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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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66/948

#65

(なによ、母親の名前を出したら(きゅう)(いか)(くる)って……。もしかしてこいつが上層部(じょうそうぶ)命令(めいれい)を聞いていることとなにか関係(かんけい)があるの?)


不気味(ぶきみ)に笑いながら飛びかかってくるブレイクに、ジャズの前に出ていたウェディングは身構(みがま)えた。


「姉さん、今は考えている場合(ばあい)じゃないです! 来ますよッ!」


ジャズはブレイクの態度(たいど)変化(へんか)思考(しこう)(めぐ)らせているたが、ウェディングの声を聞いて(あたま)を切り()える。


(つぶ)してやるよッ! ハザードクラスもヴィンテージも、イキがってる連中(れんちゅう)は全部ぶっ潰してやるッ!」


ブレイクが(にぎ)っていた黒い(かたな)を二人へ振り落とそうとした瞬間(しゅんかん)――。


ニコが()(さけ)びながら彼の前に立ちふさがった。


すると、黒い刀から出ている瘴気(しょうき)がブレイクの体を止め、カタカタと(ふる)えだし(はじ)める。


「ニコッ! あんたなんてムチャするのよ」


ジャズは飛び出してきたニコを()きしめたが、電気(でんき)仕掛(じか)仔羊(こひつじ)はブレイクに向かって鳴き続けていた。


そのせいで黒い刀――小鉄(リトル スティール)はさらに震え、ブレイクの意思(いし)には(したが)わずに犬の姿(すがた)へと変化(へんか)する。


そして、ゆっくりとニコの(そば)へと近寄(ちかよ)っていった。


小鉄(リトル スティール)は、ニコの顔に自分の顔を擦りつけ、弱々(よわよわ)しい声を出す。


ニコのほうも、どうしてこんなことをするの? とばかりに、メェーメェー鳴き返していた。


「ちッ、スティールのダチかよ」


「スティールのダチって、そうかニコは……」


ジャズは(かな)しそうにじゃれあっている二匹を見て理解(りかい)した。


自分がアンティークショップでミックスに買ってもらったこのニコは、元々(もともと)アン·テネシーグレッチが所有(しょゆう)していた電気仕掛け仔羊のコピー。


小鉄(リトル スティール)は、そのアン·テネシーグレッチと友人だったクリア·ベルサウンドが連れていた犬であり刀だ。


ニコとクリーンが連れていた小雪(リトル スノー)仲良(なかよ)くしていたのことを思い出せば、小鉄(リトル スティール)もニコの姿(すがた)を見て(なつ)かしさを(おぼ)えるのは当然(とうぜん)だろう。


自分の連れているニコには覚えがないだろうが、少なくとも小鉄(リトル スティール)とっては友人なのだ。


ジャズはそう思うと、ニコとじゃれあう小鉄(リトル スティール)にそっと()れた。


なぜ犬が日本刀(にほんとう)なるのかも、ロボットであるニコや犬の小鉄(リトル スティール)たちが人間のような感情(かんじょう)を持っているのかもわからない。


だがこの二匹は、これ以上(いじょう)戦ってほしくないことだけは(つた)わってくる。


ジャズはそう思うと二匹のことを(いと)おしく感じていた。


「ちッ、シラケちまったな。おいスティール、帰んぞ」


ブレイクに声をかけられた小鉄(リトル スティール)は、ニコの顔を()めると名残(なごり)()しそうに彼の後へと歩いていった。


ニコは、そんな小鉄(リトル スティール)背中(せなか)に向かって、か(ぼそ)い声で鳴いている。


屋上(おくじょう)の下からは、救急車(きゅうきゅうしゃ)のサイレンの音が聞こえてきていた。


けたたましく鳴る音に、また(した)打ちをしたブレイクはそのまま屋上に設置(せっち)されていたフェンスに飛び乗る。


「おいテメェら、次はねぇぞ。あとクリーンにも言っとけ。二度とオレと(かか)わるなってな」


そして、ブレイクは小鉄(リトル スティール)を連れ、そのまま屋上から飛び降り、その姿を消すのであった。

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