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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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47/948

#46

近距離(きんきょり)から繰(く)り出される斬撃(ざんげき)の嵐(あらし)。


いや、たとえるなら猛烈(もうれつ)な吹雪(ふぶき)が一人の人間に向けられているような、そんな凄(すさ)まじい技(わざ)だった。


だが、それでもミックスは倒(たお)れなかった。


なんとかその場に踏(ふ)ん張(ば)り、再(ふたた)び彼女を押し返す。


「どうやら腕(うで)以外(いがい)の部分(ぶぶん)も機械化(きかいか)できるようですね」


ミックスは、クリーンに懐(ふところ)に飛び込(こ)まれた瞬間(しゅんかん)、ギリギリのところで腹部(ふくぶ)の機械化――装甲(アーマード)で防御(ぼうぎょ)した。


しかし、やはりクリーンの技のダメージは大きく、装甲(アーマード)した部分(ぶぶん)が欠(か)け、小さな火花(ひばな)が散(ち)っている。


クリーンは勝機(しょうき)ありと見たのか、先ほどと同じようにミックスの懐へと飛び込む。


すると、ガキンッという金属(きんぞく)同士(どうし)がぶつかった音が鳴(な)り響(ひび)いた。


ミックスは今度はガッチリと両腕でガードしたのだ。


防(ふせ)がれたクリーンは一度下がり、彼の様子(ようす)をうかがう。


「反撃(はんげき)しないのですか? それともできないのですか?」


「できないよ。理由(りゆう)もないのに女の子を殴(なぐ)れない」


「優(やさ)しいお方……。しかし、このままではあなたは私に斬(き)り殺(ころ)されてしまいますよ?」


「そのうち監視員(バックミンスター)が騒(さわ)ぎを聞きつけてやってくる。それまでキミの攻撃を防げばいいだけさ」


ミックスはこのまま時間を稼(かせ)ぎ続け、バイオニクス共和国(きょうわこく)の治安(ちあん)を維持(いじ)する組織(そしき)――監視員(バックミンスター)(警察のようなもの)が来るのを待っているという。


監視員(バックミンスター)がやってくれば自体(じたい)の収集(しゅうしゅう)にかかり、クリーンも戦ってはいられないはずだと。


「それは……マズいですね……」


ミックスの作戦(さくせん)を聞いたクリーンは、彼が断固(だんこ)として反撃してこない覚悟(かくご)を感じると、あることを考えた。


彼女は突如(とつじょ)刀(かたな)を収(おさ)め、ミックスに背(せ)を向ける。


「あなたが反撃してこないのなら、これからジャズさんとウェディングを斬り殺します」


「なッ!? なんでそんなことするんだよッ!? 理由(わけ)を話してくれッ!」


「答(こた)える義理(ぎり)はございません。それでは私は彼女たちを追いかけますので……」


クリーンがその場を去ろうとしたそのとき――。


彼女は突然(とつぜん)吹(ふ)き飛ばされた。


それはミックスが自身(じしん)の両足(りょうあし)を機械化させ、動きの速度(そくど)を格段(かくだん)に上昇(じょうしょう)させ、クリーンへと襲いかかったからだった。


「今の一撃は……?」


なんとか白い刀――小雪(リトル スノー)で受けていたクリーンだったが、ミックスの拳(こぶし)の威力(いりょく)に、思わず唖然(あぜん)としてしまっている。


「二人に手は出させないぞッ!」


「くッ!? ベルサウンド流、モード小雪(リトル スノー)冠雪(かんせつ)ッ!」


構(かま)えて叫(さけ)ぶクリーンの刀からは、白い障壁(しょうへき)のようなものが現(あらわ)れた。


だが、ミックスはそんな障壁などお構いなしに、力(ちから)強(づよ)く握(にぎ)った拳を打ち付ける。


受けたクリーンの身体が地面(じめん)へとめり込(こ)み、そのままコンクリートが割れ始めた。


まるで重力(じゅうりょく)を一点(いってん)に集中(しゅうちゅう)してかけているような、そんな一撃だ。


このまま押し潰(つぶ)されそうになったクリーンは、いきなり自分の負けを宣言(せんげん)する。


「参(まい)りました。これ以上(いじょう)試(ため)す必要(ひつよう)はなさそうです……。あなたは強い」


「へッ?」


クリーンは、拳を下ろしたミックスを見て、小雪(リトル スノー)を犬の姿(すがた)へと変化(へんか)させた。


それから彼女は、彼の手を取っていきなり走り出す。


ミックスは、さっきまで戦っていた相手に手を取られ、もう何が何だかわからずに完全(かんぜん)に頭の中がこんがらがっていた。


ただクリーンに引っ張られ、無理矢理(むりやり)についていかれているだけだ。


「急(いそ)ぎましょう。早くしないと監視員(バックミンスター)が来てしまいます」


「だからちゃんと説明(せつめい)してよッ! 試す必要がない? あなたは強い? もう意味(いみ)がわからぁぁぁんッ!」


その後、ファミリーレストラン前には、騒ぎを聞きつけた監視員(バックミンスター)が現れる。


だが、すでにミックスとクリーンは別(べつ)の場所へと移動(いどう)した後だったため、監視員(バックミンスター)は周囲(しゅうい)を簡単(かんたん)に巡回(じゅんかい)し始めていた。


それから彼らは業者(ぎょうしゃ)へと連絡(れんらく)し、割れたコンクリートの地面の修理(しゅうり)を頼(たの)むと、そのまま帰って行ってしまった。

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