表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
45/948

#44

それからしばらくの(あいだ)、ミックスたちは他愛(たあい)もない会話(かいわ)を続けた。


ミックスがジャズにこの国へ留学(りゅうがく)してみてどうか? とか。


ウェディングがミックスとジャズは付き合っているのかを本当のところを(おし)えてほしい、とか。


その質問(しつもん)大慌(おおあわ)てした二人を見て、(みな)が楽しそうに笑ったりとか。


そんな時間をレストランで()ごした。


その後、店を出ることに決めた一行(いっこう)


ジャズとウェディングは(りょう)へ帰ると言い、クリーンは用事(ようじ)があるのでとミックスと(とも)に二人を見送(みおく)ることに。


「それじゃクリーン、またね。それからあんたも」


「うん。またなにかあればニコのことを(あず)かるよ。そのときは前みたいにうちでご(はん)でも食べよう」


「だからぁ……そういうこというから誤解(ごかい)されるんだろうがッ!」


「ぎゃぁぁぁッ!」


ミックスは挨拶(あいさつ)ていどにいったつもりだったのだが。


ジャズは彼の発言(はつげん)に顔を()()にしてゴンッと頭突(ずつき)きを()らわせた。


ジャズはその後にプンプン(おこ)りながら、さっさとその場を立ち()っていく。


「な、なんで……(おれ)がこんな目に……?」


たった一撃(いちげき)でボロボロになったミックスは、(うめ)きながら不条理(ふじょうり)だと(つぶや)いていた。


「う~ん、ミックスせんぱいが乙女心(おとめごころ)理解(りかい)するのはとうぶん先みたいですね」


そんなミックスを見たウェディングは、(うれ)しそうにそういうと、ニコを()いてジャズの背中(せなか)を追いかけて行った。


(のこ)されたミックスは、(あたま)(いた)みから立ち(なお)るとクリーンのほうを向く。


なんだかボーとしていそうだったが、その顔には笑みがこぼれていた。


「えーと、クリーンはこの後に用事(ようじ)があるんだっけ?」


クリーンは(だま)ったままコクッと(うなづ)くと、彼女の(となり)にいたスノーも同じように(くび)上下(じょうげ)させた。


ミックスは思う。


こんな可愛(かわい)らしい女の子が天ぷらうどんを三十(ぱい)以上(いじょう)も食べるとは。


あの(りょう)(めん)一体(いったい)身体のどこに入っているんだろう?


(それよりも、その大食いのせいでの今月も節約(せつやく)しなきゃだなぁ……)


「あの……うどん、ごちそうさまでした」


ミックスが一人しょげているとクリーンが声をかけてきた。


彼女はお(れい)をいうと丁寧(ていねい)にその(あたま)を下げ、スノーもそれに続いていた。


クリーンが頭を下げたため、彼女の白い(かみ)がバサッと()れる。


(キレイな髪だなぁ。()(しろ)で、まるで(ゆき)みたいだ)


ミックスはクリーンの髪を見ながら、顔を上げた彼女を見て思わず(ほお)()めてしまう。


よく見るとジャズやウェディングと(ちが)って、(まった)化粧(けしょう)()がない(二人もそんなに()いメイクはしていないが)。


表情(ひょうじょう)もどこかぼんやりとしていて、ぱっと見はどこにでもいそうな脱力系(だつりょくけい)女子(じょし)なのだが。


クリーンの持つ雰囲気(ふんいき)には、どこか今にも消えてしまいそうな(はかな)さがあった。


「いいよいいよ。でも、今回だけかなぁ。正直(しょうじき)あんな(りょう)をおごり続けたら俺が破産(はさん)しちゃうからね」


ミックスが少し()れながら返事をすると、クリーンはクスッと上品(じょうひん)に笑った。


ジャズやウェディングも礼儀(れいぎ)作法(さほう)はしっかりしていたが、クリーンとはまた(べつ)だ。


きっとこの子は良いところのお(じょう)さんなのだろう。


こうして(たたず)まいを見ているだけで、訓練(くんれん)ではなく生活から礼儀(れいぎ)(おも)んじている――そんなことを思わせる仕草(しぐさ)態度(たいど)である。


「って、こんなことをジャズの前でいったらまた頭突きを喰らいそうだけど……」


「どうかしましたか?」


「いや!? なんでもないよッ!」


慌てて誤魔化(ごまか)そうとするミックスを見たクリーンは、またクスリと上品に笑い、右手をスノーのほうへと()ばす。


ミックスはそんな彼女を見て、なぜ手を伸ばしているのだろうと不思議(ふしぎ)に思っていた。


「でも、よかったです。話に聞いていた“適合者(てきごうしゃ)”さんがこんなに(やさ)しい人で……」


そう(つぶや)くように言ったクリーン。


すると、犬のスノーの身体が日本刀(にほんとう)へと変化(へんか)し、彼女の手へと(にぎ)られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ