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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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46/948

#45

ミックスは開いた口がふさがらず、ただ驚愕(きょうがく)していた。


先ほどまで電気(でんき)仕掛(じか)けの仔羊(こひつじ)ニコを抱(だ)いていた犬のスノーが、突如(とつじょ)日本刀(にほんとう)へと姿(すがた)を変え、クリーンの手に収(おさ)まっているからだ。


普通(ふつう)では考えられない現象(げんしょう)を間近(まぢか)で見てしまった彼は、ただクリーン――彼女から目が離(はな)せないでいる。


すると刀(かたな)へと変化(へんか)したスノーを構(かま)え、クリーンの表情(ひょうじょう)が冷(つめ)たいものへと変わる。


「では、改(あらた)めて自己(じこ)紹介(しょうかい)をさせていただきます。私の名はクリーン·ベルサウンド、そしてこの子の名は小雪(リトル スノー)。ミックスさんとは今日が初対面(しょたいめん)でお食事までごちそうになっていますが、こちらには諸事情(しょじじょう)があり、誠(まこと)に申(もう)し訳(わけ)ありませんが、問答(もんどう)無用(むよう)で斬(き)らせていただきます」


「ちょ、ちょっと待ってよッ! ななな、なんでぇッ!?」


「では……参(まい)ります」


クリーンはその言葉と同時(どうじ)に飛びかかってきた。


小雪(リトル スノー)と呼んだ刃(やいば)も真(ま)っ白(しろ)な刀(かたな)が、ミックスを体を斬り裂(さ)こうと振(ふ)り落とされた。


ミックスは彼女の一撃をなんとか避(さ)けたが、そこからけして止まぬ剣撃(けんげき)が始(はじ)まった。


面(めん)、胴(どう)、小手(こて)、突(つ)き、とまるでお手本(てほん)のような剣撃が、ミックスへと襲(おそ)いかかる。


ここまで凄(すさ)まじい剣撃をさすがに避けることができず、ミックスは白い刃を手で受け止め続けてクリーンの隙(すき)を突き、彼女を身体ごと押し返してみせる。


「なんで!? なんでだよクリーンッ!? ひょっとして俺(おれ)がなにか失礼(しつれい)なことしちゃったとか? それだったら謝(あやま)るからやめてッ!」


「この金属(きんぞく)へ打ったような感触(かんしょく)……。やはりあなたは適合者(てきごうしゃ)のようですね」


クリーンは、ミックスが何を言っても聞く耳(みみ)を持たなかった。


むしろ、先ほど日本刀を受け止めた彼の腕(うで)の機械化(きかいか)――装甲(アーマード)を見て、何かを確信(かくしん)したようだ。


「マシーナリーウイルスの適合者に刃は通(とお)らない……。ならば、これならどうです」


クリーンは小雪(リトル スノー)の持ち変える――いや、今までの構え自体(じたい)を変化させた。


それまでの剣道のお手本のような構えから一転(いってん)し、見たこともない独特(どくとく)の姿勢(しせい)になる。


「ベルサウンド流(りゅう)、モード小雪(リトル スノー)、乱(みだ)れ雪花(ゆきばな)」


そしてクリーンが刀を振ると、その斬撃がミックスを目掛(めが)けて飛んできた。


まるで白い雪のような花びらが、鋭(するど)い斬撃となって襲う。


ミックスはこれを装甲(アーマード)した両腕(りょううで)で弾(はじ)き、なんとか凌(しの)いでみせる。


防(ふせ)ぎ切ったが彼はまだ驚(おどろ)きを隠(かく)せないでいた。


日本刀から飛び道具(どうぐ)が出せるなど、ミックスのいた世界ではありえないからだ。


そんな彼を見ながらクリーンは、すでに次(つぎ)の手に移(うつ)っていた。


「雪花でも貫(つらぬ)けない……。これは期待(きたい)できそうです」


「期待とかよくわかんないけど! いいからこっちの話を聞いてくれッ!」


「私は先に言いましたよ。申し訳ないですが、問答無用です、と」


「いやそれじゃあんまりだよ! 説明(せつめい)を! せめて説明をしてくださいッ!」


喚(わめ)くミックスなど無視(むし)し、一瞬(いっしゅん)で間合(まあ)いを詰(つ)めたクリーンは、その懐(ふとこ)へと入った。


(マズいッ! ガードが間に合わないッ!?)


「ベルサウンド流、モード小雪(リトル スノー)、斬雪(ざんゆき)舞踊(ぶよう)ッ!」


避けきれず防御(ぼうぎょ)も間に合わなかったミックスは、クリーンの技(わざ)をまともに受けるしかなかった。

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