#87
――それからミックスたちは、歩いていけるテストチルドレンがいると思われる研究施設を回った。
だが、アミノから聞かされていたように、現在テストチルドレンとなっている子どもというのは、隔離させられるほどの病の持ち主か植物人間状態の者、さらには本人、家族が了承した子に限り、サービスはそれのどれにも当てはまらなかった。
そのため、当然研究所で働いている研究員たちにも、彼女のことは見覚えはない言われてしまう。
わかっていたとは、さすがに何十もの施設を訪ねたせいか、彼らもすっかり肩を落としてしまっている。
「なかなか見つからないわね……。おまけに今日は晴れるっていったていたのに、雨まで降って来ちゃったし。泣きっ面に蜂とはこのことだわ……」
「でもまあ、こんなもんだよね……ハハハ……」
ジャズがボソッというと、ミックスがいつもの渇いた笑みを浮かべる。
ニコも雨が苦手なようで、すっかり曇ってしまった空を見上げて憂鬱そうに鳴いている。
そんな中、サービスだけはそんな暗い空を見て笑っていた。
彼女は、空から水の雫が垂れてくるのが面白いのか、両手をあげて必死に雨粒を掴もうとしている。
「サービスったら、風邪ひいちゃうでしょ」
ジャズが雨の中をはしゃいでいるサービスを捕まえ、彼女にびしょ濡れになると体調を崩してしまうと伝えたが、よくわかっていないようだ。
不思議そうにジャズを見ながら、その首を傾げている。
それからミックスたちは、とりあえず雨が落ち着くまで。
先ほど訪ねた施設の出入り口で雨宿りすることにした。
その間、ジャズが施設にあるトイレを借りに中へと入り、ニコも彼女の後について行った。
残されたミックスは、すでにかなり濡れてしまっていたサービスを向く。
そして、びしょ濡れになっている彼女の姿を見てあることを思いつく。
「そうだ、施設の人にタオルとか借りられないかな」
このままではサービスが風邪をひいてしまう思ったミックスは、彼女にここでじっとしているようにいうとジャズたちに続き、施設内にへと入って行った。
少しの間ならサービスから目を離しても大丈夫だろう。
彼はそう思ったのだが――。
「おそらがないてるのは……どうして……?」
一人になったサービスは空に向かってボソボソと呟いていた。
両手を広げ、先ほどは笑っていたというのに、今度は今にも泣き出しそうな顔をしている。
「だいじょうぶだよぉ……。あたしがいるよぉ……」
サービスは空へ向かってそういうと屋根のある出入り口から飛び出した。
彼女には雨を降らす空が悲しんでいるように感じたのだろうか。
まるで泣いている友だちを慰めるかのように言葉を続け、その小さな手を伸ばしている。
「そばにいるの? ねぇ……ねぇ……」
そして、サービスは何か導かれるように、そのまま空を見上げて歩きだしていってしまった。




