↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された無能魔術師、実は全属性適性だったので辺境で最強になります  作者: 蒼月アルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/121

第16話 圧倒

 森が、軋んだ。


 さっきまでとは、違う。空気そのものが、重い。魔力が、一点へ集束していく。しかも、雑じゃない。丁寧に、練り上げられている。


「リーファ、下がれ」


「……はい!」


 彼女が距離を取った瞬間、地面が砕けた。


 土煙を割って現れたのは、人型だった。


「……魔族?」


 いや、違う。姿は人に近い。だが、目が空虚だ。そこに、意志の色がない。


「……使い魔、か」


 それは、ゆっくりとこちらへ顔を向けた。次の瞬間――消えた。


「っ」


 直感が、背筋を叩く。背後。振り向くより先に、空間が歪んだ。衝撃。だが、俺は一歩も動いていない。


 魔力障壁。透明な壁に、使い魔の拳が阻まれる。


「……速いな」


 Bランク冒険者なら、反応すらできなかっただろう。使い魔が、すっと距離を取る。その動きは、洗練されていた。獣のそれではない。剣術の型に、近い。


「……魔物に教えるレベルじゃないな」


 つまり、誰かが直接、この身体を操っている。


 使い魔が、両手を広げた。足元に、魔法陣が浮かぶ。


 俺は、詠唱しない。ただ、魔力を一段階、押し上げた。


 その瞬間、魔法陣が崩れ落ちる。


「――ッ!?」


 使い魔が、初めて“反応”らしきものを見せた。だが、もう遅い。俺は、一歩踏み出す。その一歩で、間合いという概念が意味を失った。


「……終わりだ」


 指先を、軽く振る。


 ――消滅。


 爆発も、断末魔もない。ただ、存在そのものが、静かに切り取られた。森が、しんと静まり返る。


 リーファが、震える声で言った。


「……今のは、討伐、ですか?」


「……いや」


 俺は、首を横に振る。


「警告だ」


 空気が、わずかに揺れた。――視線。遠く、森の、もっと深い場所から。もう、隠す気すらないらしい。むしろ、こちらを試して、楽しんでいる。


「……悪趣味だ」


 俺は、空を仰いだ。


「俺は、面倒事が嫌いなんだ。それでも、仕掛けてくるなら――」


 魔力を、わずかに解き放つ。森全体が、地鳴りのように軋んだ。


「次は、容赦しない」


 返事は、なかった。だが、確かに――何かが、引いた。


 リーファが、そっと近づいてくる。


「……アレン。今のは……」


「世界の裏側だ。たぶん、俺はもう――」


 言葉を、慎重に選ぶ。


「普通の冒険者では、いられない」


 街へ戻る道すがら、魔物の気配は、一切なかった。だが、それは平和ではない。息をひそめた、嵐の前の静けさだ。あの森の奥の“誰か”は、次こそ本体で現れる。俺は、そう確信していた。

「次は、容赦しない」――そう言い切った相手が、ついに自分から出てきます。

格上を正面から叩き伏せる展開に胸がすいた方は、★をひとつ、置いていってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。