表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
63/948

#62

自分へと向かってくるウェディングを見たブレイクは不敵(ふてき)に笑った。


ウェディングはブレイクとは反対(はんたい)に、物凄(ものすご)形相(ぎょうそう)で彼のことを(にら)みつけている。


「身体がダイヤに変わった? そうか、テメェがあの|舞う宝石《ダンシング·ダイヤモンド》か」


ウェディングは、目の前にいるブレイクと同じく――。


ハザードクラスと呼ばれるバイオニクス共和国(きょうわこく)から認定(にんてい)された最高クラスの能力を持つ者だ。


彼女の能力は超復元《グレート·リストレーション》。


実質的(じっしつてき)にどんな重傷(じゅうしょう)()おうが、どんなウイルスに感染(かんせん)しようがすべて正常(せいじょう)状態(じょうたい)(なお)してしまう治癒(ちゆ)能力である。


彼女はその能力があるがゆえに、バイオニクス共和国(きょうわこく)のとある研究所(けんきゅうじょ)(おこな)われた実験(じっけん)――。


増幅アンプリフィケイション計画(けいかく)と呼ばれた人体(じんたい)実験の被験者(ひけんしゃ)であった。


その全身の骨格(こっかく)には分子(ぶんし)レベルでダイヤモンドを結合(けつごう)され、自分の意思(いし)で全身のどこからでも武器として露出(ろしゅつ)可能(かのう)(皮膚(ひふ)を突き(やぶ)ってダイヤモンドにするなど)。


だが、彼女の能力の本当に(おそ)ろしいところは、たとえ心臓(しんぞう)(つぶ)されようが(あたま)を吹き飛ばされようが、瞬時(しゅんじ)蘇生(そせい)できることに(ほか)ならない。


実験により身体能力も向上(こうじょう)され、人間(ばな)れしたスピードと宝石を使って戦うその姿(すがた)から、科学者たちは彼女に舞う宝石ダンシングダイヤモンドというコードネームを付けた。


「まさかクリーンのダチにハザードクラスがいるとはなぁ」


ヘラヘラと笑うとブレイク。


ウェディングの素性(すじょう)に気が付いても、その余裕(よゆう)は変わらない。


(たい)するウェディングは、ゆっくりと歩いていたかと思えば、突然手の(こう)から剣の(かたち)をした宝石(ほうせき)――ダイヤモンドが(あらわ)れる。


手から()えた宝石の剣。


彼女はそのダイヤモンドの剣でブレイクへと()りかかった。


その休みのない連撃(れんげき)(すさ)まじく、いつも笑顔のウェディングとはまるで別人(べつじん)のような鬼気(きき)(せま)()めをみせる。


そんな(はげ)しい(ざん)撃を()り出しながらも、ただ無言(むごん)でいる彼女に、ニコはすっかり(おび)えてしまっていた。


「ウェディングッ! 待って、待ってよッ!」


ジャズはそんなウェディングを止めようと大声をあげていた。


だが、何かスイッチが入れられた機械(きかい)にのように、ウェディングは淡々(たんたん)とブレイクに剣を振るっている。


「ベルサウンド流、モード小鉄(リトル スティール)鉄城門(てつじょうもん)


ブレイクが剣を受けながら(かたな)(かま)えると、突如(とつじょ)(あらわ)れた黒い結界(けっかい)が彼の身を(まも)る。


ジャズは、ダイヤモンドの剣でも破壊(はかい)できない結界を見て驚愕(きょうがく)していたが、ウェディングは気にすることなく攻撃を続けていた。


ただ淡々とブレイクのことを斬り()こうと、手の甲から出ているダイヤの剣を振り(まわ)している。


その(あいだ)にもジャズは、どうすればこの事態(じたい)を止められるかを考えていた。


あんな姿(すがた)のウェディングなど見たことがない。


おそらく大事(だいじ)な友人を(きず)つけられ、(われ)(うしな)っているのだろう。


言葉で止められないなら二人の間に割って入るか?


いや、そんなことをすれば何の(ちから)もな持たない自分など、()みつけられる(あり)のように(ころ)されてしまうだけだ。


どうする、どうすればいい?


ジャズは思考(しこう)(めぐ)らせながらも自分の無力(むりょく)さを(のろ)う。


「あたしはどうして……どうしてこんなに(よわ)いのよ……」


クリーンを抱きながら(うつむ)くジャズ。


自分はいつも肝心(かんじん)なときに(やく)に立てないと、(あふ)れ出しそうな(くや)(なみだ)(こら)えていた。


ニコはそんな肩を落としている彼女へ鳴きかけた。


それがどういう意図(いと)があったかはわからないが、ジャズは顔をあげてニコのほうを見る。


「そうだよね。たとえ力がなくたって、あたしがやらなきゃ……」


そして、ニコへ微笑(ほほえ)みかけたジャズは、クリーンを(やさ)しく地面へと寝かすと立ち上がる。


その手には(てつ)パイプが(にぎ)られていた。


おそらくブレイクとクリーンの戦闘(せんとう)(こわ)れた屋上(おくじょう)にあったアンテナの一部(いちぶ)だろう。


こんなものでハザードクラスの戦いに割ってはいるなど自殺(じさつ)以外の何者でもない。


だがそれでもジャズは、ウェディングとブレイク二人の間へと飛び込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ