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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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18/948

#18

アリアは、フラフラと立ち上がって来るミックスへ冷(つめ)たい視線(しせん)を送(おく)る。


「わかりませんね。あなたがいくらジャズちゃんの想(おも)いに応(こた)えようとしたところで、所詮(しょせん)は帝国(ていこく)と共和国(きょうわこく)という壁(かべ)は変わることはない。いずれ彼女はあなたの前から消えるのですよ」


「ジャズが国へ帰るからって、そんなの関係(かんけい)ないッ!」


ミックスはしっかりと立ち上がり、アリアへ向かって叫(さけ)んだ。


「わからないんなら教(おし)えてあげるよ。俺はジャズのために頑張(がんば)るって、そう決めたんだ! ジャズが自分の国へ帰ったって、国同士(くにどうし)の仲(なか)が悪いからって、俺(おれ)とジャズの関係(かんけい)が変わるもんかッ!」


アリアが放(はな)った回《まわ》し蹴(げ)りのせいで血を流(なが)しながらも、ミックスは少しも怯(ひる)んでいはいなかった。


むしろ先ほどよりも覇気(はき)を増(ま)している。


「それよりも、なんで話し合わないんだよ!? キミと、ジャズと、そのヘルキャットって子で、もっとお互(たが)いの気持ちを伝(つた)え合えば、こんなふうに悩(なや)むこともなかっただろ!? それを勝手(かって)に決めて……。なにが友人を選(えら)べないだよ……。キミらが決めたことにジャズの気持ちが入ってないじゃないかッ!?」


「だから……先ほど言いましたよね……。あなたになにがわかるんですかッ!?」


ミックスの言葉に耐(た)えられなくなったのか、アリアは彼に飛びかかり、馬乗(うま)りになって殴(なぐ)りつけだした。


それはもう逆上(ぎゃくじょう)した子どもが、ただ怒(いか)りに任(まか)せて相手へ暴力(ぼうりょく)を振(ふ)るっているのと変わらない。


ミックスがこれ以上なにも言えないようにしているだけだった。


杭(くい)を打ち付けるように繰り出されていくアリアの拳(こぶし)が、ミックスの意識(いしき)を奪(うば)おうと雨のように振り注(そそ)いでいく。


すでに抵抗(ていこう)をしていない彼へ、アリアは攻撃(こうげき)を続けていた。


その様子(ようす)を見るに、彼女は余程(よほど)痛(いた)いところを突(つ)かれたのだろうと思わせた。


このままではミックスが殴(なぐ)り殺されてしまうと思われたが――。


「アリア、そこまでよッ!」


突然(とつぜん)アリアの身体が掴(つか)まれ、そのまま放(ほう)り投げられる。


受け身を取った彼女がそこで見た人物とは――。


「ジャ、ジャズちゃんッ!?」


サイドテールの少女――ジャズ·スクワイアだった。


身構(みがま)え、臨戦(りんせん)態勢(たいせい)へと入ったアリアは声を張り上げる。


「どうしてあなたがここにいるんですかッ!? あのアパートにいたはずじゃッ!?」


「なにかあったときのために、そいつに発信機(はっしんき)をつけておいたのよ。顔を見たそいつのことを、あんたたちが放っておかないと思ってね」


アリアは表情(ひょうじょう)を歪(ゆが)めていた。


自分のミスでジャズに見つかってしまった。


この場で戦うにしても逃げるにしても、正直(しょうじき)ジャズと一対一(いちたいいち)ではどちらも難(むずか)しい。


そう考えていたアリアだったが、ジャズは彼女へ向かってそっと手を伸(の)ばす。


「アリア……。そいつの言う通りとは言わないけど。あたしたち……もっと話し合わないといけなかったとは思うんだ……」


ジャズは穏(おだ)やかな笑みを浮かべ、手を伸ばしたまま近づいて来る。


「あたしも悪かったよ。二人のこと避(さ)けていたみたい態度(たいど)を取っちゃって。だから、もう一度(いちど)話し合おう」


「ジャズちゃん……」


アリアが出された手を見ていると、二人の間(あいだ)に電磁波(でんじは)が放(はな)たれた。


慌(あわ)てて避けたジャズが電磁波が放たれた方向(ほうこう)へ目をやると、そこには小柄(こがら)な少女ヘルキャットと、シャープな体型(たいけい)をした男が立っていた。


「少年一人始末(しまつ)するのに、ずいぶんと時間がかかり過(す)ぎていると思ったが。まさかジャズと接触(せっしょく)していたとはな」


「ヘルキャット!? それと……ど、どうしてあなたがッ!?」


ジャズは現(あらわ)れた男を前にして、その驚(おどろ)きを隠(かく)せないようだった。

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