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第6話「お掃除」

 ぼーりぼーりぼり♪


「う~ん、デリ~シャス♡」


 一度吐き散らしたミユちゃんの身体を再度咀嚼。

 地面に落ちてしまったのは残念だけど、「私」は床を舐めることのできる出来た人(・・・・)なので、そういうのは全然気にしませーん。


 だけど、ちょっと細切れにし過ぎたこともあって、なんか歯ごたえが凄い。……コリコリしてる。

 まぁ肉と骨に分けちゃったってことでよし。


 つーか、生の骨も美味いわ。


 骨髄?

 出汁?


 美少女エキス?


 ……知らんけど、美味い。


「そして、ゲーップ」


 わかったんだけど、どうやら一度にそんなに腹に入らないみたい。

 なんかお腹の中にストレージ空間みたいなのがあるんだけど、それと胃袋は別みたいだ。


 どうやら、空腹感を感じるくせに胃袋は意外と小さいというよくわからん仕様の身体らしいね。


「……まぁ、残りは今度食ーべよ」


 急いで食べる必要はないしね。

 兄貴のほうも、保存食にして──っと。


 え?

 兄貴も仕留めたのかって?


 そりゃー、仕留めましたよ。

 気絶してたところを、こう──キュッ! と締めましたよ。舌で。


 いや、この舌便利だわー。

 そして、部屋の中のあり様がすごいわー。


 今、ランタン(・・・・)の灯に照らされているのは、燦々たる有様の室内だ。

 血と臓物のいい匂いが(ただよ)い、

 ゴロゴロと細切れの死体が転がっている。


 これは掃除が大変そう。


 なるべく急いでやらないと、さっきみたいな事態になるからねー。


「それにしても、ミミックって詰んでね?」


 今回は、たまたま勝てたからいいようなものの。

 相手がそれなりに腕の立つ冒険者とかで、複数だった場合──……一人を仕留めた時点で詰むわ。


 ミユちゃんの兄貴のほうが未熟だったからといって、正直あれを今後の参考にしてはいけない。

 そも、死んじゃったのが妹だったしねー。

 あれは誰でも動揺するだろう。

 もっとドライな関係だったら、あんなに動揺することもなく、すぐに反撃されたに違いない。


 なにより、ローグが優秀だったら、それ以前に詰む可能性もある。


「むー。なんとか対策を考えねば」


 冒険者だったらパーティを組むとかだろうな。

 ソロはそれだけ危険なのだ。


 だけど、悲しいかな──「私」はミミック。箱型モンスターでここから動けないのだ。

 そんな奴、誰が仲間にする?


 つーか、面接で何て言うのよ。



  ──えー自分、ミミックです。

    特技は待ち伏せ。基本、一歩も動きません。

    できればここから出勤──いえ、

    皆さんが、ここに出勤してくださると幸いです!


    あ、好物は美少女です!



「……はい、即落ちー」


 つーか、パーティ組もうにも人がいねーよ。

 ゴブリンと組めってか? 嫌だよ、孕まされるわ!!


「ってことで、現状できるのは、なんとか罠とか作って、なんとか数を減らし──あとは遠距離武器とかでなんとかする?」


 ……なんとかが多いけど、

 まぁこんな感じだろう。


 ミユちゃんも罠にはかなり警戒していたしね。

 その割に、足音から察するに通路の方ではそこまで警戒している感じではなかった──。


 多分だけど、ここはローグライク系のダンジョンなのかもしれない。……知らんけど。


 それなら、安っぽい装備の冒険者がくるようなダンジョンで「私」のような宝箱があってもおかしくはなさそうだ。

 当然、部屋には罠が生成されるのだろう。


「ふむ……。ならもしかして──」


 確かこういう時は、

 むんっ!!


「ステータスオープン!」


 ぶわっ!


 ……おぉ、マジで出た!

 もしかしてと思い、心で念じれば(声に出したとか、無粋なことは言うな!)、なんと目の前に半透明のガラス板のようなものが出現。


 どうやら、マジでステータス画面のようだ。


(……つーか、「私」はなんでこれを当然のように使えるのだろう)



 ──ま、いいか。


 それより、画面画面っと、




 ※ ※ ※


 ポイント 150


 〇耐久

 〇スキル

 〇設計

 〇ストレージ


 ※ ※ ※



「おー……?」


 なーんか想像していたステータス画面じゃないけど、これはこれで面白い、かな。


 ……多分、これが今「私」にできる能力の一覧なのだろう。


 見たこともない項目だし、ポイントってのがよくわからんけど、ストレージっていうのはわかるぞ。

 おそらくアイテムBOXのようなものだと思い、腹の中を探ってみれば、出るわ出るわ。いっぱい出るわ。


「お。ミユちゃん(バラバラ)とその装備──あと、前の冒険者の装備も入ってるな。結構なかに色々入れられそうだし、兄貴もいれとこう」


  ゴクン!


 結局、最後まで名前がわからなかったけど、兄貴を収納。

 ……お腹が減ったら食べようと思う。実はすでに小腹が空ているけどね。まぁ、まだミユちゃんがいるし。


「さて、ストレージはこれでいいとして──むー。……この耐久ってのはHPみたいなものかな」


 どうやら先の戦闘で多少傷ついたらしく、

 主にミユちゃんにバシバシ叩かれたことが原因だろうけど、耐久値が減っている。

 しかし、ほっておくと自動的に回復していくところみるに、時間経過でフルになる仕様らしい。


 代わりに、ステータス異常の欄と空腹値のメーターがある。

 こっちはマジで腹が減るせいかみるみる減っていくけど、どうやら一定値で止まるように設計されているのが分かった。


 多分、これが常に空腹を感じる原因だろう。


 試しにミユちゃんを齧ると少し回復するが、また見る見るうちに減っていく。その代わりに耐久値の上昇が加速度的にアップしたところをみると、空腹値を回復させるのはボーナスのようなものと理解したほうがよさそうだ。


 いわゆる満腹ボーナスってやつかな。


「しかし、食べても食べてもこれじゃキリがないなー」


 ……ミユちゃんゴメン。

 せめて、美味しく食べるから許してクレメンス。


「で、スキルと設計か──お、スキルは色々あるな」


 『凝視』 熟練度1

 『舌撃』 熟練度1

 『食いつき』 熟練度5

 『嘔吐』 熟練度1


 を。

 すげーな。


 『凝視』は鑑定みたいな能力のことだろうし、『舌撃』はまさに舌を使った攻撃のことだ。

 そして、『食いつきは』……──これだけ、熟練度高いな! 一撃必殺の、あのバクンッ! って奴か。

 たぶん魔物特性で、ほぼ即死攻撃なんだろうな。


 最後に『嘔吐』──……あー。これ、遠距離攻撃じゃないのか。

 腹の中のものをぶちまけて攻撃しているだけだわ。

 ゴメン、ミユちゃん、マジで普通に吐いてただけでした。全部食べるから許して──以下略。


「しかしこれだけかー。もっとこう熱視線! とかギガフレイム! とかそう言うのないの?」


 あと某即死魔法(・・・・・)とかさー。

 魔法がないとマジで詰むぞ。


 まぁ、この辺はおいおい考えていくとして、そもスキルが増えるかどうかもわからないしね。熟練度は増えそうだけど。


「──で、問題はこれか」



  〇設計(・・)



 ……ふむ?


「開いてみたけど、なんだこれ?」


 なんか頭の中に俯瞰図(ふかんず)みたいなのが出てきた。

 多分この部屋なんだろうけど、それを斜め上くらいの視点から見下ろしてる感じ。


 しかも、部屋が5×5のタイルにグリッド分けされてて、壁もグリッド表示。

 そして、多分「私」であろう、宝箱の表示が強調表示されてる──……むー?


「どーすんだ、これ。あ、動いた!」


 なんと!

 頭の中の俯瞰図をなんとなく操作してみると、自分の位置がピコピコ動くではないか。


 もちろん、室内に限定されているが、5×5のマスの中を縦横無尽に動かせる。

 そして、ここ! と決めると、

 なんとほぼ瞬間移動で、そこにドスンッ! と鎮座できる。視点も変わった。


 ──ほほーう!


 これって、洋ゲーとかにある『建築モード』ってやつか!

 ゾンビゲーとかサバイバルゲーによくあるやつだ。……例によってそれが何かは知らんけどな!


「で、他には『清掃』と『回収』『建築』、あと『配置』か。……配置は、さっきと同じく自分を動かすほか、地面のオブジェクトも動かせるみたいだな」


 ミユちゃんの死体をちょこちょこ動かせるし、彼女の遺品である10フィート棒もぐりぐり動かせる。


 これは面白い。


 そして、なんとなくミミックという魔物のことが分かってきた。


「──つまり、この部屋全体が一種のミミックという生物なのかー……」


 だから、好きに自分の位置も動かせるし、

 ここの部屋のものになったオブジェクトも動かせるっと。


「ふむふむ。そんでこれが『清掃』ね。そんでポイントを1使用する、か。……えー、なになに『使用しますか』って?」


 ふむ?


 ポイントを消費し『室内を一気に清掃します』とな?

 ……あ、ヤバい! これやったらアイテム(ミユちゃん)が消える奴だ!


「あ、あっぶねー」


 あやうくミユちゃん(ご飯)ごと消し去るところだった。

 ……つーか、もっと早くこのシステムに気づいていたら、さっきみたいに兄妹に苦戦することなかったんだな。


 とりあえず『回収』にしとこう。



  『室内の物を全てストレージに移動させますか?』



 お。そして、やっぱり『回収』は部屋の中の物を全回収するシステムか。


「イエスっと……うーわ、ランタンごとかよ」


 おかげで一気に暗くなったわー。

 かわりになんかお腹の中がゴロゴロするので、ストレージを見ると、ミユちゃん(バラバラ)とかがすべて回収されていた。……これ便利だなー。


「だけど、汚れまでは取れないのねー」


 再びランタンを取り出し明るくすると、室内は血汚れでベッタベタだった。

 他にも小さすぎる肉片なんかはそのままだ。

 むしろ、そのせいでよりホラーな感じになっている。これでは、誰も警戒して入ってくれないので、ポイントを使用して清掃した。


 ……すっげーらくちん。


「もう、床は舐めなくていいんだな──」


 ちょっと遠い目をして、在りし日の屈辱を思い出すのであった。

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