↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
PR
20/948

#20

「その機械(きかい)の腕(うで)……まさかお前は……マシーナリーウイルスの適合者(てきごうしゃ)なのかッ!?」


皆(みな)がミックスの腕――メタリックな白い金属(きんぞく)装甲(そうこう)を見て言葉を失(うしな)っている中――。


ブロードが叫(さけ)び声をあげた。


マシーナリーウイルスとは――。


数年前にストリング帝国(ていこく)の科学者(かがくしゃ)たちが開発(かいはつ)した、人体(じんたい)を侵食(しんしょく)する細菌(さいきん)。


このウイルスは、体内で一定の濃度(のうど)まで上がると成長(せいちょう)し、宿主(しゅくしゅ)の身体(からだ)を機械化(か)する。


機械化した者は、人体を超(こ)えた力(ちから)と速度(そくど)で動けるようになるが、宿主は自我(じが)を失い、ストリング帝国の完全なる機械人形(にんぎょう)へと変わってしまう。


――のだが。


かつてコンピューターの暴走(ぼうそう)で世界が滅(ほろ)ぼされようとしていたとき。


それを救(すく)ったアン·テネシーグレッチも、かつてのストリング帝国によってマシーナリーウイルスを体内に埋め込まれていた者だった。


しかし彼女はその機械化を完全にコントロールしてみせ、その凄(すさ)まじい力(ちから)を自分の意思(いし)で操(あやつ)った。


今は亡(な)きストリング帝国の皇帝(こうてい)――レコ―ディ―·ストリングは、マシーナリーウイルスに侵(おか)されても人形にならない者のことを“適合者”と呼ぶ。


そして、完全にコントロールされたはマシーナリーウイルスは、もはや侵食(しんしょく)ではなく装甲(アーマード)と認識(にんしき)された。


「あの人と……アン·テネシーグレッチと同じ力……」


ジャズが、ミックスの機械化された腕を見て呻(うめ)くように言った。


ヘルキャットとアリアも突然の出来事(できごと)に口を開いたままだった。


それもしょうがない。


現在この世界で確認(かくにん)されている適合者は、アン·テネシーグレッチ、ローズ·テネシーグレッチ、ノピア·ラシックの三人だけだ。


その三人は先ほど出たコンピューターの暴走と止めた救世主(きゅうせいしゅ)として知られ、人々は彼女たちのこと“ヴィンテージ”と呼ぶようになった。


そのまさかの四人目が、ストリング帝国とは関係(かんけい)のないバイオニクス共和国(きょうわこく)に住んでいるただの十代(じゅうだい)の少年とは誰も思わないだろう。


「ジャズ、ジャズッ! しっかりしてよ!」


「あ……ああ。 いやでもあんた……その腕……?」


「そんなことはいいから下がってて!」


「ふざけないでよ! あたしも戦う、三人はあたしが止めるんだ!」


ジャズも銃剣(じゅうけん)タイプのインストガンを構(かま)えてミックスに並(なら)ぶ。


ミックスは、そんな彼女を見て笑みを浮かべていた。


「本当に頑固(がんこ)だなぁ……」


「なにか言ったッ!?」


「いえ、何も言ってないです……」


そして、二人は臨戦(りんせん)態勢(たいせい)へと入り、ブロードたち三人を睨(にら)みつける。


「くッ!? アリアッ! あなた、あいつとやりあっていてわからなかったのッ!?」


「彼の動きは間違(まちが)いなく素人(しろうと)でした。……ですが、まさか手の内を隠(かく)していたとは」


ヘルキャットとアリアは、インストガンの照準(しょうじゅん)をミックスに合わせてはいたが、彼が適合者だったことに驚(おどろ)き、冷静(れいせい)さを失っていた。


だが、そんな二人へブロードが言う。


「狼狽(うろた)えるな二人とも! たとえ相手が適合者だろうが。我々(われわれ)のやることは変わらぬッ!」


その一言で、ヘルキャットとアリアは落ち着きを取り戻した。


そうだ。


相手が誰だろうが自分たちのやることは変わらない。


こちらは最初(さいしょ)から死ぬつもりでこの国へ来たのだ。


邪魔(じゃま)をするなら親友(しんゆう)だろうが適合者だろうが、打ち倒(たお)すだけだ。


二人はそう思うと電磁波(でんじは)を発射(はっっしゃ)。


轟音(ごうおん)と鳴(な)り響(ひび)き、閃光(せんこう)が迸(ほとばし)る。


ジャズはそれをインストガンを撃(う)って相殺(そうさつ)。


ミックスのほうは機械化した腕で、先ほどと同じように弾き飛ばす。


「即席(そくせき)で組んだにしては息(いき)が合っているな。どうやらお前らは相性(あいしょう)がいいらしい」


「ちょっとッ! そんな誤解(ごかい)されるような言い方しないでよッ! あたしはこいつのことなんかなんとも思ってないんだからねッ!」


ブロードがそういうとジャズが激しく否定(ひてい)した。


そんな彼女を見たミックスは、大きくため息ををついて呆(あき)れている。


すると、ブロードがヘルキャットとアリア二人を下がらせ、一人前に出てきた。


「それにしてもまさか適合者が出てくるとはな。ハザードクラスの対策(たいさく)として、こちらも準備(じゅんび)していておいてよかったというところか」


ブロードはそう呟(つぶや)くと、左腕で自分の右手首を握(にぎ)った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。