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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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35/948

#35

《これより自爆(じばく)プログラムを作動(さどう)します。繰(く)り返します。これより自爆プログラムを作動します》


音声(おんせい)合成(ごうせい)――ナノクローンから機械的(きかいてき)な声が聞こえた。


ジャズがイチかバチかインストガンを撃(う)とうと構(かま)え、ウェディングもその場から跳躍(ちょうやく)。


だが、すでに自爆(じばく)プログラムが作動しているナノクローンには間(ま)に合いそうにもなかった。


「ここまできて、ダメなのッ!?」


ジャズがトリガーを引いたと同時(どうじ)に叫(さけ)んだ。


そのとき、ジャズの撃った電磁波(でんじは)よりも早く、ナノクローンへ向かっていたウェディングの横(よこ)を別(べつ)の電磁波が通過(つうか)していく。


そのどこから放(はな)たれたかわからない電磁波が、すでに爆発(ばくはつ)へ動いていたナノクローンの頭部(とうぶ)を貫(つらぬ)き、完全に沈黙(ちんもく)。


ブロードの計画(けいかく)していたアーティフィシャルタワー爆破(ばくは)作戦(さくせん)は、その一撃を最後に失敗(しっぱい)に終(お)わった。


「今のは……なんだったの……?」


「お姉さんお姉さん。それよりもミックスせんぱいを病院(びょういん)に連れて行かないと、このまま死んじゃいます~よ」


「そうだったッ! えーと、あんたは……」


「ウェディングと呼んでください」


「じゃあウェディング、悪いけど手伝ってッ!」


「は~い、お姉さん」


それからジャズはウェディングと共に、気を失(うしな)っているミックス、ブロード、ヘルキャット、アリア四人を病院(びょういん)へと運(はこ)ぶ。


そこまでの移動(いどう)手段(しゅだん)には、ミックスの持っていたエレクトロフォンで、彼の担任(たんにん)教師(きょうし)であるアミノに連絡(れんらく)。


その後、彼女の持っていた大型(おおがた)のミニバンにミックスたちを乗せて病院へと向かった。


「ジャズちゃんッ!? 急(いそ)いでと言われて来てみれば、これはどういうことなのですかッ!? 事情(じじょう)をッ! ちゃんと先生に事情を話してくださいッ!」


「理由(わけ)はあとで話しますから、今はともかく急(いそ)いでください!」


その移動中に、ジャズとアミノが何度も同じような会話を繰り広げていたが、ウェディングはそんな二人の様子(ようす)をほのぼのと見ていた。


そして、どこでいつ買ったのかもわからないチョコレートを口にしながら、ニコニコと微笑(ほほえ)んでいる。


「まあまあ、お姉さん方(がた)。ここはチョコでも食べて血液(けつえき)をサラサラにしましょう」


「こんなときにサラサラしてどうすんのよッ! つーかあんたはこんな緊急(きんきゅう)事態(じたい)のときにチョコレートなんか食ってんじゃねえッ!」


ジャズに怒鳴(どな)られたウェディングだったが、それでも彼女の笑みが消えることはなかった。


むしろ彼女の反応(はんのう)をとても嬉(うれ)しそうにしている。


「お姉さんはやっぱりミックスせんぱいが好きなんですね。私の予想(よそう)通(どお)りです」


「なッ!? こんなときになにいってのよあんたッ!?」


顔を真(ま)っ赤(か)にしているジャズを見て、アミノも会話(かいわ)に入ってくる。


「先生もそこのところを詳(くわ)しく訊(き)きたいのですが。それで、実際(じっさい)のところどうなんです?」


「先生ったら聞くまでもないですよ~。お姉さんはミックスせんぱいが好き。これはリンゴが地球(ちきゅう)の重力(じゅうりょく)に引かれて落ちるのと同じくらい確実(かくじつ)なんですよ」


そんなアミノとウェディングに嫌気(いやけ)がさしたジャズが頭(あたま)を抱(かか)え出す。


「もうイヤァァァッ! 早く病院に着いてよぉぉぉッ!」


そしていろいろな意味(いみ)で、すぐにでも目的地(もくてきち)にたどり着いてほしいと叫ぶジャズであった。


――その頃(ころ)、ジャズたちがいなくなったアーティフィシャルタワーの広場では――。


破壊(はかい)されたナノクローンの残骸(ざんがい)や、ミックスとブロードの戦いでできた地面(じめん)のヒビが生々(なまなま)しく残(のこ)っていた。


「あ~あぁ~、しかし派手(はで)にやったね」


そこには、ミックスが通(かよ)う学校の作業用(さぎょうよう)ジャケットを着た少年がいた。


それから少年は周辺(しゅうへん)を一通(ひととお)り見終(みお)わると、ボサボサ頭を掻(か)きながら大あくびをする。


そして今にも眠(ねむ)たそうな顔で、ジャケットのポケットに入れていたエレクトロフォンを取り出した。


「はい、俺(おれ)っす。ノピア将軍(しょうぐん)の想像(そうぞう)通り、ミックスの奴(やつ)は適合者(てきごうしゃ)と合成種(キメラ)グラビティシャドー二つの力(ちから)を持っていました。あと、ちょっと手を貸(か)してしまいましたが、ブロード大佐(たいさ)の件(けん)は、ミックスとジャズで問題(もんだい)なく片付(かたづ)きましたよ」


少年はノピアと呼ぶ人物(じんぶつ)と話を始めた。


彼は変わらず眠たそうな顔のままだったが、アーティフィシャルタワーの広場でのことを事細(ことこま)かに説明(せつめい)している。


それからハザードクラスである|舞う宝石《ダンシング·ダイヤモンド》ウェディングがミックスたちに協力(きょうりょく)したことや、エレクトロハーモニー社製の効果装置(エフェクト)やナノクローンのことも伝(つた)えていた。


「詳(くわ)しいことは、ここの処理(しょり)の後が終わったら映像(えいぞう)と文章(ぶんしょう)で送(おく)りますんで」


少年はそういうとエレクトロフォンの通話(つうわ)を切った。


「はぁ~ヴィンテージの右腕(みぎうで)ってのは、やっぱ楽(らく)じゃないねぇ」


それから彼は実にかったるそうにし、今度は別のところへ連絡を始めるのだった。

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