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008 一人+一匹=可能性

「コレぐらいは残――ゴホン、魔力も持ちましたしルクスと呼んで差し上げますわ、そう、ルクスにもして頂かないと困りますのよ、お分かりですの、同世代としての忠告ですわ」

「うん、でも流石イアンスだよね、あのフルバーストの制御も完璧だ」

「オ、オホホホホ! 当然ですわ、もっと褒め讃えても宜しくてよ?」


「僕も頑張るよ、イアンス」

「ホホホホホ、教――」

「よし、次は魔法の練習だ! いいな魔法はイメージが全てと言っても過言ではない、魔術で発現したのは大体が魔法の模倣だからイメージは魔術を参照してやってみろ」


 魔法かあ、イメージが生み出すんだよ、ここで効率的な運用ができるかどうか……

 魔術よりも自由な分制御という面では難易度が跳ね上がるんだよなあ。

 種族魔法は本能的な感覚だったし兄さん達のを見てたってのもある、けど魔法は――


「きょうじょして差し上げても宜しくちぇよ!」

「イアンス、無駄だ既にルクスは思考状態だ、それに噛んでるぞ」

「くぅ、気合を入れすぎましたわ、ああ、この状態は何時ものあれですわね」

「こうなると結論がでるまで梃子でも動かないからな」


 そうか、うん先ずは魔術に使用してる分の魔力で試してみよう!


『魔法は本能でも使えますぞ』

『え、マジデ!?』

『その方が普通なのです、魔獣などもそうでしょう、獣人が身体能力を上げるのも、吸血鬼が血を吸って強くなるのも云わば自動発動する本能という魔法処理がされているからです』


 そうだったのか……

 というかだ。

『なんでそんなに朔は詳しいのさ』


『元は主の知識ですが、幻魔として生まれた際にさらに本質として知りえている魔法についての知識があります故、そもそも主ならば呼吸をするように魔法が使えて当然な筈』

『あー確かに父さん達って自然に発動させてたなあ、技術かと思ってたけど』

『技術でもあり、本能でもある、そういう事でしょう、主殿は既に我を本能で使っている事でも魔法を本能で使っていると言えましょう』


 なるほど、朔と会話すると少し違う自分に問いかけてるって事だとしたら不思議な感覚だな。

 ん、まてよ、ってことは――

『朔は普通に魔法も使えるの?』

『使える魔力分でという事になりますが可能ですぞ』

『という事は……正確には違うけど独り複合魔法が簡単に発動できちゃう!?』

『可能ですぞ?』


 そういうことかぁ、普通に兄さん達が軽く使ってたのはそう云う事だったんだ。


「よし!」

「うわぁ」「きゃあ」

「あれ二人ともどうしたの?」


 目の前にイアンスと十六夜さんがいて驚いた。

 なんでそんな近くに?


「思考中でしたからお待ちしておりましたのよ」

「うむ、訓練中とは云えど、魔法の使われている所だからな、私が安全を確保しておいた」

「あ、そうか、イアンス御免ねお待たせして、十六夜さんも有難う」


「ああ、でもどうして私は“さん”でイアンスは呼び捨てなんだろうか? ん?」

「え、なんとなく尊敬的な?」

 あれ、なんでだろう。

「あら、私は別に構いませんが、親しみ具合なのではなくって?」


 いや、親しさなら9:1で十六夜さんの圧倒的勝利になるなあ。


「それは無いよ」

「フ、フフフ、では何かしら~」

 理由か、イアンスを呼び捨てにしてるのは単純な理由だよ。

「イアンスのは確か“イアンス”って呼び捨てにしないと魔法をぶつけるって脅されたんだよね」


「あ、あら、そんな事も御座いましたかしら、オホホホ」

 あの理不尽さを思い出しながらジト目で眺めたのに誤魔化したよ。


「じゃあ、イアンスさん……言って見ると判るこの違和感は何だろう」

「もともとそういう文化が無いからじゃないか、私のときは最初ミスオオガミだったしな」

「あー確かにそうかもね」

「だが、ならば私も十六夜でも良い筈だよな!」


 何がならばなんだろうか、うーん。


「呼び捨ての方が親しみがあるように聞こえるの?」

「長年の付き合いというかだな、その、あんな事を許したのだからだな」


 そこでソレを引き合いに出しますか十六夜さん!


「あら、なにか御座いましたの?」

「いや、何でもないよ、ねえ十六夜?」

「あ、ああ、うふ、ふふふ」

 喜んでくれるなら呼び捨ても悪くないのかなあ。

 長年の付き合いだからこれでいいのかな?


「……間違いなく何か御座いましたわよね?」

 どうして女性は隠し事を暴こうとするのかっ。

「フッ、イアンスよ、コレが私とルクスの絆と言うものだ」

「くっ、ですが私には名門の同属であるという強みが御座いますもの、それぐらいなんでもごじゃいませんわ」


「噛んだぞ」

「噛んだね」

「ええ、噛みましたわよ、フンッ」

 普段からこんな風ならいいのに勿体無いよね。


「可愛かったからいいんじゃないか?」

「かかかか! ちょっと失礼しますわ」

「あ、あーなんか気安く言い過ぎたかな、普段からあんな感じの方がとっつきやすいと思ったのに」

 女の子は怒るポイントが判らん。

 あんなに急いで、ああ、そうかお化粧室か!


「お前という奴は、絶対勘違いしてるだろうが、まあいいか、ハァ」

 いやいや、気が付いたから、此処でトイレに用を足しにいったんだとか言ったら最悪だけどね!

 その辺りは成長したんだよ。


「お前はお前だなあ……それで、さっきは何を思いついたんだ?」

「ああ、朔の事でさちょっとね」

「ほう、面白そうだな」


 魔法はイメージだからね!


「ちょっと試してみるから見てて」


「【氷槍】(アイスランス)『【闇炎装】(ダークフレアコート)』」


 僕の作った氷の槍の表面を氷だけを溶かさない魔炎を朔に作ってもらった。

「どう、こんな感じ、まだ簡単な魔法でしか出来ないけど面白いでしょ」

「これを……ルクスが」


 正確にいうと僕だけじゃないんだけど。

「僕だけでやってるんじゃないんだけど、ある意味これって十六夜の協力の結果なんだよね、朔がいるから出来るんだ」

「なるほどな、叔父様やルクスのお兄さん達もそういえばそうだったな」


 魔炎がダークフレアになってるのは属性の関係かな。

 次の魔法を試そうとしてたらそこで時間がやってきてしまった。


「よし、これで解散だ、本日の連絡事項は無い各自撤収してよし、ドラクル、大神はちょっと話があるからこの後付いて来い」

「「はい」」


 何だろう、珍しく真剣な目をしてたし重要な事かな……

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