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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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8/948

#8

――その後、スーパーマーケットへと駆(か)け込(こ)んだミックスだったが。


すでに多くの食材(しょくざい)は売れ切れてしまっていた。


「ま、間に合わなかった……」


食品売り場で立ち尽(つ)くすミックス。


いくら目を凝(こ)らしても肉も魚も野菜(やさい)すらもなく、唯一(ゆいいつ)残(のこ)っていた食パンを手に取ってレジへと向かい、会計(かいけい)を済(す)ませる。


トボトボとスーパーマーケットを出た彼は、陽(ひ)が沈(しず)みかけている空を見ながら呟(つぶや)いた。


「でもまあ、こんなもんだよね……ハハハ……」


そして、いつもの乾(かわ)いた笑(え)みを浮(う)かべた。


そのままの表情(ひょうじょう)で、ブツブツと同じことを言いながら帰り道を歩(ある)くミックス。


その途中《とちゅう》で、道行く人がそんなミックスを見てヒソヒソと話をしていたが、今の彼には人目(ひとめ)を気にする余裕(よゆう)はなかったようだ。


そして、学校の寮(りょう)――自宅(じたく)であるワンルーム前に辿(たど)り着くと、見覚(みおぼ)えのある仔羊(こひつじ)を見つける。


「あれ、お前……ニコじゃないか? どうしてうちの前にいるんだ?」


ニコはミックスの姿を見ると、すがりつくよう駆(か)け寄(よ)ってきた。


それから鳴(な)きながら彼の足(あし)を引っ張(ぱ)り出す。


そんなニコを見たミックスは、きっとジャズに何かあったのだろうと思った。


そして彼は、はぁ、と大きくため息(いき)をつくと、ニコを抱(だ)きあげ、彼女の下(もと)だろうと思われるところまで行くことにする。


「まさか、またお腹(なか)が減(へ)って倒(たお)れましたとかじゃないよな……」


呆(あき)れながらニコを抱いて走るミックス。


そんな彼とは反対(はんたい)に、ニコは急(せ)かすように鳴(な)いていた。


辺(あた)りはすっかり陽(ひ)が沈(しず)んで夜になっており、人通(ひとどお)りもなくなっている。


そんな街中(まちなか)を走っていると、急(きゅう)にミックスのお腹がグゥ~と鳴った。


「うぅ、そういえばお昼を抜(ぬ)いていたんだった……」


ミックスは節約(せつやく)のために、いつも持っていっていた弁当(べんとう)は作らず、購買部(こうばいぶ)のパンも買わずに我慢していた。


そのため、腹(はら)の虫(むし)が空腹(くうふく)で鳴いたのだ。


ニコは、そんなことを気にするなと言わんばかりにミックスへ強(つよ)く鳴く。


「見た目の可愛(かわい)さのわりに厳(きび)しい奴(やつ)だな。わかったよ。急(いそ)げばいいんだろ、急げば」


そして、しばらくニコが指示(しじ)する通(とお)り走っていると、いきなりミックス目の前で、轟音(ごうおん)と閃光(せんこう)が迸(ほとばし)る。


銃声(じゅうせい)――放(はな)たれた電磁波(でんじは)。


ミックスの近(ちか)くにあった自動(じどう)販売機《はんばいき》が爆発(ばくはつ)し、暗(くら)かった道が昼間(ひるま)のように明(あか)るくなっていた。


「な、なんだよこれ……」


ミックスは先ほどの爆発の勢(いきお)いで、コンクリートの地面(じめん)に転(ころ)がっていた。


それから彼がニコの鳴いている方向(ほうこう)を見ると、そこには古(ふる)い突撃(とつげき)銃を思わせるものを持った少女が二人――。


さらにはサイドテールの少女――ジャズ·スクワイアの姿(すがた)が見えた。


「ちッ!? 一般人(いっぱんじん)か!?」


「ヘルキャット! どうしましょう、顔見られてしまいましたよッ!?」


「しょうがない……。アリアッ! 先にあそこにいる少年から始末(しまつ)するぞ!」


ヘルキャットと呼ばれた小柄(こがら)な少女と、アリアと呼ばれた長身(ちょうしん)の少女が何やら叫(さけ)び合っている。


二人ともジャケットにカーゴパンツ姿(すがた)で上下ともに深(ふか)い青色、足元には黒のコンバットブーツ。


さらには銃まで構(かま)えていたため、ミックスは彼女たちがどこかの軍人だということがすぐにわかった。


先ほどの閃光の正体(しょうたい)は、彼女たちが使っている銃から発射(はっしゃ)された。


それが今ミックスへと照準(しょうじゅん)を合わせている。


「わぁぁぁッ!? ちょ、ちょっと待ってよッ!?」


「悪いな少年。顔を見られたからには死んでもらう」


ヘルキャットがトリガー引き、電磁波がミックスとニコへ襲(おそ)い掛(か)かった。


いきなりのことで驚愕(きょうがく)していたミックスが動けずにいると――。


「バカッ!? なにやってんのよッ!」


ジャズが彼の身体(からだ)を突(つ)き飛ばし、代わりに彼女が電磁波を浴(あ)びてしまう。


ビリビリと肉(にく)の焦(こ)げる匂(にお)いが立ち込め、ジャズはその場で倒れてしまった。

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