表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された無能魔術師、実は全属性適性だったので辺境で最強になります  作者: 蒼月アルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/119

第94話 境界の質

 集落を離れた翌日。


 揺れは、これまでと明らかに違っていた。


 音がない。


 地面も震えない。


 だが、

 空気が“薄い”。


「……感覚的なものだが」


 ミレナが眉をひそめる。


「境界、出てる」


 技師の結晶は、沈黙。

 反応はない。


 だが、

 空の色が、わずかに歪む。


「見えるか」


 アレンが問う。


「輪郭が、ぼやけてる」

 若い冒険者が答える。

「境界っていうより……」


「層が、ずれてる感じ」


 踏めない。

 干渉できない。


 それどころか、

 境界そのものが“固定していない”。


「質が、変わっている」


 技師が、低く言う。


「従来型とは構造が違う」

「干渉拒否ではなく」

「干渉対象外、かもしれない」


 対象外。


 その言葉が、重い。


 管理は、干渉を前提にしている。

 踏む行為も、接触を前提にしている。


 だが、

 接触の概念が成立しないとしたら?


 境界が、ゆっくりと移動する。


 地面ではない。

 空間を、滑るように。


 住民も冒険者も、

 自然と距離を取る。


 恐怖はある。

 だが、昨日のような混乱はない。


「……広がらない」


 ミレナが観測する。


「触れなければ、害は少ない」


 アレンは、境界を見つめ続ける。


「変わっているな」


「ああ」


「管理が届かないのではなく」

「管理が前提にしていた世界が、変わり始めている」


 若い技師が、息を呑む。


「それって……」


「分からない」


 アレンは、はっきり言う。


「だが」

「境界は、同じままではない」


 境界が、ゆっくりと薄れる。


 何も壊さず、

 何も奪わず。


 だが、

 確実に違う。


 ミレナが、小さく呟く。


「管理も」

「杭も」

「経験も」


「全部、追いつかないかもしれない」


 それは、敗北ではない。


 ただ、

 世界が一段、先へ進むだけだ。


 アレンは、静かに言う。


「追いつけなくてもいい」


「置いていかれなければいい」


 境界の質が変わる。


 それは、

 第四章だけの問題ではない。


 世界全体に波及する可能性。


 遠くの空が、わずかに歪む。


 次章へと続く兆しが、

 空白地帯に、静かに広がり始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ