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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
90/948

#88

――ミックスが施設(しせつ)からタオルを()りて(もど)ると、サービスは消えていた。


彼は(あわ)てて周囲(しゅうい)(さが)してみたが、近くにサービスの姿(すがた)はなかった。


そこへトイレへ行っていたジャズとニコが戻ってくる。


「お待たせ。あれタオル借りてきたんだ? 気が()くわね」


「ジャズ……(じつ)は……」


ミックスはタオルを借りに行っている(あいだ)に、サービスがいなくなってしまったことを説明(せつめい)した。


じっとしているようには言ったのだがと、彼は(もう)(わけ)なさそうに言葉を()いている。


それを聞いたジャズは、血相(けっそう)を変えて雨が()る外へと飛び出していく。


「ともかく今はサービスを探そう! あんたは右のほう、ニコは施設内をお(ねが)い! あたしは左側から探すから!」


彼女の言葉を聞き、ミックスも走りだし、ニコも施設の中へと向かう。


トイレへ行ってから時間はそんなに経過(けいか)していない。


子どもの足でそんな(とお)くまで行けるとは思えない。


ジャズは内心(ないしん)でサービスの無事(ぶじ)(いの)りながら、先ほどよりも強くなった雨の中を()けていく。


(大丈夫……ぜったいに大丈夫……。待っててねサービス。すぐに見つけるから)


――その(ころ)、雨の中を飛び出していったサービスは、雨雲(あまぐも)(おお)われている空に声をかけ続けていた。


誰もいない施設の(にわ)で、その小さな手を()ばしながら歩き続けている。


「……対象(たいしょう)発見(はっけん)しました。これより捕獲(ほかく)に入ります」


そんなサービスの姿(すがた)を、研究(けんきゅう)施設内から見ていた白衣(はくい)姿の男は、使用していたエレクトロフォンを通話(つうわ)を切ると、そのまま(べつ)操作(そうさ)(はじ)める。


すると、施設の庭にいた警備(けいび)ドローンが起動音(きどうおん)()らして動き出した。


そして警備ドローンは、物凄(ものすご)速度(そくど)で庭を歩いているサービスへ向かって行く。


だが、サービスは気が付かない。


警備ドローンが自分を目掛(めが)けて突進(とっしん)してきているというのに、まだ空を見上げている。


「ドローンがなにしてんのよぉぉぉッ!」


そこへ声を張り上げて飛び()んできたジャズによって警備ドローンが()き飛ばされる。


ジャズのショルダータックルを()らったドローンは、施設の(へい)にぶつかり破損(はそん)


その割れた箇所(かしょ)から雨水が入り、内部に(なが)れる電気(でんき)()らしすと、やがてその動きが止めた。


「じゃず……?」


「サービス! 無事でよかったッ!」


ジャズは警備ドローンが完全(かんぜん)沈黙(ちんもく)したことを確認(かくにん)すると、びしょ()れになっているサービスの(もと)へ走った。


すでに豪雨(ごうう)へと変わった天気など気にも()めずに、地面に両膝(りょうひざ)をついて濡れた幼女(ようじょ)を抱きしめる。


心配(しんぱい)したんだから……。すっごくすっごく心配したんだからね……」


抱きしめられたサービスのほうは、何故ジャズが泣きそうになっているのかがわからないようだ。


だがサービスは、そんな彼女を抱き返してその(あたま)(やさ)しく()で始めた。


彼女なりに(なぐ)めているつもりなのだろう、これではまるでジャズが迷子(まいご)になったみたいだった。


「だいじょうぶ、だいじょうぶだよぉじゃず。あたしはここにいるよぉ」


「もう……この子ったら……人の気も知らないで……」


頭を撫でられたジャズは、サービスと顔を突き合わせると笑ってしまっていた。


それはサービスが無事だったという安心と、彼女の能天気(のうてんき)さを見たからだった。


そんな二人の姿を――。


白衣姿の男が施設内から見ていた。


男はすぐにエレクトロフォンを使い、先ほど話していた者に連絡をいれる。


(もう)(わけ)ございません。対象の捕獲に失敗(しっぱい)しました」


《ほうほう。何か予期(よき)せぬことでも起きたのかな?》


「はい。言い訳をさせてもらうと、どうやらルーザーリアクターは、ストリング帝国(ていこく)からの留学生(りゅうがくせい)、ジャズ·スクワイアと共にいるようです」


《ほうほう、あの帝国から来た少女か。それは予期せぬことだね》


「これからどういたしましょう、ドクターアイスランディック?」


白衣姿の男の電話相手――。


アイスランディック·グレイは、男に(たず)ねられると不気味(ぶきみ)にその(かた)()らした。

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