表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
4/948

#4

――バイオニクス共和国(きょうわこく)


ミックスが住んでいるのはその本国(ほんごく)であり、世界のほぼすべてが共和国の加盟国である。


ここには、彼が(かよ)戦災(せんそう)孤児(こじ)のための学校や、生体(せいたい)工学(こうがく)研究所(けんきゅうじょ)(かず)多くあった。


広さでいえば、約五百万人の人間が余裕で住めるくらいで、実際(じっさい)の人口は三百万人。


(おも)住民(じゅうみん)は、ひとり()らしの学生と、研究所へ(つと)める科学者(かがくしゃ)たちである。


以前(いぜん)はストリング帝国という国と戦争(せんそう)(その戦争はアフタークロエと呼ばれている)していたが、それも今や七年前。


今では両国(りょうこく)(あいだ)和平(わへい)協定(きょうてい)(むす)ばれ、今日も共和国は平和(へいわ)そのものだった。


「ういーす。どうしたミックス? 朝から(むずか)しい顔して」


「おはよう。別に、なんでもないよ」


ミックスに声をかけてきた男の名はジャガー。


ミックスのクラスメイトであり、入学当初(とうしょ)から特に仲良(なかよ)くしている友人でもある。


返事を聞いたジャガーは、ボサボサでろくに手入れもしてない(かみ)()きながら大あくびをする。


「なんでもないのにそんな顔するかねぇ」


「ホントになんでもないったら。それよりも授業(じゅぎょう)が始まるよ」


すでに教室には、ミックスたちの教師(きょうし)教卓(きょうたく)についていた。


それから挨拶(あいさつ)出席(しゅっせき)といつもの流れで授業が始まる。


だが、ミックスは(まったく)く集中できていなかった。


席につきながら教師が操作(そうさ)する電子黒板を見ながら、心ここにあらずといった様子だ。


それは、昨日家に現れたミリタリールックの少女――ジャズ·スクワイアのことを考えてしまっていたからだった。


(あの子……ジャズっていったけ……今頃どうしてるんだろ……?)


()けた顔で授業を受けているミックス。


そんな彼にジャガーが声をかけてくる。


「やっぱなんか変だぞ。いつものお前ならいくら成績(せいせき)が上がらなくても授業は真面目に受けてるのに。まあ、いくら頑張(がんば)っても成績は上がらないけど」


「ジャガーはさ……。ただ俺の頭が悪いって言いたいだけじゃないのかな?」


二回も同じことを言われ、少し苛立(いらだ)ったミックスが小声で返事をした。


だがジャガーは彼など気にせず、別のことに気がついたようで、その手をポンッと打ち()らす。


「そうか、わかったぞ。女、女だな、ミックス」


「うッ!? い、いきなり何を言い出すんだよ!?」


「その反応(はんのう)、マジで女か。いや~当てずっぽうで言ってみるもんだねぇ」


ジャガーに言い当てられたミックスは、彼を無視(むし)しで再び電子黒板へと顔を向ける。


ミックスは今までとは(ちが)い、授業に集中しようと気を引き()めていた。


「それにしても、ミックスに女かぁ~。いやいや、先を()されたオレは(かな)しいぞ、友よ」


ミックスはジャガーを無視し続けた。


いくら声をかけても反応はしない。


それを面白くないと思ったジャガーは、あることを実行する。


「アミノ先生~。ミックスくんが昨日女と会っていたせいで、どうも授業どころじゃないみたいで~す」


突然席から立ち上がったジャガーは、手を()げて教師へ(うった)えた。


(あわ)てて否定(ひてい)したミックスだったが、アミノと呼ばれた女教師は、彼のことを(はげ)しく(にら)みつけている。


「ア、アミノ先生……?」


ミックスがそういうと――。


アミノはいきなり泣き出してしまった。


教卓に顔をつけ、うわんうわんとまるで子どもように(わめ)いている。


「ミックスくんは私が(きら)いなんですね……。私の授業を受けたくないんですね……」


「先生! そんなことないッ! ……って……あら、みんなどうしたのかな……?」


アミノの誤解(ごかい)を解こうとしたミックス。


だが、そうしていると、教室中から冷たい視線(しせん)を感じ出す。


そして周囲(しゅうい)見渡(みわた)してみると、クラスメイト全員がミックスのことを睨み付けていた。


「あーアミノ先生を泣かせたー」


「ミックス、マジ最悪(さいあく)……」


「先生かわいそー」


続いて一斉(いっせい)批難(ひなん)の言葉をぶつけられた。


ミックスは席から立ち上がり、必死(ひっし)になって自己弁護(じこべんご)した。


だが、アミノが泣き止むことはなく、その日は一日中クラスメイト全員から冷たい態度(たいど)を取られるのであった。


「まあ、こんなもんだよね……ハハハ……」


それから学校からの帰り道で、彼は(かわ)いた笑みを()かべてそう(つぶや)いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 毎話のテンポがよく、読みやすいと思います。 [気になる点] まずは国の人口につきまして、数百万は首都と思いきや「本国」だった。 世界の中心になる「本国」として、少なくとも人が集まります、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ