表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
65/948

#64

さらに、どす黒い瘴気(しょうき)をその身にまといながらジャズのことを(にら)みだす。


対面(たいめん)しているだけで()(あせ)が止まらなくなる。


ジャズはすぐにでもブレイクの目の前から(はな)れたくなったが、それでも彼の()いに(こた)えた。


自分がまだストリング帝国(ていこく)で少女兵だった(ころ)に見たクリア·ベルサウンドの鬼神(きじん)(ごと)き強さ。


そして、彼女の友であるアン·テネシーグレッチを助けるために、(まん)(てき)の中へ向かって行く(りん)としたクリアの姿(すがた)を。


息子(むすこ)であるあんたの前でいうようなことじゃないけど。彼女――クリア·ベルサウンドは間違(まちが)いなく英雄(えいゆう)だわ。アンさんと共に世界を(すく)ったのも(うなづ)けるほどのね」


「アン·テネシーグレッチか……。あいつもいつかぶっ(ころ)す……」


「はッ? なにってんのよあんた? アンさんはあんたの母親の友だちじゃない?」


「うるせんだよッ!」


ブレイクが(さけ)んだのと同時(どうじ)に――。


彼のまとっていた瘴気が衝撃(しょうげき)へと変わった。


ジャズはその衝撃によって()き飛ばされてしまう。


「姉さんッ!」


そんな彼女を(かば)ってウェディングが前に出た。


今度は先ほどとは(ちが)い、(われ)を忘れて飛びかかるよりも、ジャズの身を(まも)ろうとしている。


「ちょっと!? いきなりどうしたのよあんたッ!?」


「うるせえうるせえうるせえッ! おふくろが世界を救っただぁッ!? んなこたぁくだらねえんだよッ!」


「くだらないなんてことは絶対(ぜったい)ない! こうやってあんたが生きてるのも、あたしが生きているのも、すべてヴィンテージの人たちのおかげじゃない!」


ジャズの言葉にブレイクはさらに殺気(さっき)を高めていった。


その表情(ひょうじょう)(はげ)しく(ゆが)み、まるで硫酸(りゅうさん)をかけられたかのような焼け(ただ)れた笑みを()かべて虚空(こくう)(なが)めている。


先ほどのウェディングのような我を忘れている状態(じょうたい)とは違う。


今のブレイクは何かとんでもない意志(いし)によって突き動かされているような、そんな(ふう)に見えた。


「そういえばテメェ、ストリング帝国にいたっていってたなぁ? ならテメェを(つぶ)したら、ローズ·テネシーグレッチかノピア·ラシックは出てくんのかぁ? あんッ!?」


「姉さん下がってくださいッ!」


「ベルサウンド流、モード小鉄(リトル スティール)鉄風(てっぷう)ッ!」


ブレイクが(かたな)を振るい、黒い斬撃(ざんげき)を飛ばす。


ウェディングはそれを手の(こう)から出したダイヤモンドの剣で受け止め、空へと(はじ)き返した。


もし受けたのがウェディングでなかったら、真っ二つに切り裂かれていただろう凄まじい斬撃だ。


それを見たブレイクはさらに表情を歪めて笑う。


「かてぇな。ダイヤやっぱかてぇ」


そして、次の飛ぶ斬撃を()り出す。


その攻撃は先ほどとは違い、まるで(はち)の大軍のような小さな斬撃を飛ばしてきていた。


ウェディングはその無数の攻撃を弾き返したが、斬撃を受けた彼女の剣はヒビが入り、ところどころ(くだ)けてしまっていた。


「なッ!? なんでウェディングの剣がッ!?」


「テメェらクリーンと同じ学校だろ? 鉱物(こうぶつ)(がく)授業(じゅぎょう)でやんなかったのかよ。世界一(かた)いダイヤモンドだって簡単(かんたん)に砕く方法(ほうほう)はあるんだぜぇ」


物質の硬さは通常(つうじょう)モース硬度という単位で(あらわ)され、天然(てんねん)の鉱物のなかではダイヤモンドが最高位。


したがって日常生活に存在(そんざい)する物質のなかでは、ダイヤモンドが一番硬いといえる。


だが、そんなダイヤモンドも(たた)くと割れてしまうことがある。


なぜダイヤモンドが割れてしまうかというと、モース硬度というのは硬さの絶対尺度(しゃくど)というわけではないからである。


硬さという概念(がいねん)にはいろいろな尺度があり、たとえば叩いても割れないとか曲げようとしても曲がらないなどといったことも硬さの一要素(いちようそ)にしかすぎない。


そして、モース硬度というのは(きず)のつきにくさを表した単位なだけで、叩いて割れるかどうかとは関係(かんけい)ないのだ。


ダイヤモンドは(せい)八面体(はちめんたい)結晶(けっしょう)でできており、結晶内部は分子の相互(そうご)結合(けつごう)非常(ひじょう)強固(きょうこ)になっている。


そのため、ダイヤモンドのモース硬度は高いが、八面体の一面のみに結合の(ゆる)い部分がある。


それをへき(かい)面と言い、その面に対して平行に力を(くわ)えることで、比較的(ひかくてき)簡単にダイヤモンドを割ることができるのである。


「授業はもう終わりだぁッ! 言いたいことがあんなら今のうちに言っとけよッ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ