表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
31/948

#31

この人は悪い人間ではない。


むしろストリング帝国とバイオニクス共和国の被害者(ひがいしゃ)なのではないか。


ミックスはそう思うと、ブロードと戦う気持ちが()えていく。


「もう、こんなことは……我々(われわれ)(だい)で終わりにしなければならない。共和国(きょうわこく)実験(じっけん)を終わらせるには、もはや戦争を起こすしかないのだ」


「そんなの間違(まちが)ってるよッ!」


ブロードの話を聞き、(うつむ)いていたミックスの(うし)ろからジャズが(さけ)ぶ。


「たしかにブロード叔父(おじ)さんのいうこともわかるよッ! 共和国がしたことはあたしも(ゆる)せない……。だけど、そこまでしようと思った元々(もともと)理由(りゆう)は、大事(だいじ)な人を(うしな)いたくなかったからでしょッ!? それなのに戦争なんて起こしたら、もっと人が死んじゃうよッ!」


ジャズはゆっくりと前へ歩き出すと、ミックスの(となり)(なら)んだ。


「あたしはこの国へ来て知ったよ! 共和国の人間は()い人たちだって! あたしが(こま)っているときに、何の(とく)もしないのに手を()()べてくれた……。だからあたしは、ミックス(こいつ)もアミノさんのことも、ヘルキャットとアリア、そして叔父さんと同じくらい失いたくないッ!」


ジャズは必死(ひっし)に――まるで()えるように言葉を続ける。


「お(ねが)いッ! 戦争なんて起こさせないでッ! あたしから大切(たいせつ)な人を(うば)わないでッ!」


「それは子どもの理屈(りくつ)だな。しょせん帝国(ていこく)と共和国が(こころ)(かよ)わすなど不可能(ふかのう)だ。(おれ)は自分の信念(しんねん)(したが)うのみ……」


ブロードがそういうと、止まっていた人型(ひとがた)戦闘用(せんとうよう)ドローン――ナノクローンの集団(しゅうだん)が動き出した。


ナノクローンの集団はジャズを()らえようと、彼女にその手を向ける。


だが、手を()ばした数体(すうたい)のナノクローンが突然(とつぜん)()き飛ばされた。


「決めた……。いや(ちが)うな。最初(さいしょ)から決めてたんだった……」


ナノクローンを吹き飛ばしたのは――。


「俺はみんなが笑えあえるような、そんな終わり方にするって決めてたんだッ!」


マシーナリーウイルスにより身体(からだ)機械化(きかいか)――装甲(アーマード)されたミックスだ。


ミックスは萎えていた気持ちを、(ふたた)(ふる)い立たせていた。


彼の気持ちを変えたのは、ジャズの言葉に(ほか)ならない。


自分やアミノのことを(うしな)いたくない人間だといってくれた彼女のために――。


戦う理由なんてそれだけで十分(じゅうぶん)だ。


じっくりと深呼吸(しんこきゅう)をしたブロードはミックスの前に立つ。


「では、決着(けっちゃく)をつけるか、小僧(こぞう)


「もう(まよ)わない! 俺は絶対(ぜったい)にあんたを止めるぞ。ブロード大佐(たいさ)ッ!」


ブロードはナノクローンの動きを止めると、ミックスに(おそ)いかかった。


手首(てくび)に付けた腕輪(ハングル)――効果装置(エフェクト)で機械化させた(こぶし)(にぎ)り、彼へと(なぐ)りかかる。


ミックスもブロードと同じように(かま)え、両者(りょうしゃ)の機械の拳が(はげ)しくぶつかり合った。


その衝撃(しょうげき)(すさ)まじい火花(ひばな)(かぜ)()き起こり、(ちか)くにいたジャズは()き飛ばされてしまう。


「国のために自爆(じばく)テロなんて、あんたは脇役(わきやく)でいいのかッ!? そんな死んでやるくらいの気持ちがあるなら、もっと(べつ)の戦い方を考えろよッ!」


「小僧にはわからん大人(おとな)事情(じじょう)があるんだよッ!」


「なら俺にはわからなくていいよ。自己(じこ)犠牲(ぎせい)のつもりなのかなんなのか知らないけど、俺はそんなの全然(ぜんぜん)カッコいいと思わないぞッ!」


「いい格好(かっこう)を見せようとするだけで(いのち)()けられるかッ!」


そして、その強烈(きょうれつ)衝突(しょうとつ)の後、ミックスとブロードはもう再度(さいど)拳をぶつけ合う。


「死なないでくれって泣いて止めている人がいるのに、それでも死のうとするなよッ!」


ミックスの拳と受けたブロードの身体が地面(じめん)へとめり()み、機械化した腕と手首に付いた効果装置(エフェクト)にヒビが入る。


「やはりこいつッ!? 適合者(てきごうしゃ)合成種(キメラ)(ちから)をッ!?」


「いけぇぇぇッ! シャドォォォーッ!」


ミックスの拳はブロードを地面へと(たた)きつけ、彼の身体はその場に(ふか)()()さった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ