表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
PR
76/948

#75

そしてジャズたちがミックスとブレイクのところへたどり着く。


そこで見たものは、ミックスがブレイクを相手に優勢(ゆうせい)に戦いを進めている光景(こうけい)だった。


ミックスはブレイクの(かたな)()け、ときに機械化(きかいか)させた(うで)(はじ)きながらその(こぶし)(たた)き返している。


(うそ)……あの兄を押している……? 」


「あいつ……大したもんだとは思ってたけど、まさかハザードクラスを相手にあそこまで……」


ハザードクラスとは、バイオニクス共和国から認定(にんてい)された最高(さいこう)クラスの能力(のうりょく)を持つ者のことである。


現在(げんざい)認定されている人間は五人――。


ブレイクは、その中でも共和国最強(さいきょう)名高(なだか)い高校生だ。


それを相手に、名もない落ちこぼれのミックスが――。


一度いとも簡単(かんたん)(やぶ)れたはずの彼が――。


優勢に戦っている姿(すがた)は、いくらミックスがマシーナリーウイルスの適合者(てきごうしゃ)だと知っているジャズとクリーンでも(おどろ)くべき光景だった。


逃げてもいいのに。


言葉だけでも(うれ)しかったのに。


ミックスはクリーンと(かわ)わした約束(やくそく)(まも)ろうと戦ってくれている。


(みな)が笑い合えるような終わり方を目指(めざ)して拳を振るってくれている。


クリーンは、ミックスのことを(うたが)っていたわけではないが、その事実(じじつ)に身を(ふる)わせずにはいられないでいた。


「くッ!? 調子(ちょうし)にノってんじゃねぇぞ機械ヤロウゥゥゥッ!」


ブレイクはコンクリートの道路(どうろ)(かたな)()り上げ、土石流(どせきりゅう)をミックスへと()びせる。


だが、ミックスけしては(ひる)まない。


(くだ)けた無数(むすう)のコンクリートを受けながらも、ブレイクのボディへ機械の拳を叩き返す。


その一撃(いちげき)でついにブレイクは(たお)れた。


事情(じじょう)はわからないけどさ。お前はクリーンを守りたいんじゃないのか!? だったら心配(しんぱい)させるなよッ! ちゃんと向き合って話しあえよッ! お前はクリーンの兄さんなんだろッ!?」


「オ、オレは……」


ブレイクは空に()かぶ(つき)を見ながら思い出していた。


生まれて(はじ)めて人を斬ったとき。


真っ黒な(かたな)小鉄(リトル スティール)を抜き、自分が住んでいた国の人間三十万人を斬り(ころ)した。


自分の(そだ)った国を(ほろ)ぼした。


それは全部自分の(いもうと)――クリーンを守るためだ。


バイオニクス共和国(きょうわこく)へ来たのもそうだ。


この国で上層部(じょうそうぶ)命令(めいれい)を聞いていれば、いつか母と(かた)(なら)べたヴィンテージたちと戦わせてやるといわれた。


かつてその適合者としての(ちから)を使い、世界を(すく)ったアンとローズ、テネシーグレッチ姉妹(しまい)とノピア·ラシックさえ(つぶ)せば、もはやこの世界で自分に――ベルサウンドの名に手を出そう者などいなくなる。


そうなれば(いもうと)――クリーンはもう安全(あんぜん)だ。


そのためにも力を、この世のすべてをひれ伏せさせる絶対的(ぜったいてき)な力を――。


ブレイクは、すでに足元(あしもと)もおぼつかない状態(じょうたい)だったが、血反吐(ちへど)()きながらも立ち上がる。


「チカラチカラチカラチカラチカラチカラァァァッ! グッギャギャ! フギャギャギャハッハアアァァァッ! ベルサウンド流、モード小鉄(リトル スティール)鉄命殺(てつめいさつ)ッ!」


その言葉の後に、ブレイクに(にぎ)られた小鉄(リトル スティール)(すさ)まじい(いきお)いで(かがや)(はじ)めた。


だが、その輝きが()すたびにブレイクの顔からは生気(せいき)がなくなっていく。


ミックスはこの(わざ)のことを知っていた。


病院(びょういん)待合室(まちあいしつ)で、クリーンが(みずか)らの(いのち)を捨ててでも兄を止めようとして見せた技だ。


「スティールを使いこなせれば……こいつと一体化すれば……世界を滅ぼすことだって可能(かのう)……。ヴィンテージもハザードクラスも、共和国も帝国も宗教(しゅうきょう)組織(そしき)関係(かんけい)ねぇ。オレが最強(さいきょう)……誰もベルサウンドの名には(さか)らわせねぇ。オレを止められる(やつ)なんざぁ、この世界のどこにも存在(そんざい)しねぇんだぁぁぁッ!」


その(さけ)びと共に、ミックスの身体がはるか上空(じょうくう)へと打ち上げられた。


正確(せいかく)にいえば、ブレイクの振った(かたな)衝撃(しょうげき)で飛ばされたのだ。


そして、そのまま落下(らっか)してきたミックスは、周囲(しゅうい)()()()らしながら地面へと激突(げきとつ)する。


倒れた彼の血がコンクリートが真っ赤に()まる。


前に斬られた傷口(きずぐち)が開いただけでなく、身体中が斬り(きざ)まれてかのように全身が赤くなったミックスがそこにはいた。


「なんだよそのザマはぁぁぁッ!? 立てよ機械ヤロウッ! 英雄(ヒーロー)がそんなもんで寝てんじゃねぇぞッ! あんッ!?」


「ブレイク·ベルサウンドッ!」


ブレイクがミックスに飛び掛かろうかとしていたとき――。


銃剣(じゅうけん)(かま)えたジャズが、彼の目の前に(あらわ)れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ