり破損(はそん)。


その割れた箇所(かしょ)から雨水が入り、内部に流(なが)れる電気(でんき)を散(ち)らしすと、やがてその動きが止めた。


「じゃず……?」


「サービス! 無事でよかったッ!」


ジャズは警備ドローンが完全(かんぜん)に沈黙(ちんもく)したことを確認(かくにん)すると、びしょ濡(ぬ)れになっているサービスの元(もと)へ走った。


すでに豪雨(ごうう)へと変わった天気など気にも留(と)めずに、地面に両膝(りょうひざ)をついて濡れた幼女(ようじょ)を抱きしめる。


「心配(しんぱい)したんだから……。すっごくすっごく心配したんだからね……」


抱きしめられたサービスのほうは、何故ジャズが泣きそうになっているのかがわからないようだ。


だがサービスは、そんな彼女を抱き返してその頭(あたま)を優(やさ)しく撫(な)で始めた。


彼女なりに慰(なぐ)めているつもりなのだろう、これではまるでジャズが迷子(まいご)になったみたいだった。


「だいじょうぶ、だいじょうぶだよぉじゃず。あたしはここにいるよぉ」


「もう……この子ったら……人の気も知らないで……」


頭を撫でられたジャズは、サービスと顔を突き合わせると笑ってしまっていた。


それはサービスが無事だったという安心と、彼女の能天気(のうてんき)さを見たからだった。


そんな二人の姿を――。


白衣姿の男が施設内から見ていた。


男はすぐにエレクトロフォンを使い、先ほど話していた者に連絡をいれる。


「申(もう)し訳(わけ)ございません。対象の捕獲に失敗(しっぱい)しました」


《ほうほう。何か予期(よき)せぬことでも起きたのかな?》


「はい。言い訳をさせてもらうと、どうやらルーザーリアクターは、ストリング帝国(ていこく)からの留学生(りゅうがくせい)、ジャズ·スクワイアと共にいるようです」


《ほうほう、あの帝国から来た少女か。それは予期せぬことだね》


「これからどういたしましょう、ドクターアイスランディック?」


白衣姿の男の電話相手――。


アイスランディック·グレイは、男に訊(たず)ねられると不気味(ぶきみ)にその肩(かた)を揺(ゆ)らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。