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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第4章 策動するシャムシ達と近付く戦乱
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第11話

 前書きが抜け、しかも文章途中で投稿されていました。ごめんなさい。

 さて何度も書きますが、この文章はいかなる宗教的また政治的な思想、信条を決して、絶対に否定、または肯定するものではございません。世の中には色々な意見考えがあって当然ですし、それこそが社会の多様性というものです。それを否定するつもりはまったくございません。あしからず。

 この事件は犯人が誰であるかには、諸説あるのだが、拳銃で狙うには遠すぎる21.5mという長距離から、徒歩ではあるが移動中の長官を4発中3発命中させた射撃の腕は、まさしく上手な射手であるのだが、これには不可解すぎる点が多すぎるのだ。

 もしこれほどの腕を持った狙撃が可能な人物であるのならば、なぜ拳銃なのか? なぜリボルバーであるコルトパイソンの8インチモデルを使用したのか? という難問が横たわっている。

 当然リボルバーは、まあ10連装とか言うのもあることはあるが、6連装で装弾数が少なく、護衛なしでも一般的には確実に命中する距離まで近付き、そして発射するのが確実である。

 だが相手は警察庁の長官という護衛が確実についていると想定される目標であり、これを標的にするのであるなら、近付かず同じ距離から狩猟用のライフルでも撃っていればいい話である。ましてや何処かの書籍に書いてあるよう(御免なさい、私は読んでません。そう書いてあったと聞いたことがあるだけです)にサブマシンガンを所持していたのなら、護衛もろとも弾をそれでばら撒けばいいだけであり、腑に落ちない。そしてもう一つ不可解なのは、成果の確認である。これほどの腕を持った暗殺者ならば、成果の確認ぐらいしたらいいのではないかと思うのだが、それもした様子がない。まさしく不可解な事件である。

 まあ犯人の気持ちになればホローポイントで何初も命中したのだから、死ねよと言うところかもしれないが、少なくとも即死ではなく、さらに、まあ他の国ならば3発も357マグナムを被弾した時点で医師は救命を心のどこかで諦めているかもしれないが、運よく、かつ適切な処置と長官の生命力のおかげで2ヵ月後には退院している。

 

 このホローポイント弾は体内で停止するように加工されているということは貫通力が低いと言うことにも繋がり、防弾ベストによって簡単に阻止できる。


 そしてようやく 銃創が着弾の衝撃で吹っ飛んでばらばら、スプラッター映画なみの高速銃創の説明に入ることが出来る。着弾した速度が非常に速い場合、つまり一般的なライフル弾の場合、またその弾丸が12.7とか意味不明に大きくない場合、着弾した弾はその速度が発生させる衝撃波によって、空洞状態が人体内で発生し、周囲の神経や組織がはじけ、骨を砕きながら銃創をつくる。


 もし見る機会があれば、ああ確かにスプラッター映画さながらだな、と思うはずである。


 もちろん頭部、胸部に命中するとほぼ即死だが、基本的に現代の銃撃戦において頭部を狙うことは狙撃以外は無い。頭部は良く動くし、距離によっては飛び越すことが要因である。


 では何処を狙うか? 


 胸部?腹部?


 いやいや最近の兵士は高性能な防弾ベストを着ているので命中しても死なない可能性がある。残っているのは手足と骨盤付近である。さいきんは止血処置の徹底によって手足も狙わなくなって来ている様だが、手足に、特に足を狙うと即座に止血しない場合、すぐに出血多量で死ぬ。だいたい人間の血液は4~5Lほど在るがだいたい3分の1失えば死亡するだろう。さらに加えて1L以上失うと意識を失う。


 もし足に着弾して大腿部銃創を負ったとすると、大腿動脈を確実に損傷していると予想されるし、加えてほぼ確実に骨折もしているだろうから即座に止血しないと失血死することはほぼ確実だ。


 おそらくこの場合は撃たれた側はすぐに出血によって意識を失うだろうし、救護をする方はまさしく打たれた人間の運命を直接握ることになる。


 あなたがもし打たれた人間の横にいたら何をするべきだろうか?


 まずは止血、と行きたいのだが、その前に安全なところに打たれた人間含めて退避である。


 これをしないことには始まらない、てかさすがに弾の飛び交うところで悠長に止血している場合ではないだろう。


 次にようやく止血帯や止血剤の入った包帯を使用して、迅速に、止血しなくてはならない。1秒をまさしく争うように、しかし確実に止血しなければ助かるものも助からない。と、同時に感染症にも十分注意する必要がある。傷口から入った細菌によっては組織が壊死してしまうことがあるからである。これに注意しないと銃創では死亡しなかったのにね、と言われることにもなりかねない。もちろん抗菌剤と鎮痛剤と止血剤を受傷後に飲むことにはなっている。次に輸液のラインを確保して輸液に繋がり、さらには救護ヘリなり救護車で後送されることになる。

 

 最近は腰あたりを狙うことがトレンドなのだそうだ。ここなら止血困難だし、命中すれば歩行能力を喪失させられる。さらには頭部のところで言った飛び越してしまった時でも上半身に命中が期待できる。


 さらに付け加えるなら防弾ベストにも勘違いが存在するとコウジは思っている。防弾ベストとは確かにライフルの弾を防ぐことが出来る。


 なら何が問題か? 

 

 厄介なのが防弾ベストによって弾の貫通を防いだとしても、防弾ベストは最大4.5cmほど凹むのだ。さらに凹んだ時の衝撃によって運が悪ければ防弾ベスト外傷と言われる肋骨の同時骨折とそれに伴う内臓の損傷で死にいたる場合がある。だからこれもやはり撃たれれば手当てが必要である。


 ついでにこぼれ話になるがイラクで狙撃手が米軍の衛生兵を狙ってドラグノフで撃ったのだそうだが、見事防弾ベストに命中、その衛生兵は衝撃で倒れるのだが、それを見た近くの米兵に打ち返されて狙撃手が負傷、でその狙撃手は自分が打った米軍の衛生兵に助けられたのだとか。

 

 で、結局何故それほどの威力をライフルが出せるのかと言う話になるのだが重さはまあそれ程でもないのだが、特に初速が大きいからである。

 例えば今西側と言われる各国が使用している5.56NATO弾では初速はだいたい910~960と非常に速い。しかし重さは4.0~4.2gと軽量である。(種類にもよるし単位がヤード・ポンド法のgrで書いてあるから変換しにくい正確に書くなら4.017533g~4.211929gとなる)

 一方の東側諸国で使われているのが5.45×39mm弾だ。これも重さはそれ程ではないものの、速さは十分に速い。(専用の消音弾である亜音速弾なら速度は遅いが)ついでに中国の5.8×42㎜弾も傾向は同じである。

 一般的にこの中間弾薬とカテゴライズされる弾薬の特徴として、重さはだいたい4.0~4.2gで速度が900程になる。

 ではマークスマンライフルで使用するこれらと同じ口径の弾薬はどうなのか? と言われると専用の弾薬を使っていることもあるので、ここでは簡単に説明するにとどめる。一般的にはマークスマンライフルは同じ5.56でも専用の普通弾より重い弾頭、といっても5g程度だが、を使用している。


 中間弾薬の説明が終わったところで、これより重いフルサイズ弾薬も簡単に説明したい。これは以前からある7.62NATO弾の様に、重く9.7g程、速度は830ぐらいである弾薬だ。この弾種の利点は射程、威力ともに強力であること、なのだがその分欠点もある。その欠点は兵士の戦闘能力に直結しやすい。強力な弾薬なのに兵士の戦闘能力の欠点になるのか? と思われるだろうが、この弾薬の束を持って移動や機動するのが重いのだ。しかもそのせいで一人の兵士が運搬できる弾薬量に制限が出来てしまうほどである。またその強力さゆえに反動を上手にコントロールしにくい。もし強力な反動をコントロールしようとすると今度は銃側が大きくなり、やはり重くなる。

 結局これらの欠点を克服できないからフルサイズ弾薬は中間弾薬に取って代われたのだが、射程が必要な時、また威力が必要な時には未だに現役である。さすがに昔現役だったときのまま、その銃が使われることは少ないが、使っている軍がないかといわれると、ある。

 実際問題何処の国の軍も予算があるのでそのまま使えや、と言われてしまうのである。そうすると兵士は困るので自費で色々と改良することだってある。もちろん官給品だから形が大きく変わるまで改造することは普通無いが。


 「そこまで考えるとなると、銃は何種類か必要になりそうですね」

 サエルがコウジからこの話を聞いて悩む。彼らは図鑑として銃の種類や形を理解してはいるが、その銃が引き起こす影響を調べてはいなかった。調べれるほうが凄いともいえるが、主に彼らの興味の方向性に沿って学校の図書館で調べたようだ。


 「考えるならな。最初から全てを完全にしようとは思わないことだ、時間も労力も限られているからな、その中で最善を尽くせばいいさ」

 コウジは職人の物事を突き詰めるタイプが嫌いではない、しかし世の中は職人だけで動いているものではないと知っている。確かに職人だけで動いているのなら最後まで突き詰める事は問題がない物だろう。しかし現実はそうではない、世の中はありとあらゆる事の関係性の中で動いている。完全や完璧より時間が優先される場合もあるのだ。もちろん完全なほうが好ましいのは事実だけれども。

 

 「そうですね。時間のある時に考えますよ」

 彼らは時間に非常に追われている。卒業のための課題、武器の生産、加工機械の生産、それを使っての部品生産、場合によってはそのままそれら武器や生産機械の使い方の指導、状況によっては新しい装備の開発、非常に運が悪ければ車の開発と生産、コウジが考えることができるだけでこれ程ある。もちろん一人でやっているわけではないから余裕は無いわけではないのだろう。もちろん40人ほどの生徒が係わっているのだし、少し手伝っているだけならもっと人数は増える。

 

 「しかし装備だけでも膨大な量だな。よくよく考えると」

 そうなのだ。5000人弱の1個旅団規模を運用するだけでこれ程の装備を必要になるのか、と考えるほどの量なのだ。


 ところでこの話とも関係のあることなのだが現代の兵士が一人で持つ個人装備の重さはどれくらいになるかご存知だろうか?

 何処の軍かにも拠るのだが、だいたい移動時は食料水が満載しているかにも左右されるが50kgはあるかと思う。もちろん携帯型対戦車ミサイルを運用している兵士はそれ以上の場合もある。ただしこの重さを背たらって戦闘に参加するわけではない。戦闘時は不要な装備を置いて軽量になって動き回るのだが、それでもまだ重いのだ。なぜか? 答えは簡単、防弾ベストが重いから。これだけで10~15kgもある。ここに主要装備である小銃、3~4㎏、場合によってはと言うか、最近は基本装備になりつつあるが、この小銃にダットサイト、もしくはドットサイト、レーザーサイト、追加のグリップ、分隊の擲弾兵はグレネードランチャーまで、何処まで重くしたら気が済むのか、ぜひ聞きたいほどである。さらに弾薬だいたい210発ほど。擲弾兵ならこれに40mmグレネードが21発追加される、もちろん全部の弾薬を持って行動するとは限らないが、だいたいもって行動している。さらにさらに小銃ならまだいい、俺はこれに加えて、もしくはこれに変えて軽機関銃、中機関銃、対戦車ロケット、対戦車ミサイルだぞ、と言う分隊員はさらに重くなることがある。 

 例えば、もしアメリカ軍で対戦車特技兵としてジャベリン対戦車ミサイルを担当するとすると、この通常の小銃の重量に加えて、ジャベリン重さミサイル込み22.3kgが追加される、もちろん予備の弾込みも運ばなければいけないかもしれない。そりゃあ、これほどの重量を運んでいたら腰や膝を痛めることにも繋がるのは当然である。


 いやはや何故最近各国の軍隊がパワーアシストスーツを、英語で言うところの強化外骨格エクソスケルトンを開発装備したいか理解していただけるかと思う。これについてもコウジははっきり言いたいことがある。軍用に利用されたくないから、研究しない? 補助金を貰わない? 軍国主義化への暴走? 研究費不足を解消しても、それは研究者としての人生を狂わせる? まさしく寝言は寝て言え、である。過去から何を学んだのか? 技術が劣る国家が如何になるか。別に倫理的な面を完全に無視しろと言っているわけでは当然ない。しかしそれを、それに反対する文章を軍事技術の応用である物で書き、それを使用して流布しているのではないのか? ご都合主義的に過ぎるのだ。

 ぜひ見聞を広めるために積極的に海外に出て世界を見て回るといい。

 この世界は力こそ全てだと考えている人間、それも国際政治学を専攻している連中が如何に多いか。(もちろんこの圧倒的多数派の中でも、これ異を唱える学派はある。これこそがアメリカの多様性のおかげであると勝手に思っているのだが、現政権下で本当にその多様性を維持できるのかと少し心配に思ってしまう)彼らは如何に反論しようとも自説を揺るぐことがない。

 まあ、自分に関係がない限り、彼ら日本の、声だけは異様にでかく、主張に一貫性、合理性のほとんど無い、病的な左派、もちろん右派も、とは絶対に係わりあいたくない、と思うコウジである。海外では左派とは、日本語にすると怪しくなるが革新派のことになる。これも国の成り立ちに左右されるから、つまり例えば東欧では社会民主派が右派に分類されていることもあるので、左派だ、右派だ、といいたくは無いのだが、日本はすぐに左派右派の議論に逃げたがる。本当にレッテル張りの好きな人間だとレッテル張りしてみたりする人もいる。

 コウジ自身は別の角度からある主張を実行に移すためにこれらの活動に参加している教授を知っている。その主張がその教授の専門分野であったことから理解は出来るのだが、実現の可能性はないとコウジは思っている。たぶんその教授にはその当時、出会いが無かったのだろう。彼は「人間は総じて自分勝手なものだよ、自分の唱える主張を達成できる見込みがあるのならば君が言う変な連中とも付き合わなければならないんだ」と笑いながら言っていたことをコウジは覚えている。まあ主張している意味はコウジにも十二分に理解できるのだ、彼のもし次に人類が戦争をすれば衛星攻撃兵器の使用などによっては、戦争しない現状でも俗に言うケスラーシンドロームが引き起こされる可能性は低くないのに、急速に宇宙へ行く手段が閉ざされてしまうかもしれないという主張は、彼の先見性を引き立てると同時に、その当時そのことを理解する土壌が日本の社会にまったく無かったことを意味していると思っている。この危機感を真剣に取り合い、危惧を癒してくれたのは左派しかなかったのだろう。人は誰かと、何かと繋がっていないと脆い物なのだ。ただコウジはこうも思っている、逆Cの主人公ではないが、人類はそんな難問だって乗り越えられる、と。(正確にはそんなことは言ってません)

 

 脱線し始めたので話を物資の件に戻すが、基本的に人一人が戦闘するに、一日どれほどの食料と水が必要なのか?

 

 これを詳細に公開している軍は少ない、てか無い、これが判ると軍事行動の成否に直結することになる、のだが、推察は出来る。 

 

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