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第10話「捜索隊」

「んー? なんか聞こえなかったか?」

「いえ? 私はとくに──」

「僕も聞こえないぞ? 何の声だ? それとも音か?」


 最初に、ひょこっと顔をのぞかせたのは小柄の傷顔の男だった。

 その男に続いて顔を出す残りの二人。


 一人は剣を構えた優男風の青年。結構綺麗な鎧を着ている。

 そして、最後の一人はローブを来た学者風の女だった。


 フードのせいで顔まではよく見えないが、美人な雰囲気がする──……ジュルリ。おっといかんいかん。


「や。……なんか声が聞こえた気がしたんだが──そんなわけないか、感知には何も引っかかってないしな」

「そもそも今日は誰も来てないはずだよ。まぁ、行方不明の冒険者かもしれないけどね」


「ばっかねー。アンタたち、あれから何日もたってるのよ? 生きてるわけないじゃないの。それよりも、何この部屋? こんなの地図にあったかしら?」


 バサリとフードを落とした女は予想通り、かなりの美人。

 片眼鏡(モノクル)をした神経質そうな目をしているが、髪は灰色に輝き──非常にナイスバディだ。……ジュルリ。


「ばーか、安物の地図が奥まで詳細に書いてるわけねーだろ。そんなもん参考程度にしかならねーよ」

「たしかにね。……しかし、妙な部屋だね。明かりもそうだし、奇妙に整っているとは思わないかい」


 でしょう~。

 優男くんの言うとおり、三日かけた傑作でーす!


「奇妙っつーか、なんというか……こりゃ、倉庫か? なんでダンジョンに?」

「そうね。宝物庫っていうほどではないし……。ゴブリンの宝物かしら?」


 いえ、「私」です。


「ゴブリンがこんな整頓すっかよ──それよりも、これ(・・)ってもしかして……」


 飾ってある武器に興味を惹かれたのか、

 入口であーだこーだ言っていたパーティが、ぞろぞろと無造作に室内に入り込んでくる。


 ……どうやら、うまくいったらしい。


「──やっぱりだ。これ、行方不明のバリーの剣だぜ」

「なに?! わかるのか?!」


 おぉ?

 バリー??


「あぁ、この短剣は間違いねー。見な、アイツの手作りだから、バリーって書いてるだろ?」

「ほんとね。……なら、もしかしてこっちの斧は──」


 女が壁に立てかけた斧に手を掛ける。

 もちろんお兄ちゃんの斧だ。


 ……つーか、バリーってのはまさか最初の冒険者か。


 え?

 顔知らんけど、自分の持ち物に名前書いちゃう人なん?!


「ブフッ……!」


 や、やべ!

 声でちゃった?!


「…………誰が()いたの?」

 ジトッ。

「お、俺じゃねーよ!」「僕でもないよ!?」


 女の鋭い目に慌てる二人の冒険者。

 どういうチームか知らないけど、力関係が分かる感じだ。


 女はおそらくブレイン兼、副リーダーだろう。そしてジョブは魔法使いかな?

 そんで傷顔の小男のほうはローグで、遊撃を兼ねていると思われる。その証拠に腰に小さなボウガンを差しているし、10フィート棒を兼ねるであろう短槍を短く構えていた。


 そして、一番落ち着いている優男がリーダー格で、背中に盾を背負っているところに見るに、剣士とか騎士とかそういうジョブかな?


 ……しかし、3人かー。

 これは参ったぞ。


 思わず漏れた笑い声は誤魔化せたとしても、これからどうする? 下手に動くと返り討ちにあう可能性が高い。


(うーん。とにかく、チャンスがあるまで観察かなー)


 どのみち、近づかれない限り攻撃できないわけだし──……今はバレてないことに安堵しよう。


「……まぁいいわ。だけど、アンタたち、ダンジョンでふざけないでちょうだい」

 まだ屁の話してる──。

「いや、だからぁ!」

「そうだよ、こんなところで──……ん? この10フィート棒はまさか」


 あ、ミユちゃんの。


「えぇ、間違いないわね。……これらはアース兄妹のものだわ」


 アース兄妹?

 ……あぁ。アースって、お兄ちゃんのほうか。


「ってことは、その斧が──」

「そうなるわね。……だけど()せないわね。これは一体何? そしてここは何なの?」


 狩り場でーす。


「ふむ……。さながら墓標だね。死者の遺品を丁寧に飾っているところを見るに、自然となったとは思えないし、誰かがやったもので間違いないね。……いや、待てよ。これってもしかして──」


 ふと考えこむ優男。


「あら、勘がいいわね。そうよ、これは墓標でも、ましてや遺品を善意で飾った物なんかじゃないわ。……おそらく、ここは殺人鬼の隠れ家、いえ、さながら戦利品(トロフィー)。いえ、記念品(スーベニア)置き場かしら」


「殺人鬼?!」

「記念品ッ?!」


 んんー!

 惜しいッ!


 半分正解!

 だけど、半分外れ!!


 戦利品で間違いないし、殺人鬼と言えばそうなんだろう。

 だけど、それは別に変態趣味で飾ったわけではないし、なんなら人でも鬼でもなくミミックなのであーる。




「──そして、君達がそっちに背中を見せて固まってくれるのを待っていたんだよー!」




「「「へ?」」」


 チャンス到来!


 「私」の声に驚き、ボケ面を晒す3人を見て勝利を確信!

 全員が戦利品に目が釘付けになった瞬間を見計らって、攻撃開始だー!!


「な?! ど、どこから?」

「う、後ろ! バックアタックだ?!」


 そう。

 3人揃って背中を見せたが運の尽き。


 複数である以上、

 宝箱に注視された時点で詰むのは分かっていたから、攻撃の機会は、まさに今この瞬間のみッ!


「し、しまった──ここはまさか……」


 はい、そのまさか!!


「ここは狩り場(餌場)だよー!」



  ──ドシュッ!



 まずは一撃必殺!

 戦利品のミユちゃんのナイフを使った舌撃だっ!!

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