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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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64/948

#63

「つまんねぇなぁ……つまんねぇよ。|舞う宝石《ダンシング·ダイヤモンド》つってもそんなもんかぁ」


ブレイクは黒い障壁(しょうへき)に斬撃(ざんげき)を続けているウェディングへポツリといった。


だが、退屈(たいくつ)そうにいう彼など気にせずに、ウェディングの手は止まるどころかさらに激(はげ)しさを増(ま)していく。


彼女の目はすでに色(いろ)を失(うしな)い、その暴(あば)れる様(さま)はまるで手負(てお)いの獣(けもの)のようだ。


そんなウェディングを見たブレイクは舌(した)打ちをし、握(にぎ)っていた黒い刀(かたな)――小鉄(リトル スティール)を構(かま)え直(なお)す。


ずっと彼女の攻撃を受け続けていたが、そろそろ反撃に出ようとすると――。


「だめぇぇぇッ!」


ジャズが二人の間(あいだ)に入ってきた。


ブレイクはてっきりウェディングに加勢(かせい)でもするかと思ったが、なんとジャズが向かい合ったのはウェディングのほうだ。


一本の鉄(てつ)パイプで、彼女の手の甲(こう)から生(は)えているダイヤモンドの剣での連撃をさばく。


まともに受けたら当然(とうぜん)鉄パイプでは強度(きょうど)が持たない。


ジャズはなんとかダイヤの剣を受け流(なが)しながら、ウェディングに向かって叫(さけ)んでいた。


「ウェディングッ! 今は戦うよりもクリーンの治療(ちりょう)が先だよッ!」


しかし、それでもウェディングは止まらない。


目の前にいるジャズを力(ちから)任(まか)せに退(ど)かすと、再(ふたた)びブレイクを斬(き)り裂(さ)こうと向かっていく。


我(われ)を忘(わす)れていてもジャズに攻撃をしないことが唯一(ゆいいつ)の救(すく)いか。


ジャズは、その無意識(むいしき)に敵(てき)と味方(みかた)を分けているウェディングに賭(か)けたのか、彼女の真正面(ましょうめん)に立って剣を鉄パイプで受け止めた。


当然鉄パイプは切断(せつだん)され、彼女はウェディングの剣を肩(かた)に喰(く)らう。


返り血がウェディングの顔に降(ふ)り注(そそ)ぐ。


「あぁ……姉さん……? どうして……?」


「やっと戻(もど)ったか。ったく、手間(てま)をかけさせてんじゃないわよ」


ジャズの血(ち)を浴(あ)びて正気(しょうき)を取り戻(とり)したウェディング。


自分のしてしまったことに唖然(あぜん)としている彼女に、ジャズはニッコリと微笑(ほほえ)んだ。


ウェディングは彼女に駆(か)け寄(よ)り、何度も謝(あやま)った。


自分は昔(むかし)からこうなのだ。


怒りに身を任せると周りが見えなくなってしまう。


だからずっとひとりぼっちだった。


わかっているのにジャズを傷(きず)つけてしまって、本当にごめんなさいと、ただジャズにすがりながら泣いている。


「こんなことして……私……。姉さんに嫌(きら)われてもしょうがないです……」


「なに言ってるのよ? あんた、あたしを誰だと思ってるわけ? こう見えても七年前のアフタークロエから数々(かずかず)の戦場(せんじょう)を生き抜いてきたの軍人なのよ。そこらの小娘(こすめ)と一緒(いっしょ)にされちゃ困(こま)るのよね」


「でも……私の本性(ほんしょう)を見て……」


「そんなの朝から萌え萌えズッキューンとかやられるのと変わらないわよ。いつも笑っているのも、さっきみたいに暴れちゃうのも、全部あんたなんだから」


「姉さん……」


ジャズはそんな彼女をなだめながら、救急車(きゅうきゅうしゃ)を呼んでほしいと頼(たの)み、ウェディングにクリーンたちがいるところまで下がらせた。


ウェディングは冷静(れいせい)さを取り戻したのか、クリーンと小雪(リトル スノー)の傷の具合(ぐあい)を見ながら、持っていたエレクトロフォンで連絡(れんらく)を始(はじ)めている。


自分の制服(せいふく)のスカートの切って手ごろな布を作り、肩の傷を止血(しけつ)しているジャズ。


ブレイクはそんな彼女の姿(すがた)を眺めながら訊(き)く。


「おい、茶番(ちゃばん)はもう終わりか?」


その言葉どおりつまらない座興(ざきょう)を見せられたとばかりに、ずいぶんと不機嫌(ふきげん)そうだ。


ジャズはそんな彼のほうへと体を向ける。


「あんたがクリーンにしたことは許(ゆる)せないけど。兄妹(きょうだい)ゲンカってやつならあたしたちが口を出すことじゃない。あたしにも双子(ふたご)の弟(おとうと)がいるからわかるよ。他人(たにん)に入ってきてほしくないことがあるのは」


「勝手(かって)に入ってきといて勝手な言い分(ぶん)だなぁ」


「一応(いちおう)、ウェディングに手を出さなかったことには礼(れい)をいうわ。さすがあのクリア·ベルサウンドの息子(むすこ)ね」


「女……。テメェ、おふくろを知ってんのか?」


ブレイクは、クリーンと自分の母親――クリア·ベルサウンドの名を聞いた途端(とたん)に、凄(すさ)まじい殺気(さっき)を放(はな)ちだした。

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