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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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34/948

#34

突如(とうじょ)現(あらわ)れた少女は、はしゃぎながら両手(りょうて)をあげて喜(よろこ)んでいる。


間一髪(かんいっぱつ)のところを救(すく)われたジャズだったが、彼女が何者(なのもの)なのか、一体(いったい)何が起(お)こったのかもよく理解(りかい)できずにその場で立ち尽(つ)くしていた。


「あの啖呵(たんか)を切るようなセリフ、とってもステキでしたッ! あたしファンになっちゃいそうッ!」


「あんた、誰……なの……?」


その少女は、ほぼ放心(ほうしん)状態(じょうたい)のジャズの両手を掴(つか)んで嬉(うれ)しそうにしていた。


ジャズの両手を掴んでいる彼女の手の表面(ひょうめん)には、宝石(ほうせき)のようなもので覆(おお)われている。


「なんでウェディングがここにいるんだよッ!」


ミックスの叫(さけ)び声でジャズがハッと正気(しょうき)を取り戻(もど)す。


そして彼女は、目の前の少女のことをよく見た。


「ウェディングって……じゃあ、あんたがあの|舞う宝石《ダンシング·ダイヤモンド》なのッ!?」


「知っていただけ光栄(こうえい)で~す。以後(いご)お見知(みし)りおきをくださ~い」


「なんでハザードクラスがあたしを助(たす)けたのよ……?」


「まあまあ、お姉さん。それはちょっと置いといてぇ~。今はあれを止めればいいんですね」


二人が話しているうちに、ナノクローンはアーティフィシャルタワーに迫(せま)っていた。


ウェディングはまだ驚(おど)いているジャズにニッコリ微笑(ほほえ)むと、まるでコンクリートの地面(じめん)をすべるように駆(か)け出していく。


彼女には特殊(とくしゅ)能力(のうりょく)があり、その名を|超復元《グレート·リストレーション》という。


実質的(じっしつてき)にどんな重傷(じゅうしょう)を負(お)おうが、どんなウイルスに感染(かんせん)しようがすべて正常(せいじょう)な状態(じょうたい)に治してしまう治癒(ちゆ)能力である。


彼女はその能力があるがゆえに、バイオニクス共和国(きょうわこく)のとある研究所(けんきゅうじょ)で行(おこな)われた実験(じっけん)――。


増幅《アンプリフィケイション》計画(けいかく)と呼ばれた人体(じんたい)実験の被験者(ひけんしゃ)であった。


その全身の骨格(こっかく)には分子(ぶんし)レベルでダイヤモンドを結合(けつごう)され、自分の意思(いし)で全身のどこからでも武器として露出(ろしゅつ)可能(かのう)(皮膚(ひふ)を突き破(やぶ)ってダイヤモンドにするなど)。


だが、彼女の能力の本当に恐(おそ)ろしいところは、たとえ心臓(しんぞう)を潰(つぶ)されようが頭(あたま)を吹き飛ばされようが、瞬時(しゅんじ)に蘇生(そせい)できることに他(ほか)ならない。


実験により身体能力も向上(こうじょう)され、人間離(ばな)れしたスピードと宝石を使って戦うその姿(すがた)から、科学者たちは彼女に舞う宝石《ダンシングダイヤモンドというコードネームを付けた。


今ウェディングがやっているのは、足の裏(うら)にダイヤモンドを露出(ろしゅつ)させ、走る勢(いきお)いですべらせている。


氷(こおり)の上をすべるスケートの要領(ようりょう)だ。


「これやっちゃうと靴(くつ)がダメになるからイヤなんですけど。お姉さんがカッコよかったからやっちゃいま~す!」


そして、ナノクローンに追いついたウェディングは両手の拳(こぶし)を握(にぎ)った。


すると、手の甲(こう)から剣の形(かたち)をした宝石(ほうせき)――ダイヤモンドが表(あらわ)れる。


手から生(は)えた宝石の剣。


まるで手甲剣(てこうけん)のようなダイヤモンドが、ナノクローンの放(はな)つビーム兵器(へいき)――スモールコーラスの光(ひかり)に当てられて輝(かがや)いていた。


「ビームなんて私の身体には効(き)きませんよ」


ウェディングは、飛んでくるスモールコーラスを弾(はじ)き返しながら、その両手に付いた手甲剣(てこうけん)をナノクローンへと振(ふ)るう。


ジャズの使っていた銃剣(じゅうけん)のナイフでも傷(きず)がつかなかった装甲(そうこう)が、まるでバターのように斬(き)り裂(さ)かれた。


「あとひとつですね」


ウェディングは残(のこ)ったナノクローンを追いかけようとした。


だが、その一体(いったい)はすでにアーティフィシャルタワーまでたどり着いてしまっていた。

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