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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
19/948

#19

アリアは男とヘルキャットのいるほうへと下がった。


(うつむ)いている彼女の(かた)をヘルキャットが(やさ)しく()でいる。


「ブロード大佐(たいさ)……。(じつ)は……私……」


報告(ほうこく)は後だ。今はジャズの動きを止めることを優先(ゆうせん)する」


アリアはブロードと呼んだ男にそう言われ、ヘルキャットが持ってきていたインストガンを手に(にぎ)る。


そして、三人はジャズへその照準(しょうじゅん)を合わせた。


そこから素早(すばや)三方向(さんほうこう)へと分かれ、()げ道を(ふさ)ぐような陣形(じんけい)をとる。


指揮(しき)をしているのはブロード。


この一瞬(いっしゅん)で動けたヘルキャットもアリアも優秀(ゆうしゅう)だが、それ以上(いじょう)指示(しじ)を出したブロードの判断(はんだん)的確(てきかく)としか言いようがない。


戦い()れをしているのがわかる行動(こうどう)だった。


「ジャズ、両手(りょうて)我々(われわれ)に見えるように()げろ」


「ブロード叔父(おじ)さん……。まさかあなたまで共和国(きょうわこく)に来ていたなんて……」


ジャズは、ブロードに言われた(とお)りにしながら(つぶや)くように言った。


銃口(じゅうこう)を向けながら、ジリジリと彼女へと(ちか)づいて行くブロード。


そして、ヘルキャットとアリアに左右(さゆう)から(ねら)いをつけさせたまま、自分はインストガンを下ろした。


「お前こそ、ノピア将軍(しょうぐん)に言われて来たのか?」


(ちが)います! あたしの独断(どくだん)です! そこの二人を……ヘルキャットとアリアを止めたくって……」


「それは(あきら)めろ。もはや彼女たちは止められん。我々は(だれ)かの命令(めいれい)で動いているわけではないんだ」


「なら叔父さんが二人をそそのかしたんですかッ!?」


声を(あら)げたジャズに、ヘルキャットが(しず)かに(こた)える。


「違う。私とアリアは自分の意思(いし)で大佐についてきた」


「ヘルキャット……。話ならさっきアリアが話していたのを聞いたよ! お(ねが)い! 自爆(じばく)テロなんてやめてッ! 二人が死んじゃったら……あたし……(いや)だよ……」


ジャズの言葉にヘルキャットの手が(ふる)える。


それはアリアも同じで、二人はここへ来て彼女の気持ちに(もう)(わけ)なさを感じているようだった。


ジャズはそんな二人とブロードへ言葉をかけ続けた。


一緒(いっしょ)に国へ帰ろう。


こんな方法(ほうほう)じゃない、もっと平和的(へいわてき)な戦い方を見つけよう。


ジャズは、今ストリング帝国(ていこく)内部(ないぶ)にある強硬派(きょうこうは)慎重派(しんちょうは)(たが)いの妥協点(だきょうてん)を見つけ合うことを(うった)え続けた。


だが、ブロードは突然(とつぜん)彼女の胸倉(むなぐら)(つか)んで(にら)みつける。


「お前は、なぜわからんのだ。そんな(あま)いことをいう人間がいるから国がまとまらんのだ!」


「でも叔父さんは、そもそも戦争そのものに反対(はんたい)していたじゃないですか!?」


一歩(いっぽ)も引かず、(はげ)しく睨み返すジャズ。


先ほどからのジャズの発言(はつげん)でわかるが、この二人は従妹(いとこ)――叔父と(めい)関係(かんけい)である。


「それはもう七年も前の話だ。今やバイオニクス共和国(きょうわこく)はストリング帝国を食い物している……。それをお前は……このまま(だま)って見ていろと言うんだな」


「そんなこと言っていないッ! あたしはやり方が間違(まちが)っていると言ってるんだ!」


「変わったな、ジャズ。お前も弟の奴も……。アン·テネシーグレッチを見てからか……。だが、あの女が(とな)えた理想(りそう)主義(しゅぎ)が帝国をここまで追いつめたのだぞ」


「アン·テネシーグレッチは関係ない! あたしはもう叔父さんの知っている(ころ)のあたしじゃないんだ! 自分が(しん)じた道を進んでいくって、ずっと前に決めたんだからッ!」


「そうか……」


ブロードはそう呟くと、ジャズの胸倉から手を(はな)した。


そして、右手をあげてそれを下ろす。


彼はヘルキャットとアリアへ、()てと指示(しじ)を出したのだ。


安心(あんしん)しろ。お前のことを殺しはしない。インストガンの出力は最低まで落としてある。ただ我々が自爆した後、(かなら)ず共和国の捜査(そうさ)が始まる。そしてその犯人がストリング帝国の人間だとしれば、再び戦争が起こるだろう。ジャズ、お前は国のために戦ってくれ」


ジャズへ背を向け、そう言ったブロード。


ヘルキャットとアリアは、表情(ひょうじょう)(ゆが)めながらもインストガンのトリガーを引いた。


放出(ほうしゅつ)された電磁波(でんじは)がジャズへと(おそ)い掛かったそのとき――。


「うおぉぉぉッ! ジャズゥゥゥッ!」


放たれた電磁波が、突然飛び出してきたミックスによって(はじ)かれ、あらぬ方向へと飛ばされていった。


その場にいた誰もが目を(うたが)った。


バカな、あり得ない――と、(まも)られたジャズでさえ驚愕(きょうがく)している。


「女の子に銃口を向けて(えら)そうにするなんて……最悪(さいあく)だよッ!」


その理由(りゆう)とは、電磁波を弾いたミックスの(うで)機械化(きかいか)していたからだった。

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