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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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9/948

#9

「ジャズ!? ジャズッ!?」


ミックスとニコは(あわ)てて(たお)れたジャズへと()()る。


ヘルキャットとアリアは、そんな彼へ(ふたた)(じゅう)照準(しょうじゅん)を合わせた。


好都合(こうつごう)だ。このまま始末(しまつ)させてもらう」


ヘルキャットがそういうと(じゅう)から電磁波(でんじは)発射(はっしゃ)された。


ニコがジャズを(まも)ろうと、彼女を()きかかえているミックスの前に立ったが――。


「いいから逃げるんだよッ!」


その(ゆた)かな毛で(おお)われた身体(からだ)を彼に持ち上げられ、その場から()れて行かれる。


ジャズを(かた)に担ぎ、手にニコを持ったミックスが電磁波を()けると、ヘルキャットとアリアはすぐに彼を追いかけ始めた。


「くッ!? 逃がすなアリアッ! ここで私たちの存在(そんざい)が知られたら計画(けいかく)支障(ししょう)が出てしまうぞ!」


「わかってます! でもあの子、とてつもなく足が(はや)いですよ!」


走るミックスの後ろからは小柄(こがら)とは思えぬヘルキャットの凛々(りり)しい声と、長身(ちょうしん)らしからぬアリアの可愛(かわい)らしい声が聞こえていた。


ミックスにはそんなことを気にしている余裕(よゆう)はなく、そんな彼女たちから逃げるために体育(たいいく)授業(じゅぎょう)でもしたことがない全力疾走(ぜんりょくしっそう)()けていく。


(さいわ)いだったことは、ここはミックスにとってよく知る(まち)だったことだ。


路地裏(ろじうら)へと入れば中は入り組んでおり、少しでも姿(すがた)が見えなくなれば追跡(ついせき)することは(むずか)しくなる。


ミックスはそれをうまく利用(りよう)し、二人から逃げきることに成功(せいこう)した。


「なんとか逃げきれたみたいだね」


人目(ひとめ)のない公園(こうえん)のベンチへとジャズを寝かせ、周囲(しゅうい)警戒(けいかい)するミックス。


街からはこの共和国(きょうわこく)治安(ちあん)維持(いじ)する組織(そしき)――監視員(バックミンスター)(くるま)()らすサイレンが聞こえていた。


ミックスは周囲(しゅうい)危険(きけん)がないことを判断(はんだん)すると、ジャズの状態(じょうたい)を見た。


電磁波をまとも受けたというのに、彼女に大きなケガはなさそうだったが、ミックスは一応(いちおう)病院(びょういん)へ行こうと考える。


「大したことない……。いいから(ほう)っておいて」


「でも、あんな見たこともない銃の攻撃(こうげき)を喰らったんだよ!? ここは大事(だいじ)をとって医者(いしゃ)のところへ行かなきゃ!」


ジャズは顔を強張(こわば)らせながらも自分が持っていた銃剣に手をやった。


そして、心配(しんぱい)するミックスへ話を始める。


先ほどいた少女二人が持ってた銃の名はインストガンといい、電磁波を放出(ほうしゅつ)する突撃(とうげき)銃だということ。


自分が持っている銃剣はそれと同じでタイプのものであること。


さらに今彼女が着ている服は、電磁波の威力(いりょく)軽減(けいげん)させる素材(そざい)でできていると。


「でもさ……いくら軽減できるからって、ダメージがないわけじゃないんだろ? 」


ミックスはジャズを見ていて思ったことがあった。


彼女がいう電磁波を(ふせ)ぐ服とはいっても、それは防弾(ぼうだん)チョッキと同じようなもので、その衝撃(しょうげき)完全(かんぜん)相殺(そうさい)するわけではない。


(げん)にジャズは(くる)しそうにしているのが、その証拠(しょうこ)だ。


ニコもそんな彼女が心配なのだろう、ずっと(そば)()()って動かない。


「でも……病院はダメ……絶対(ぜったい)に、絶対にダメッ!」


「だけどちゃんと手当(てあ)てしないと……」


頑固(がんこ)なまでに病院へ行くのを(いや)がるジャズ。


それは、やはり彼女が(ほか)の国から来たのが理由(りゆう)なのだろうと、ミックスは思っていた。


彼の住むこのバイオニクス共和国(きょうわこく)は、入国時(にゅうこくじ)(きび)しい審査(しんさ)がある。


その態度(たいど)を見ればわかるが、間違(まちが)いなくジャズは不法(ふほう)入国者。


彼女は、病院などの施設(しせつ)を利用すると、そのことがバレてしまうので嫌がっているのだ。


それと、彼女はこの国へ友人に会いに来たと言っていたが。


おそらく先ほどの少女二人も、ジャズと同じで違法(いほう)なやり方で入国した者たちだろうと思われる。


「そうだ! 病院みたいな公共(こうきょう)機関(きかん)じゃなければいいんだよね?」


「いいからあたしのことは放っておいてッ! ……って、うわぁッ!? ちょっとあんた!? いきなりなにするのよッ!?」


何かを思い出したミックスは、嫌がるジャズなどお(かま)いなく彼女を背負(せお)って走り出す。


そして、ベンチに置いて行かれたニコは、彼の背中(せなか)を鳴きながら追いかけるのだった。

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