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アン・シャーリーという名の、ちょっと様子がいい男子  作者: るきのるき


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(番外17)アン・シャーリー(の中の人)、隣の天使様と世界について考える

 おれがプリムラ、『赤毛のアン』の仮想世界ではプリシーというタコ、に出会ったのは、仮想世界のゲームをはじめるすこし前のことだった。


 隣の家に住んでいること、料理はふたり以上作ったほうがうまくできること、その他の理由で、なんとなく顔なじみになって、友だちとか恋人といった関係になる、ということには、特にならなかった。


「好き、といえば好き、だけど、どうもおれとプリムラの関係は、信頼と誠実によって結びついているだけなんだよね」と、おれは言った。


「ふーん……結婚とか考えてないんだ」


「やめろよ、ルー子の容姿でそんなことを言うのは、ルキフェル。ムラムラとする感情を持たせるのは、ルー子のほうが明らかに強いし」


 結婚というのは、家族を持つ、ということだけれど、そのためには経済力その他、社会人としての能力が必要だ。親戚づきあい、という地味なテンプレも含めて。


 今のおれには、それだけの余裕はない。


 落語家で言ったら、前座の、あと何年かで二つ目になれるか、というレベルの修行中というところだろう。


 食えないレベルの専門職としては、落語家よりも下。


 プリムラとおれは、3日に2度は夕食を食べ、おれが感想をいい、ネットのねこ動画とか、地球の珍風景などをだらだら見て、お疲れ様でした、あ、あ、ありがとうございました…、と言って別れる。


「プリムラの部屋、見たことあるのか」


「お互い鍵持ってるからね。おれの部屋と同じくらいモニターがあって、水槽もたくさんあって、変な海洋生物を飼っている」


 研究分野も、こうありたいと思う未来も、今まで生きてきた世界も(たぶん)違っていて、単にたまたま部屋が隣同士、ってだけだから。


「異種族婚は、物語世界も含めて稀ではないけど、寿命がねえ」と、自身の魅力を控えめにした男性型のルキフェルは言った。


「けっこうあるんだ」


「タコの寿命って、こんくらいのもんだよ」と、ルキフェルは言って、携帯端末の数値を見せた。


「あの子は地球のタコとは違うから、その数十倍はあるだろうけどね。子孫を残すと、似たようなもんかもね」


     *


「あんた、神と同等もしくはそれ以上の能力を持ってるんだっけ」と、おれはルキフェルに聞いた。


「世界創造は、だいたい神1柱でやるから、俺だってできないことはないよ。地球とヒトを作るまでには、それなりの時間がかかるけど」


 ルキフェルが、さっ、と手を広げると、部屋は宇宙空間になった。単なるビジュアル・エフェクトだと知ってはいるんだけれど、暗黒の中にホタルのように光る無数の星々は、小さいながらもさまざまな色を持ち、リアルに感じられるのは、おれの手を軽く握っているルキフェルの、すこし湿った温かい手だけだった。


 この宇宙には、独立した知性体は、あんたの住んでいる銀河系だけで数億、数十億はいて、同じくらいの神、創造神がいる。それぞれの神はお互い、節度と畏敬を持って接し、知性体同士、星々同士は、戦争をして支配領域を広げるほどの近さではないし、利得もないから、文化や交易での接触はある、みたいな感じかな。


「神々同士の交流は」


 創造された知性体よりはあるね。地球時間で、百年に1回程度は、地域代表で、どうでっか最近、お互い苦労しまんなー、最近うまい食材ができたんで、みたいな情報交換とお食事会はあるよ。


 堕天使・悪魔の会合も非公認だけど、あるよ。神々には、なんか趣味の会とか、脱アルコール依存症の会、みたいに思われてる、というか、われわれが偽装してるんだけど。脱・神依存症だな。一度神を強く信じてしまうと、なかなかそれなしでは、知性体は生きられなくなるんだ。ほどほどにたしなむ程度で、創造神を……。


「このまま話を続けると、強い信心を持っている人に誤解されるといけないから、別の話をしよう。つまりもっと男らしい話だね。おれが隣の天使様、プリムラを2番目に好きな子として、ルキフェルが2番目に好きな天使・堕天使は、誰?」


 男のコイバナ・タイムである。

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