第7話「レイアウト」
さ~て、皆様ご覧あれー。
こちらダンジョン一の名物、ミミック部屋でございま~す。
「──というのは冗談で、」
あれから色々試してみた。
綺麗になった部屋はまだいい匂いが残っていたけど、だいぶ元の新鮮(?)な空気に近づきつつある。
しかし、そのまま元に戻しただけでは殺風景だし、なにより明らかに怪しい。
だって、なにもない部屋にポツンと宝箱があるんだよ?
──普通、怪しむって!
そんなのに引っかかるのは名も知れぬソロの冒険者と、ミユちゃんくらいなものだ。
「なので、ちょっと配置を変えてみましたー」
さん、はい!
ジャジャーン!
「なんということでしょうー♪」
ステータス画面の『配置』と『設計』をフルに活用して、作りあげたのがこの部屋でございます!
まずは、部屋の端から少し離れた位置にあるのが、この「私」ことミミックです。
こちらがこの部屋のメインではありますが、あえて中央から離して部屋の隅。しかも、完全な隅ではなく、さりげなく──それでいて自然な感じで角度をつけて鎮座しています。
まるであたかも、誰かが慌ててここに宝箱を隠したかを装っておりますねー。
どうです?
この角度、そして、この傾き!
まさか、これならミミックが潜んでいるなど思いもよらないでしょう!
しかし、それだけならばまだまだ怪しい宝箱になります。
なのでこちら──……!
「じゃじゃーん! 拾った装備品~♪」
はい、数々の武具ですねー。
名も知れぬ冒険者の装備や短剣を始め、ミユ兄妹の10フィート棒をはじめ、手斧などの武具やアイテムも最大限に活用させていただきました。
とはいえ、不自然に散らばっていると、まるでここで戦闘があったかのようにみえますし、なにより空箱の周りにおいてしまえば怪しさ満点ですよね?
……中には遺品の回収にくる冒険者もいるかもしれません。
なので、ここは秩序!
そう秩序が必要なのです!……具体的には、綺麗に整頓してみましたー。
こうして……こう!
なんと壁際に立てかけるように置き、いつでも使えるように、そして取りやすいように置いておきまーす。
すると、なんということでしょう~♪
どうです奥さん? まるで、武器庫や倉庫のように見えませんか?
もちろん、ダンジョンにそんなものがあるかは知りませんよ。
ですが、この整然と並べられた様子を見て誰が魔物の存在を疑うでしょうか──いや、疑わない!!
もう、誰がどう見てもただの倉庫です!
きっと、冒険者の皆様もこの部屋をみて、ホッと一息。そして、壁際に並べられた装備を見て、思わず手に取ることでしょう。
「そして、極めつけはこれっ!」
ババンッ!
なんと設計の中には、ポイントを使用して家具の作成や、地形の変化──様々なオブジェクトを作る画面まで設けられていたのです!
例えば、
燭台:ポイント5
他にも、
松明台:ポイント8
あとは、
タペストリー:ポイント10
ボロボロのタペストリー:ポイント7
粗末なテーブル:ポイント15──などなど!
変わったところでは、
地形変換『水』『草地』『土』がそれぞれポイント15と、まー色々あります!
ちなみに、シャンデリア:ポイント1000とかもありまーす♪
……って誰が払うねん!
なんやねん1000ポイントって、ブルジョワか!
「とはいえ、不自然にならない程度に明かりもほしかったので、松明台を二個購入して、松明もポイント5を使用して一本買い足し。それを入口に掲げると、なんかそれっぽくなりましたー!」
あと、ミユ兄妹のもっていたランタンはそのままいただき、部屋の中央に上からつるしています。
どうです。
これで明るいし、不自然さもないでしょー。…………ないよね?
「……まぁ、冒険者からドロップしたものならポイント使用しなくていいんだけど、そう都合よく持ってるとは限らないしね」
無い分は自前でなんとかしろと、そういう仕様らしい。
なので、他にも武具を飾る武器ラックをポイント30使用して購入し、壁につけて、兄貴の斧とミユちゃんが持っていた二本のナイフのうち一本を飾っておいた。
もちろん、最初の錆びた短剣もね。
「どーよ! これでどうみても魔物が作った部屋には見えまい!」
あっはっは!
ちなみに、合計56ポイント使用しました。
「……だけど、これじゃまだ寂しいな。ポイントをもっと貯めないとだめだね」
欲を言うなら、地形も変えたりしたいし、なんならもっと部屋をそれっぽく飾りたい。
あとはトラップを仕掛けないと物理的に詰む!
しかし、そのトラップがまた高いのだ……。
クロスボウやら、毒ガス装置、落とし穴。
そのほかにもベアトラップや盥落としなど様々な種類があるんだけどの、軒並み高価ときている。
一番安いベアトラップでさえ2000ポイントという鬼畜使用なのです。
……そしてポイントの貯め方は、おそらく冒険者を仕留めること──ミユちゃん、君の命は無駄にはなってないよ。
「しっかし、まー……誰が考えたか知らないけど、うまいシステムを考えたものだね」
冒険者を釣るために、部屋に宝を配置し、うまくおびき寄せて食べる。
そして、ポイントを稼いで、さらに部屋を豪華にし、冒険者をおびき寄せる。……なんなら、冒険者からドロップしたもので、さらに部屋が豪華になるし、持ち物にお宝があればドンドン溜まっていく。
それがさらに冒険者を呼ぶのだ。
最初は貧相でも、ドロップ品に大したものがなくても、徐々に増えていけばそれを狙ったベテランの冒険者がきて、さらにポイントが増える。
……もっともそれは首尾よく、冒険者を仕留められたらの話だけどね。
現状、こっちは待ち伏せのカードしかきれないから、いかに不審がらせずに箱を開けさせるかによる。
……まー、いうだけなら簡単だが、これは結構難しそうだ。
ミユちゃんのようなローグもいるだろうし、
冒険者だってパーティを組むことが多いはず。
それらをいかに対処するのかが、このミミックという生物に問われるのだろう。
「よーし、まずはこれで挑戦だ!」
あ、ところで問題がひとつ。
この作業を終えるまでに3日くらいかかったんだけどさ……。
──なーんか、隣にミユちゃんがいるんだよねー。
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