第14話「部屋改良」
『──てな感じで、冒険者ギルドが大騒ぎしてるわよ』
「へー」
なるほど。
ミユちゃんの話を要約すると──。
……うーん、Cランクパーティは伊達じゃないってことかな。
『うっふっふー。どう、ビビった? ねぇビビったー』
いや全然。
むしろ餌がきたヤッホーて感じー。
『……でも、ジナさんたちがやられるってことは次はどうなるんだろ? 順当にいけば数でくるか、それともBランクか……』
「数はやめてほしーなー」
ミミックの必勝法だもん。
まぁ一人は確実に死ぬけど。
『お、ビビってるビビってるー。冒険者を食べるからそーいうことになんのよー。行方不明が出たら捜索隊が来るに決まってんじゃーん! あっはっはー』
「はいはい、怖い怖い」
それにしても、ジナちゃん達が捜索隊だったとはなー。
コイツに探す価値があるとは思えないけど、
どうやらコイツの話でいうところ、このダンジョンは低レベルご用達のところらしく、滅多に人死にが出ないんだとか。
……だからこそ、Cランク。
だからこそのジナちゃんだったんだろうなー。
ここのギルドの懐刀っぽいし──。
「──しかし、ジナちゃんうめーなー」
残った頭と肩あたりを、
むしゃむしゃ。
『……人の名前だしながら食うのやめーや』
や、だって、こう……頂いた命への敬意的な?
知らんけど。
『それより、なにしてんのよ』
「んー。見てわからんの? 部屋の模様替えだよ模様替え」
せっかくジナちゃんたちがいっぱいドロップ品落としてくれたからね。
有効活用有効活用。ポイントも、ウッハウハだしねー。
いやージナちゃんは二度おいしいなー。
『……よだれよだれ』
「おっと、いかんいかん! いやはや、ついついジナちゃんは食べ過ぎるなー。ここは口直しにバイナル君を──うん、これもまた乙な味」
もぐもぐ。
ストレージにジナちゃんを仕舞い、半分ほど残ったバイナル君を賞味する。
彼もまた結構おいしい。……もしかして魔力とかそういうのが関係してるのかも。
ちなみに、味でいうなら、
ジナちゃん、バイナル君、越えられない壁でミユちゃんとお兄ぃ──あと、まぁ、ドリー君と名も知らぬ……あ、バリー君だっけ?
今気づいたら、ドリーとバリーって、名前近いな。
……もしかして知り合い?
『まーた、しょうもないこと考えてるでしょ』
「まーね。3番」
『3番?!……って、味のことかーい! ったく、ホントこいつはー』
「ボカぁ、ミミックだよ? 人を食ってなんぼですからー」
他の食いモノが食えるか知らんけど。
『──で、何してんだっけ? 模様替えって、そんなのする必要あるぅ?』
「あるある。……この前のジナちゃんとの戦闘で、色々考えを改めてねー」
……魔法使い、マジこえーわ。
遠距離攻撃を遠くからバシバシ使ってこられたら、勝ち目がない。前回の VS ジナちゃんバトルは、ほんと運が良かっただけ。
「──なので、ほら。こうして地形を動かしたりして……。射線が通らないようにしようかなーって」
具体的には、まず入口に陣取られるとまずいので、
入口を塞ぐような形で一マスだけあけて、そこの地形を盛り上げて天井とくっつける。
(※注:完全にふさぐわけにはいかないから一マスは確実にあけるのだー!)
すると、どうでしょう。
なんと部屋に入ってすぐ柱がある形になる。
……つまり、いきなり部屋のなかに入っても、まずは奥が見えない状態というわけだ。
男女に別れる駅の便所みたいな感じだね。
……駅の便所が何か知らんけど。
『なーるほどー。これなら否応なく部屋に入るしかないわね』
「でしょー?……でもって、他にもそれっぽい机とか配置したりしてー、柱に隠れて撃ってもこっちまで攻撃が届かないようにする──どれもさりげなくね」
『へー』
へーって君ぃ。
YOUが聞いてきたんやで?……あと、ナチュラルに自分を咀嚼したモンスターと会話するのどうなん?
いや、まぁ、「私」は別にいいんだけどさー。
「ま、これの欠点は警戒されちゃうことかなー」
『警戒?』
うん。警戒。
「だってほら。こうしていきなり柱があると、中が見通せないでしょ? だから、ふつーの冒険者なら結構慎重になるよ」
誰だって見通しの悪い場所は嫌だもんねー。
『あー。たしかに……』
「なので、これ!」
すかさず、
じゃ、じゃ〜ん♪
「ポイントたくさんで、いっぱい購入したランタンと松明ぅー」
──&その台ね。
『うっわー、あっかる〜い。……あ、なんか頭ぼーっとしてきた』
「そのまま成仏しちゃいなー」
現世に未練なんてないでしょ?
それとも、お兄ぃのことが気がかり?……あれから姿見えないもんねー。
『するか、バカ! あんたの凶行をこれ以上見逃すわけにはいかないのよ』
「いや、君なんもできんでしょ?」
現状、ただの話し相手やで?
まぁ、退屈しないからいいけどね。外の状況も聞けるし。
「で──話を戻すけど、こうしてこう……壁になるべく多くの照明を不自然にならないように設置する!」
するとどうでしょう~!
入口はいつも通り松明だけど、中はランタン。
おかげで明るい明るい。
『……いや。超不自然よ?……ダンジョンでこんな明るい部屋なんて異様でしかないわね』
「そうなの? 「私」はここしか知らないからなー」
だって動けないし。
『そうなの! まぁ、たまーに冒険者が捨てた松明をゴブリンが持ってたりするけどね。あと、宝物庫とかは魔法由来の不思議な明かりがついてるって噂ー』
へー。
「宝物庫なんてあるんだ」
『アタシは見たことないけどね。ここ、初心者ダンジョンよ? そもそも、宝物庫がどうのこうのってレベルじゃないし』
ほほう。面白いことを聞いたな。
やっぱ腐っても……いや、死んでも冒険者だなミユちゃんは。
鬱陶しいけど、いい情報源にはなる。
「まぁ、ここは宝物庫をイメージしたわけじゃないけどね。ただ、まぁ一応ドロップ品は飾ってるし、見ようによっては宝物庫に見えないこともないかなー」
『バーカ! こんな血なまぐさい宝物庫があるか! あと、人様の装備をドロップ品いうなし』
えー。
ドロップしたしー。
『っていうか、この雰囲気ってあれかしら?』
「あ、わかる?」
ジナちゃんが魔法使いグッズ落としてくれたし、
他のメンバーも結構薬品系を持ってたからね。
『うん。わかる。……これ錬金術師の工房、よね?』
お、
「せいかーい!」
ポーション瓶なんかを、ポイントで買ったテーブルに配置し、
魔法使いのローブを椅子に掛けて、いかにも魔法使いが使ってましたーの雰囲気を出してみた。
さらには、『素人錬金台』とかいうのをポイントで購入して、それっぽく見せる工夫もしたし、
ほかにもドロップした武器防具は、同じくポイントで購入した台座にセッティングしてみた。
いやー買った買った。
ポイントがたーくさん入ったからついつい気合入れすぎちゃったよー。
ジナちゃん最高。
二度おいしい!!
『よだれ』
「さーせん」
いや、でもちょっと買いすぎたかなー。
さすがに5×5の部屋に柱を入口すぐに設置したこともあって、室内をかなり圧迫している。
これは近いうちに拡張するか部屋を整理しないとなー。
……ちなみに部屋の拡張は1×1の空間で100ポイント使用!……たっかーい。いや、安いのか?
『でも、これは考えたわね……』
「でしょー」
他にも色々怪しい道具をギッシリ並べたしね。
あとは、ドリー君の頭蓋骨も綺麗に磨いて、なんかそれっぽく配置したおかげであら不思議!
あっという間に、怪しい錬金術師の工房になりましたー!
「ふっふっふー。これなら、奥に宝箱があってもそんなに違和感ないでしょ」
『たしかに、部屋の違和感がすごくて、宝箱どころじゃないわね──……なによ、ダンジョンに錬金工房って』
ふはは!
これぞ木を隠すなら森の中!
違和感を隠すなら違和感だらけの中、だー!
『つ-か、なんでアンタが錬金工房知ってんのよ! 魔物でしょ?! 動けないミミックのくせにー』
「しらなーい」
だって、知識としてあるんだもん。
そもそも、細かいことはいいのだ。だいたい抜けてる知識もごっそりあるしね──外のことな~~~~んも知らんし。
『参ったわねー……このままでは、このダンジョンはコイツの餌場になっちゃうわ』
「もう餌場だよー」
人間うまい。
魔法使い美味しい。
「あー。もっとたくさん獲物が来ないかなー」
『縁起でもないわー』
大丈夫大丈夫。
一日ひとりまでだよー。……捕まえて保存食にはするけど。
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