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追放された無能魔術師、実は全属性適性だったので辺境で最強になります  作者: 蒼月アルト


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第109話 収束の正体

 ギルド本部の会議室。


 空気は、重かった。


 被害は減っている。

 死者も減っている。


 だが——


 報告の内容が、異様だった。


「外縁部の活動、継続的に低下」

「未踏領域の探索、ほぼ停止」

「境界発生分布、内側へ収束」


 リーファが、淡々と読み上げる。


 誰も遮らない。


 否定できないからだ。


「……原因は」


 ロイドが問う。


 視線が、エルドに集まる。


 エルドは、結晶板を見たまま言う。


「まだ断定はできない」


 少し間を置いて、


「だが」


 指で、波形を拡大する。


 複数の境界データが重なる。


 以前はバラバラだったそれが、


 今は——


 似ている。


「境界の挙動が、“揃ってきている”」


「揃う?」


 ミレナが聞く。


「ばらつきが消えている」

「例外が減っている」


「つまり?」


 若い技師が、息を呑む。


 エルドは、静かに言った。


「選択肢が、削られている」


 沈黙。


 その言葉は、

 第四章の延長にある。


 だが今は、


 はっきりとした形を持ち始めている。


「……偶然じゃないんですか」


 誰かが言う。


「長期データだ」

 エルドは首を振る。

「傾向として固定されている」


 固定。


 その単語に、

 わずかな緊張が走る。


「これは……」

 エルドが続ける。

「管理の最適化とは違う」


「違う?」


「管理は、選択肢の中から最適を選ぶ」

「だがこれは——」


 結晶板を叩く。


「選択肢そのものを減らしている」


 空気が、凍る。


 それは、

 効率の話ではない。


 構造の話だ。


 アレンは、壁にもたれて聞いている。


 口を挟まない。


 だが、


 すでに分かっている。


「……意図がある、ってことですか」


 ミレナが言う。


「分からない」


 エルドは即答する。


「だが、結果としてはそう見える」


 結果として。


 そこが、厄介だった。


 誰かがやっているわけではない。


 命令もない。

 主体もない。


 それでも、


 世界が、

 同じ方向へ進んでいる。


「……収束」


 アレンが、ぽつりと言う。


 全員が見る。


「ばらつきを潰して」

「一つの形に寄せる」


「それが、今起きてることだ」


 ミレナが、ゆっくり頷く。


「じゃあ」

「これって、止められるんですか」


 問い。


 シンプルで、

 重い。


 エルドは、少しだけ考えた。


「……止める対象がない」


 誰かが操作しているなら、

 対処できる。


 だがこれは違う。


 現象でもなく、

 個体でもなく、


 流れだ。


「……じゃあ」


 若い冒険者が言う。


「このまま、続くのか」


 誰も、即答しない。


 だが、

 否定もできない。


 アレンは、窓の外を見る。


 街は、平和だ。


 境界は処理され、

 被害は出ない。


 だが、


 静かに、

 確実に、


 削られている。


「敵じゃないな」


 アレンが言う。


「え?」


「戦う相手じゃない」


「じゃあ、何なんですか」


 少し間を置く。


 言葉を選ぶように。


「……流れだ」


 収束の流れ。


 それは、

 止めるものではない。


 だが——


 従うかどうかは、


 選べる。


 ミレナが、拳を握る。


「……選べるんですか」


 その問いに、


 アレンは、わずかに笑った。


「まだな」


 その「まだ」が、


 この章のすべてだった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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