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追放された無能魔術師、実は全属性適性だったので辺境で最強になります  作者: 蒼月アルト


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第102話 最適解の提示

 翌日。


 境界は、別の街で発生した。


 中央区から外れた、中規模の交易都市。


 だが、結果は同じだった。


「干渉開始」

「収束確認」

「被害なし」


 報告は、短い。


 あまりにも、短い。


 現場にいた冒険者が、肩をすくめる。


「……終わりか」


「終わりです」

 技師が答える。

「理想的な処理です」


 理想。


 その言葉が、少しだけ重い。


 アレンたちは、現地に到着する。


 すでに境界は消えている。


 跡も残らない。


「発生地点は?」


「こちらです」


 技師が示した場所は、

 管理装置の直下だった。


 最も干渉が効きやすい位置。


「……寄ってきてるな」


 アレンが呟く。


「え?」


「境界が、だ」


 以前は、

 発生位置はランダムだった。


 外縁。

 未踏地。

 管理網外。


 だが今は――


 管理の中心へ向かっている。


 ミレナが、地図を広げる。


 最近の発生地点を重ねる。


「……偏ってる」


 すべて、

 管理網の内側。


 それも、

 効率よく処理できる場所ばかり。


「偶然では?」


 若い技師が言う。


「可能性はある」


 アレンは否定しない。


「だが」


 地図を指でなぞる。


「無駄がない」


 境界の経路。

 発生位置。

 収束の流れ。


 すべてが、

 最短で、

 最も被害の少ない形に収まっている。


「……まるで」


 ミレナが、ゆっくり言う。


「選ばれてるみたい」


 沈黙。


 その言葉を、

 誰もすぐには否定できない。


 その時、

 警報が鳴る。


 新たな境界発生。


 今度は、

 街の外縁寄り。


 管理装置から少し離れている。


「処理、遅れます」


 技師が言う。


「干渉準備中」


 境界は、揺れる。


 だが――


 動いた。


 ゆっくりと。


 まるで、

 何かに引かれるように。


「……移動してる?」


 若い冒険者が声を上げる。


 境界は、

 街の中心方向へと滑る。


 建物を避け、

 人の流れを避け、


 最も被害が出ないルートを通って。


「そんな……」


 ミレナが息を呑む。


 境界は、

 やがて管理装置の影に入る。


「干渉開始!」


 技師が叫ぶ。


 装置が光る。


 境界は、

 抵抗せずに収束した。


 完全に。


 沈黙。


「……今の」


 若い技師が、震える声で言う。


「自分で、最適位置に移動した?」


 誰も、答えない。


 アレンは、境界が消えた場所を見ている。


 理解できないわけではない。


 だが、

 認めたくない感覚がある。


「迷ってないな」


 ミレナが、ぽつりと言う。


 昨日と同じ言葉。


 だが、意味が重い。


 境界は、

 揺れながらも、

 選択を間違えない。


 いや――


 最初から、

 選択肢が一つしかないかのように動く。


 夜。


 報告が集まる。


 各地で同様の現象。


 被害ゼロ。

 最短収束。

 最適経路。


 エルドの通信が入る。


『境界の挙動が変わっている』

『収束速度が異常に高い』

『ばらつきが消えている』


 少し間を置いて、


『……これは、進化か?』


 誰も、即答しない。


 進化。


 良いことのはずだ。


 だが――


 アレンは、静かに言う。


「違うな」


「え?」


 ミレナが振り向く。


「進化じゃない」


「じゃあ?」


 アレンは、空を見る。


 境界は出ていない。


 だが、

 どこかで動いている気がする。


「削ってる」


「……何を」


「選択肢を」


 風が、静かに吹く。


 世界は、安定している。


 安全で、

 効率的で、

 完璧に近い。


 だが――


 その中から、

 何かが消え始めている。


 まだ誰も、

 それを言葉にできない。


 だが、


 確実に、

 何かが減っていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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