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追放された無能魔術師、実は全属性適性だったので辺境で最強になります  作者: 蒼月アルト


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第48話 冒険者である理由

 夕方のギルドは、少しだけ静かだった。


 依頼の数は多い。

 だが、慌ただしさはない。


 冒険者たちが、

 それぞれの仕事に戻っている。


「……落ち着きましたね」


 リーファが、掲示板を眺めながら言う。


「ああ」

「一段落だ」


 境界は、消えていない。

 だが、無闇に触れられることもなくなった。


 “踏み越えない”という選択が、

 少しずつ、伝わり始めている。


 ロイドが、カウンター越しに声をかけてきた。


「なあ」

「一つ、聞いていいか」


「なんだ」


「……お前は」

「結局、何になりたいんだ?」


 その問いに、

 ギルド内の空気が、わずかに張る。


 誰もが、答えを知っている気がしている。

 だが、聞かずにはいられない。


 俺は、少し考えてから答えた。


「冒険者だ」


 即答だった。


「王都の管理者でもない」

「境界の番人でもない」


「見える者を導く教師でもない」


 リーファが、静かに頷く。


「……全部、できるのに」


「できるから、やらない」


 そう言うと、

 ロイドが苦笑した。


「厄介な男だな」


「自覚はある」


 だが――

 それが、俺の線だ。


 冒険者とは、

 世界の歪みを“全部正す存在”じゃない。


 困っている人がいて、

 自分が行くと決めて、

 責任を引き受ける。


 それだけだ。


 夜。


 丘の上で、

 風に当たっていると――


「ここで、区切るか」


 旅装の男が、静かに言った。


「……ああ」


「次は」

 男は続ける。

「もう少し、厄介になる」


「境界を」

「“踏まない”だけじゃ、足りなくなる」


 俺は、空を見上げる。


「それでも」

「選ぶだけだ」


 男は、満足そうに頷いた。


「それができるから」

「お前は、冒険者なんだ」


 風が吹く。


 男の姿は、夜に溶けた。


 翌朝。


 ギルドの掲示板に、

 一枚の新しい依頼が貼られていた。


件名:未分類案件

発行元:非公開

備考:境界に関する正式な相談


 ロイドが、俺を見る。


「……来たな」


「ああ」


 俺は、依頼書を見つめる。


 まだ、内容は分からない。

 だが――


 逃げる理由も、ない。


 追放された無能魔術師は、

 この日――


 再び、冒険者として

 “選ぶ場”に立った。


 境界は、続く。


 だが、

 どこまで踏み込み、

 どこで立ち止まるかは――

 これからも、自分で決める。


 それが、

 冒険者である理由だからだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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