009 父×母=伝説=兄+姉
「おお、ルクスゥ!」
「本当に魔力が宿っているわ! 貴方パーティーを、いいえ、晩餐会を!」
「父さん、母さん大げさだよ……」
抱きしめられる程心配してたんだ、御免ね二人とも心配を掛けました。
でも晩餐はどうかと思う。
「いや、ご両親の気持ちは私も判るぞ」
「十六夜、でも晩餐会なんてこの国の妖魔種だけで済まないんだから、気軽に開いたら駄目だよ」
うん、家に帰ってきたら大変な騒ぎになった。
何故実家にいるかと言えば訓練の後の職員室の話になるんだけどさ。
ダイジェストで思い返すと短いけど内容の酷い話だったんだ。
職員室で開口一番ラウラ先生が言ったのは、建前として実家で魔法の事を聞いて来いって事だった。
「とりあえず、ルクスちゃん一度実家に顔を出して種族魔法とか色々聞いて来い、なっ」
…………
……
怪しい、物凄く怪しい、突然実家にって方法があるとはいえど、ここは日本だぞ。
それにだ、ラウラ先生が僕の事を“ルクスちゃん”なんて言うときはミスをした時だ。
あとは、うん回りの教師陣の目が死んでる。
「で、ラウラ先生、何したんですか?」
「いや、只単にルクスちゃんの実家にな、ご機嫌取りの為にか上の誰かさんが例の件で連絡入れた訳よ、そしたら小父さんから連絡《指令》が私に来たみたいでな、さっき連絡が入ったんだわ、大至急帰って来させなさいってさ、アハハハ」
「ちょ!」
笑い事じゃないよ、洒落になってないし。
そんな風に驚いた時にラウラ先生、ええいもう先生とは思えない昔遊びに来てた頃の呼び名でいいよ。
姉ちゃんだなもう。
そのラウラ姉ちゃんのお願いが発動した。
「頼む、この通りだ、特別にゲート使用も勿論出来るように手配したから、それと大神もな、一緒に行って事の次第を正確に伝えて置いて欲しいんだ、私はこっち離れられねーし、お願いルクスちゃん」
「仕方が無いだろう、ルクス。これは断れば大事件になりかねん」
断るに断れない……
行かないと、学校が無くなるよ。
そうして緊急帰国と相成った訳だ。
凄い剣幕だったらしい父さんも母さんも――戦争の準備でもしてたのかって格好だったけど――こうして笑顔になって本当に良かった。
だから、その戦闘服は脱ごうね?
「それよりさ、兄姉達はどうしたの?」
凄い嫌な予感がするけど聞かないと……ああ、聞きたくない。
「アーティール達か、ハハハ戦支度に地下の宝物庫に道具を取りに行っただけだ」
「笑いながら選びに行ったからそれ程の物を持ち出さないでしょう」
「駄目だよ、こうして魔力も宿ったんだから止めないと!」
「安心しなさい、学校は他所との問題があるから潰さないし、ヤルのは我が愛息子に無礼を働いた一族全てが対象になる位だ、精々100回殺して反省したら眷属にでも――」
「やりすぎだし! 彼らも罰は受けたから僕が望まない事をしないで!」
もう神話時代とは違うんだよ!
どんな粛清をするつもりなのさ。
「ウーム、だがな神祖を相手にした意味と言うのをだな……」
どうすれば納得するかなあ、うーん、確かに神祖を相手にってのがなあ。
あ、そうか。
「じゃあ、僕がもっと力を手にいれたら自分で報復するから!」
報復とかしないけど……必要ないし。
この先あの級友だった子達は確実に肩身の狭い思いをするんだもの。
「おお、それはいいな、うむ――おい息子たちに今の件伝えてきてくれ」
「畏まりました」
セヴァス頼むね、家令の彼ならちゃんとしてくれる筈だ。
父さんとか母さんが動いたら神話級の話がまた一つ歴史に刻まれるよ。
全部は知らないけど僕が知っているだけでも色んな神話に語られてる逸話の犯人とか主人公は父さん達だ。
全く何を目指しているのだろうか、我が家の家系は。
とある魔王とか、劇仕立てにも出来そうな幻想界からの出来事をノベル風に書いて配布したら某書になったり……
手遅れっていう話もあるけど、兄姉達もこれ以上は意味不明な経歴を増やすのは止めてほしい。
何回改名してるんだっけ。
まあソレぐらいに不作戯た過去を持つ人達だ。
今はあの有名なヴラドって名乗ってるけど、セカンドネームとかもうネタだよなあ。
母さんも同じような感じだし。
幾ら兄妹だって言ってもやる事を全て肯定しなくていいと思うんだけど。
結局晩餐会はどうしてもしたい母さんの意向で取りやめにはできなかった。
その代わりに、正式な招待をするという事で納得してもらった。
僕の精神力がドンドン削られていくんだけど。
「しかしな、ルクス、結婚相手にはなるとは思ってたがせめて私達ぐらいには先に教えて欲しかったぞ」
「そうよ、もう何時になったら挨拶してくれるのかと思ってはいたけど突然なんだもの、お母さん驚いちゃったわ」
僕が驚いたよ!
「え、僕が結婚?」
「「違うのか?」」
何処でそんな話に?
「誰から聞いたのそれ」
いや判ってるよ、判ってても聞かないと冤罪だったら困るじゃないか。
「「ラウラちゃん」」
よし、今度デスソースを掛けたピザを山のように食べさせてやる。
「わ、私でいいのかっルクス!」
と思ったら十六夜が変な事を口走ったんだけど、何を緊張してるの十六夜!?
あれ、コレってどういう事だろう。
ここはミス何て絶対に許されない場面だぞ。
ラウラ姉が冗談で父さん達に伝える、父さん達がソレを本気にしてた。
うん此処まではいいな。
……
で、それを聞いた十六夜の反応が『私でいいのか』って確認した。
うん、あれ?
もしかして十六夜も僕が好きだったりしちゃったり?
……
瞳を舐めさせる、うん普通なら許さない。
唇についた唾液を舐めさせる、これも親友だから仕方なしに受けてくれたと思ってたけど……
……
「もしかして――」
「うん」
「十六夜も僕の事を好きでいてくれたりするのかな?」
「――ッ――あ、当たり前だ、でなければあんな」
「あらあら」
「おやおや」
――ッ、お、親の前で何を僕は確認してるんだぁ!
「これは大変だ、リリアーヌもしかするとパーティーの種類が変わるやもしれんな」
「ええ、貴方も思ったのね、婚約パーティーどころか結婚披露宴、いえいえ、子供のお披露目になっちゃうかもしれないわぁ」
「ハハハ、リリアーヌ、じゃあ僕は早速ミスターオオガミのところへちょっと挨拶に行って来る、ハッハッハこれは目出度い! 戦争所ではないな」
浮かれすぎな両親と真っ赤になって動かなくなった十六夜を目の前にして僕が慌てていたら突如兄姉達が目の前に現れた。
その能力の無駄遣いは何かな全くもう……
「俺たちの」「私たちの」「ルクスが」
「「「結婚すると聞いて!」」」
「あ、アーティール兄さん、シュテンツ兄さん、ヴィルヴァーラ姉さんも、ただいま!」
「「「おめでとうルクス! イザヤちゃん!」」」
ん、この流れはこのままでいいのかな?
いやいや、まだ学生だから流石に……
「でも父さん……あの子の件どうすんの」
「ん、何二人とも貰えば問題あるまい」
「「ほぇ?」」
何か凄く聞き捨てなら無い事を口走りましたよね?
アーティール兄さんあの子って誰ですか、それと父さん、二人とも貰えばってどういう意味ですかっ。
僕も十六夜も驚いて変な声でちゃったよ。




