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追放された無能魔術師、実は全属性適性だったので辺境で最強になります  作者: 蒼月アルト


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第17話 邂逅

 街へ戻る途中、俺は足を止めた。


「……出てこい」


 リーファが、はっとして周囲を見る。


「アレン?」

「誰か、いるんですか?」


「ああ」

「さっきから、隠す気もない」


 風が、逆流した。


 次の瞬間――

 俺たちの前に、人影が現れた。


 フードを被った細身の人物。

 背は高く、動きに無駄がない。


 だが。


(……魔族だ)


 肌の色、魔力の質。

 人族とは、明確に違う。


「安心しろ」

 低く、落ち着いた声。


「今日は、戦いに来たわけじゃない」


 リーファが、息を呑む。


「……魔族」


「そう警戒するな」

「こちらも、無駄な消耗は好まない」


 フードの奥から、こちらを“見る”視線。


 敵意は、ない。

 だが――油断はできない。


「用件は?」


 俺は、一歩も動かずに問う。


 魔族は、少しだけ口元を緩めた。


「率直だな」

「嫌いじゃない」


 彼は、胸に手を当てる。


「名乗ろう」

「私は――ゼル=クァル」


 聞いたことのない名だ。

 だが、魔力の密度が違う。


(……上位だ)


「お前が、使い魔を消したな」


「そうだ」


 否定する理由はない。


「……見事だった」


 ゼル=クァルは、素直にそう言った。


「正直に言う」

「想定以上だ」


 リーファが、思わず口を開く。


「……なぜ」

「魔物を、操るんですか」


 魔族は、しばし沈黙した。


 やがて、静かに答える。


「操っている、わけではない」

「“流れ”を、与えているだけだ」


「流れ?」


「世界が、歪み始めている」

「放置すれば、人族も魔族も関係なく死ぬ」


 俺は、目を細める。


「……だから、試した?」


「そうだ」


 即答だった。


「この異変に対抗できる存在がいるか」

「それを、探していた」


 ゼル=クァルの視線が、俺に突き刺さる。


「――そして、見つけた」


 空気が、張り詰める。


「俺を、仲間にでもするつもりか」


「誘いではない」

「確認だ」


 彼は、一歩だけ近づく。


 リーファが、身構える。


 だが、俺は止めた。


「続けろ」


 ゼル=クァルは、低く告げる。


「お前は、境界に立っている」

「人でもなく、魔族でもなく」

「――“鍵”だ」


 その言葉に、胸の奥が微かに疼いた。


(……境界)


「近いうちに」

「本当の異変が、表に出る」


「その時、お前は――」

「どちら側に立つ?」


 問い。


 だが、強制ではない。


 俺は、少し考えてから答えた。


「……俺は」

「俺の守りたいものの側に立つ」


 ゼル=クァルは、僅かに目を細め――

 そして、笑った。


「いい答えだ」


 風が、強く吹く。


「今日のところは、ここまでだ」

「次に会う時は――」


 彼の姿が、揺らぐ。


「もっと、面倒な状況だろう」


 次の瞬間、ゼル=クァルの姿は消えていた。


 静寂。


 リーファが、ゆっくりと息を吐く。


「……敵、なんですよね?」


「分からない」


 それが、正直な答えだった。


「少なくとも」

「単純な悪じゃない」


 空を見上げる。


 雲が、ゆっくりと流れていく。


(……世界が、広がったな)


 これはもう、辺境の小さな異変じゃない。


 追放された無能魔術師は、

 この日――


 世界の“裏側”と、正式に向き合った。


 そして同時に。


 物語は、

 次の段階へと踏み込んだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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